新型コロナウイルスは「スポーツビジネス」をどう変革するのか?

新型コロナウイルスは「スポーツビジネス」をどう変革するのか?

スポーツビジネス業界にも大きな影響を及ぼした新型コロナウイルス。2020年東京オリンピックが延期されたことは皆さんご存じかと思いますが、スポーツビジネス業界は今後どのように変わっていくのでしょうか?フットサル情報サイト、FutPark事業責任者の中島涼輔さんに、業界の変化やこれからについてお伺いしました。

新型コロナウイルスによって否定されたスポーツの価値

スポーツビジネスは現在、これまでにない大きな変化の渦中にあります。その理由はいうまでもなく、新型コロナウイルスの影響です。

スポーツの価値は、「人が集まる」ことにあると言っても過言ではありません。しかし、コロナウイルスは「人が集まること」を否定しました。

結果として、Jリーグやそのほか高校サッカーなど、人が集まることを前提としていたビジネスモデルや業態はことごとくその活動を停止せざるを得ないという状況になりました。

スポーツビジネスは「やればやるだけ」売上を増やすモデルに依存しきっている

私自身は前職がリクルートで、インターネットを活用した新規事業の立ち上げや事業推進を担当していましたが、スポーツ業界に入ってきたきっかけはこの「やればやるだけ型」(労働集約型)のビジネスモデルに危機感を持っていたからです。

前述の通り、現在のスポーツ業界のビジネスモデルは基本的には「やればやるだけ」売上の増えるモデルです。プロスポーツ団体で言えば、試合を開催すると、人が集まり、そこにスポンサーがつき、チケット代が入り、グッズや飲食が売れる。プロスポーツ団体の収支で言えば、「①スポンサー」「②チケット」「③グッズ」この3つでほとんどの売上が構成されています。

この「やればやるだけ」モデルはプロスポーツ団体だけでなく、多くのスポーツ企業に共通して言えることです。そして、まさしくこのビジネスモデルそのものがコロナウイルスによって大きな課題となりました。つまり、試合が開催できないことで、売上が一切入ってこないという事態に陥りました。一方で会社としては選手やスタジアムを持っているクラブであれば、スタジアムの維持費など固定費も少なくありません。

これからのスポーツビジネスは“リアル”を前提としないビジネスモデルの構築が急務

そこで多くのスポーツビジネス経営者は「やればやるだけ」ではなく、「やらなくても」売上の入るビジネスモデル、つまり「チャリンチャリン型」のビジネスモデルの検討を開始しました。

例えば、鹿島アントラーズというJリーグクラブは「投げ銭」施策を5月に実施、中には1万円投げ銭した人もいたという報道もありました。単純化して考えると、2020年6月現在鹿島アントラーズのTwitterのフォロワー数は41万。1人100円投げ銭してくれるとすると、合計で4,100万もの金額になりえます。

しかし、このお金は試合を開催したから得たものではなく、いわゆる「チャリンチャリン型」のビジネスモデルであるため、試合の有無に左右されずに獲得できるお金です。この「チャリンチャリン型」のビジネスモデルこそが今スポーツ業界に求められています。

「やればやるだけ型」と「チャリンチャリン型」の混合モデルこそが強い

では、「チャリンチャリン型」のビジネスモデルだけがあればいいのか?というとそんなことはありません。

理由は、どこまでいってもスポーツの価値は「リアル」にあると私自身も信じているからです。そして何よりこの従来型の「やればやるだけ」の事業モデルは売上が読みやすく、かつ崩れにくいというメリットがあります。したがって、これからのスポーツ業界で必要なビジネスモデルは「やればやるだけ型」と「チャリンチャリン型」の混合モデルになると思っています。

プロクラブに関して言えば、1試合も試合が開催されないことを前提として、月次のキャッシュフローをしっかりと回せる収支をどう実現するのか?その中でどう「チャリンチャリン型」のビジネスモデルを作り出すか。両者を構築することでどうシナジーを生み出すか。

これがコロナ時代に求められているスポーツビジネスのテーマだと思っています。

nakashimaryosuke

中島涼輔(なかしま・りょうすけ)

1991年生まれ。新卒でリクルートホールディングスのネット採用で新規事業の立上げ。スポーツ業界への思いがあり、その後起業。自社でサービス開発をし、サッカードットコム株式会社へ事業譲渡。事業譲渡した新規事業(https://futpark.me/)のサービス責任者兼、社長室にて会社の事業計画の策定およびファイナンス推進を行う。