映画は生きた英語の宝庫。おすすめ映画から、ちょっとおしゃれですぐに使える英語表現を毎回1つ紹介します!今回も前回に続き、ジュリア・ロバーツ主演の『食べて、祈って、恋をして』から、one’s cup of tea という表現です。
今日のおすすめ表現
one’s cup of tea
映画の中では、“I’m not everyone’s cup of tea.”という言い方で使われています。この文章でも言えることですが、一般的に、否定文で使われることが多い表現です。
表現の出どころ
ジュリア・ロバーツ主演の映画『食べて、祈って、恋をして』からの表現です。

- 発売日: 2013/11/26
- メディア: Prime Video
前回ちらっと書きましたが、原作はジャーナリストのエリザベス・ギルバートが書いた同タイトルの回顧録。この映画の主人公「リズ」はエリザベスのニックネームで、エリザベス・ギルバート本人が実際に経験したことを、1冊の本にしたものが原作になっています。

Eat, Pray, Love: One Woman's Search for Everything Across Italy, India and Indonesia
- 作者:Gilbert, Elizabeth
- 発売日: 2006/04/03
- メディア: ペーパーバック
前回書いた通り、映画としては少し残念な評価が多いのですが、本は非常に人気で、例えばAmazon.comでは5200件以上のレビューを集め、星の数は4.2と高い評価になっています。また、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストのペーパーバック・ノンフィクション部門で57週間、1位に君臨し続けました。
さまざまなメディアで、原作と映画を比較した記事が書かれています。それらの記事を読んでみると、300ページ以上の分厚い本にしたためられたリズの心の動きや、場の細かな描写が、映画の中には反映しきれていなかったという意見が多いようです。
日本語版は2010年に出ていましたが、今年3月、「十年目のまえがき」を収録して装いを新たにした文庫版が、早川書房から発売されました。

食べて、祈って、恋をして〔新版 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者:エリザベス ギルバート
- 発売日: 2020/03/18
- メディア: 文庫
映画だけでなく書籍も読んでみると、リズがなぜ旅に出るに至ったのか、といった心情をより深く理解できるかもしれません。
原書である英語版本も、そこまで難しい単語や文法は使われていませんので、洋書を読んで語彙力をアップしたいと思う人は、チャレンジしてみてくださいね。
表現の使い方
主人公リズはライターで、自分が書いた劇の舞台を観客席から見ていました。お芝居が終わった後、舞台で演じていた俳優のデイビッドと言葉を交わします。
舞台の最中に、観客がつまらないと言って出て行ってしまったのですが、そのことについてデイビッドがリズにわび、リズはこう言います。
I’m not everyone’s cup of tea.
私は万人の好みってわけじゃないから。
ここでいう「私」はつまり「私の作風」であり、誰にでも好かれる作風というわけではない、と言っています。冒頭で書いた通り否定文で使うのが一般的で、「好みではない」「趣味ではない」“not one’s taste”を意味する表現です。
例えば、“The book is not my cup of tea.”といえば、「この本は私の好みじゃない」となります。
“tea”という言葉が使われていることからも想像が付く通り、もともとイギリスで使われ始めた表現のようです。
まとめ
「嫌い」など強い言葉を使わずに「好みではない」と表現できるのが、今回のフレーズです。
「私の好みじゃないんだよね〜」と気軽に言いたいときに、“It’s not my cup of tea.”を言ってみてくださいね。
文:松丸さとみ
フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
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