小池都知事の英語がすごい!新型コロナウイルス感染症に関する情報発信の動画で存在感

都知事の英語

新型コロナウイルス感染症に関する公的な情報発信では、濃厚接触を避けるためもあり、動画が活用されています。その中で存在感を示しているのが、東京都の小池百合子知事。毎週、英語でもライブ配信を行っています。どんな内容をどんな英語で発信しているのか、チェックしてみましょう!

ヒカキンとも共演!ネットで発信中の小池都知事はどんな人?

2016年8月に第20代東京都知事に就任した小池百合子氏。カイロ大学に通い、政治家になる前はアラビア語通訳者やニュースキャスターとして活躍し、英語が堪能なことでも知られています。

小池氏の公式Twitterフォロワー数は72万人。最近は新型コロナウイルスに関する情報を中心に、ほぼ毎日つぶやいているようです。

そして、このツイートにあるように、#うちで過ごそう #StayHome の情報発信として、「ヒカキンTV」にも出演!リモートでヒカキンさんとつながり、ゲストとして、特に若い人たちに外出せずに家にいるよう呼び掛けています。

▼小池都知事にコロナのこと質問しまくってみた【ヒカキンTV】【新型コロナウイルス】

毎週、日本語と英語で新型コロナの情報をライブ動画配信

東京都のウェブサイトにある「新型コロナウイルス感染症に関する知事からの情報発信について」によると、小池都知事は「原則として毎日午後6時45分から(英語版については、原則として毎週金曜日午後7時15分から)」、メッセージをYouTubeなどでライブ配信しています。

例えば先週金曜日の4月10日に配信された10分間の動画はこちらです。手作りマスクの着用でも注目が集まっている都知事ですが、ここでもマスクを着けて話しています。また、背後のスクリーンには、話している内容が英語で書かれていますね。

あらかじめ決めてあることを英語で話しているようです。誰にとっても聞き取りやすそうな発音です。

▼STOP COVID19 Novel Coronavirus Latest Information From Governor Koike to the People of Tokyo

動画の英語には使えそうな表現がたくさん

小池都知事のこの英語動画には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する、「緊急事態」「感染拡大防止策」「外出自粛」「営業自粛要請」「一時支給金(協力金)」「買いだめ」「テレワーク(リモートワーク)」といった表現や、感染症拡大に関連して、人数や年代、割合など、数字の言い方がいろいろと出てきます。

英語スクリプトと日本語訳をチェックしてみましょう。

「適切に心配する」「不安を和らげる」「日常に戻る」

まず、この動画配信について説明している冒頭から、着目したいのはこの箇所です。

This will also be aired in English every Friday. I will be personally delivering this live through media based on Tokyo Doga, the official video channel of the Tokyo Metropolitan Government.

[00:35~]

 

これは毎週金曜日に英語でも配信されます。私が出演して、東京都公式動画チャンネルである「東京動画」を通じて、このライブ配信を行います。

personallyを強調して言っているところが印象的でした。

次に見ておきたい表現はこれです。

We will use various means to quickly provide you with the latest information so that you can be properly concerned about the virus through accurate information. This will alleviate your fears, anxiety, and allow us to return to normal everyday life as soon as possible.

[00:50~]

 

正確な情報によってウイルスのことを適切に心配できるよう、さまざまな手段を用いて、最新情報を迅速にお届けします。そうすることで、皆さまの不安が軽減され、通常の日常生活に可能な限り早く戻れるでしょう。

be properly concerned(適切に心配する)accurate information(正確な情報)alleviate your fears, anxiety(不安を和らげる・軽減する)return to normal everyday life(通常の日常生活に戻る)など、そのまま会話などで使えそうです。

「最新情報」「陽性」「軽い症状」

次は、latest updates(最新情報)について、感染者の人数などが述べられているところです。

Now, turning to the latest updates on COVID-19 in Tokyo, unfortunately today, there have been a record number of positive cases reported. As of 6 p.m. today, there were 189 people testing positive. We are having patients with mild symptoms moved to hotels.

[01:14~]

 

それでは、COVID-19に関する東京の最新情報を見ていきましょう。残念ながら、これまでで最も多い陽性者が報告されています。本日午後6時において、189人が陽性との結果が出ました。軽い症状の患者の方々には、ホテルに移動していただいています。

a record number of ~は「これまでで最多の~、記録的な数の~」

positiveは「陽性の」という意味。反対の「陰性の」はnegativeです。

as of ~は「~時点で」。このように具体的な情報を提示する際などによく使われます。

are having patients with mild symptoms moved to hotelsには、使役のhaveが使われていています。この用法のhaveはほかの箇所にも出てきます。

mild symptomsは「軽い症状」です。

「自粛要請」「緊急事態」「休業」「学習塾」

続いては、「自粛要請」(という不思議な日本語・・・)について。

Today, we have reached a decision of requesting the closure of facilities to prevent the spread of the virus as a state of emergency measure.

[01:55~]

 

緊急事態に際し、ウイルスの感染拡大防止のために、本日、施設の休業を要請することを決定いたしました。

英語では、こういった正式な発表の主語にはweを使います。

requesting the closure of facilitiesが「施設の休業要請」state of emergencyは「緊急事態」です。

それから、具体的にどのような施設に休業を要請するかを説明しています。報道により日本語で何度も見聞きしている内容だと思いますが、英語ではどのように表現されているのでしょうか?

First, regarding facilities that would be basically requested to close, facilities falling under six categories including entertainment facilities, universities and tutoring schools, exercise and amusement facilities with an area of 1,000 square meters or more are basically requested to close operations. Facilities with an area under 1,000 square meters are also strongly requested to refrain from operating.

[02:07~]

 

まず、基本的に休業を要請する施設に関しては、1000平方メートル以上の遊興施設、大学や学習塾、運動施設や娯楽施設といった6つの区分に当てはまる施設には、基本的に営業停止を要請します。1000平方メートルに満たない施設についても、営業停止を強く求めます。

tutoring schoolsは「学習塾」でしょう。

「休業」については、close operationsやrefrain from operatingという言い方をしています。また、次のところでは、suspend(~を一時停止する)という動詞も使われています。英語ではこのように、同じ語の繰り返しを避けるために、同じ内容をさまざまなフレーズで表現します。

Regarding educational and cultural facilities, as a general rule, we request that they suspend the use of the facilities and the holding of events.

[03:13~]

 

教育・文化施設に関しては、原則として、施設の閉鎖とイベントの開催中止を要請します。

as a general rule(原則として)は、この動画に何度か出てきます。少しお役所的な響きがあるフレーズですね。

「感染防止対策」「保育所」「医療機関」「日用品」

特定の施設には休業を要請する一方で、福祉施設には、感染防止対策を行った上での運営を求めています。

And among social welfare facilities for child daycare centers and after-school centers, we request that, after securing the resources needed to meet daycare needs, they cooperate in implementing proper measures to prevent infection.

[03:28~]

 

そして、保育所や学童保育所といった福祉施設には、保育の必要性を満たすためのリソースを確保後に、適切な感染防止対策を実施するよう協力を求めます。

social welfare facilitiesは「福祉施設」child daycare centersは「保育所」after-school centersは「学童保育所」です。

さらに、医療機関や日用品を販売する店舗には、感染対策を取った上で運営、営業を続けるよう協力を求めています。

Medical institutions and facilities selling food and daily items are essential to maintaining life in society. As a general rule, we request that they continue to operate and cooperate in taking proper measures to prevent infection.

[04:18~]

 

医療機関や、食品や日用品を販売する店は、社会の生活を維持するのに欠かせません。原則として、営業を継続し、適切な感染防止策を行うよう協力を要請します。

medical institutionsは「医療機関」daily itemsは「日用品」maintain(ing) lifeは「生活を維持する(こと)」

「居酒屋」「営業制限」「協力金」

飲食店は、制限付きで営業が認められたことが話題になりました。その点について、英語ではこう述べられています。

Regarding pubs and other dining and drinking establishments, from the perspective of having people refrain from going out at night, we request that they limit operations between the hours of 5 a.m. to 8 p.m. and serve alcoholic beverage only up to 7 p.m.

[04:38~]

 

居酒屋やその他の飲食店については、人々の夜の外出を抑制する観点から、営業時間を午前5時から午後8時に制限し、アルコール飲料の提供は午後7時までとします。

「居酒屋」はpubs(パブ)と訳されているようです(一気にイギリスっぽくなりますね)。

limit operationsで「営業を制限する」

ここのhaving people refrain from going out at nightでも使役のhaveが使われていて、「人々の夜の外出を抑制する」といった意味になります。

「午後7時まで」は、up toを使って表現していますね。

次のimplement(~を実施するは先ほども登場した語で、便利な動詞です。

These measures will be implemented from 12 midnight tomorrow April 11.

[05:03~]

 

これらの対策は、日付が変わる真夜中の12時から、つまり明日、4月11日から実施します。

そして、営業の停止や制限を課すに当たって、同時に提示されるべき補償についても語られています。

During the period Tokyo special measures are being implemented, for small and medium-sized enterprises who fully cooperate with our requests, we issue a one-time payment to support them. Concerning the amount, we will pay a 500,000 yen to companies with one place of business and one million yen to companies with multiple places of business.

[05:20~]

 

東京都の特別対策の実施期間中、要請に完全に応える中小企業に対しては、支援のために一時支給金を出します。金額については、1カ所の事業所で営業する企業には50万円、複数の事業所がある企業には100万円を支給します。

協力金」という(これまたちょっと不思議な)言葉は、one-time payment(一時支給金)と表現しています。この英語の方がわかりやすいような気もします。

統計データの英語表現

breakdownは「内訳分析結果、概要」といった意味で、この単語を出して、東京都の感染者について具体的な数字を述べています。特に注意を促しているのは、若い世代の感染者です。

This means that in a period of just one month, the number of cases increased by over 20 fold. Looking at the breakdown of those infected by age, in March, 55 percent were in their 40s and younger. From the start of April through yesterday, however, that figures rose to 60 percent. With that group, if we look at people in their 20s and 30s, we can see that they increased from 32 percent in March to 40 percent in April. It is said that after being infected, younger age groups show less symptoms than higher age groups. There is a high possibility that if these young people do not refrain from going out, they may become infected and continue transmitting the virus to others without being aware of it.

[06:33~]

 

つまり、わずか1カ月のうちに、感染者数は20倍超に増えたということです。感染者を年代別で見ると、3月には、55%が40代以下でした。しかし、4月初めから昨日まででは、その割合が60%に上昇しました。その年代では、20代と30代を見ると、3月の32%から4月の40%に増加したことがわかります。若い年代では、感染しても、高い年代と比べて症状があまり見られないとされています。若い人たちが外出を自粛しないと、感染して、気付かないうちにほかの人たちにウイルスをうつし続けることが十分あり得ます。

20 foldは「20倍」。「~倍」は~ timesの方がなじみがあるかもしれませんが、foldも使えます。

may become infected and continue transmitting the virus to others without being aware of it(感染して、気付かないうちにほかの人たちにウイルスをうつし続けるかもしれない)というように、当初から全国的に、若者の行動には注意が喚起されていました。

「社会的距離」「買いだめ」「テレワーク」

「ヒカキンTV」の出演にも言及し、欧米などでは厳しく取り締まられている「社会的距離」の維持について話しています。

Hikakin asked me what we should do now. To answer that question, we spoke about many things including the need to stay home, and if you must go out, to maintain social distancing of about two meters between yourself and others.

[08:14~]

 

ヒカキンさんは、今何をすべきなのかと私に尋ねました。その質問に対して、私たちはいろいろと話しました。家にいるべきだということ、そしてもし外出しなければならないなら、自分とほかの人の間に2メートル程度の社会的距離を保つことなどです。

social distancing of about two metersは「2メートル程度の社会的距離」。動画の[09:45]あたりでは、six feetというように「フィート」の単位でも伝えています。フィートの方に慣れている外国の人たちに配慮した言い換えなのでしょう。

また、食料品や日用品、薬などの購入については冷静な対応を呼び掛けて、テレワーク(リモートワーク)も推奨しています。

Even during this state of emergency period, you can go out to purchase food, medicine and other essential daily items. Please rest assured there is no need to run out and hoard supplies. And also please utilize telework systems so that commuting to work can be kept at the minimum.

[08:47~]

 

緊急事態の期間中でも、食品や薬、その他の日用必需品を買うために外出することはできます。焦って買いだめをする必要はありませんから、安心してください。それから、テレワークを活用して、通勤が最小限になるようにしてください。

rest assuredは「(確保・保証されているので)安心するという意味です。

hoardは「買いだめする」。マスク以外は不足していないと言われているにもかかわらず、一部の店舗で日用品が棚にない時間帯がある状態が続いていますね。「テレワーク」はそのままtelework

「感染を食い止める」「ウイルスに打ち勝つ」

そして、最後のメッセージがこちら。

Lives depend on the measures we take against COVID-19. By all means possible, we must curb the spread of infection. I sincerely request the cooperation of each and every one of you in sharing this awareness so that we can together overcome this national and global crisis. Protect your life, your family, your friends and society. We are in this together. Let’s beat this virus. Thank you very much.

[09:52~]

 

命は、COVID-19に対して取る私たちの対策に懸かっています。可能な限りのあらゆる手段を尽くして、感染拡大を食い止めなくてはいけません。私は、皆さん一人一人にこのことを意識していただけるよう、心から求めます。そうできれば、国と世界が直面したこの危機を一緒に乗り越えられるでしょう。皆さまの命、家族、友人、社会を守りましょう。私たちはこの事態に際して共にあります。ウイルスに打ち勝ちましょう。ありがとうございました。

depend onはおなじみの表現でしょう、「~次第」という意味。by all means possibleは「可能な限りのあらゆる手段を尽くして」という慣用的な表現です。

curbは「抑制する、阻止する、食い止める」curb the spread of infectionで「感染拡大を食い止める」です。mustを使って、決意を表明しています。

overcome this national and global crisis(国と世界が直面したこの危機を乗り越える)beat this virus(ウイルスに打ち勝つ)といった言い方は、なかなか力強いです。

I sincerely requestは、ここでは主語にweではなくIを使い、またsincerelyと添えることで、直接的に訴え掛けている調子を出しています。togetherを2回使い、「みんなで協力して頑張ろう」というニュアンスを出していますね。

まとめ

いかがでしたか?

全体として、公式発表用の日本語を英訳しているためか、ややくどいところもあり、また、どことなく日本語的なas a general rule(原則として)といった表現が多用されるなどの傾向があります。英語圏の政治家の英語とはやはり違いも感じますが、平易な言葉で説明しようとしていて、ある程度わかりやすく伝わる動画になっているのではないでしょうか。

イギリス出身のスタッフも、この動画はinformative(有益だ、役立つ)だと言っていました。英語圏出身者などの間でも、小池都知事の英語は素晴らしいと言われているようです。

今後しばらくは毎週金曜の夜に配信されるという、小池都知事の英語による情報発信にも、引き続き注目したいと思います。その情報を参考に、日本にいる外国人や海外にいる人と英語で状況を伝え合うのも、不安の軽減につながるかもしれませんね。

ちなみに、5月29日に小池都知事の本『女帝 小池百合子』(!)が出版されるそうです。

 

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Irene

文:Irene
なんらかの首長を務めるからには、やはり英語でも発信できる(そして実際にする)ことは必要ですね。

トップ画像:Photo by Markus Spiske from Pexels