You’ve come a long way. は「遠くからきた」ではなくてどういう意味?【映画で英語】

映画で英語

映画は生きた英語の宝庫。おすすめ映画から、ちょっとおしゃれですぐに使える英語表現を毎回1つ紹介します!

今日のおすすめ表現

You’ve come a long way.

このフレーズ、そのまま訳したら「長い道のりを来た」なので、「どこか遠くから来たということかな?」と思ってしまうかもしれません。もちろん、物理的な距離をいう場合もありますが、別の意味もあります。

表現の出どころ

今回の表現は、実話をもとにしたヒューマン・ドラマ、『ライオン 25年目のただいま』からご紹介します。

LION /ライオン 25年目のただいま(字幕版)

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  • 発売日: 2017/09/19
  • メディア: Prime Video

インド中央部に位置するカンドワで母親と兄、妹と一緒に暮らす少年サルーは、5歳のときに迷子になり、約1400キロメートル離れたインド東部のコルカタで保護されます。

紆余曲折(うよきょくせつ)を経てオーストラリアの家庭に養子として引き取られ、25年間幸せに暮らすのですが、本当の家族を忘れることは決してありませんでした。

サルーの生い立ちを知った友人が口にした、「Google Earthでインドの実家を見つけ出せるんじゃないか」との言葉に突き動かされ、サルーの探索が始まります。

5歳のサルーを演じるのは、サニー・パワール。めちゃくちゃかわいいです。大好きなお母さんやお兄さんを慕う姿や、巨大な国インドの路上で小さなサルーが必死に生きていこうとする姿は、これが彼の「演技」であることを忘れてしまうほどです。

成人してからのサルーは、デヴ・パテルが演じています。『スラムドッグ$ミリオネア』ではまだあどけなさが残る青年でしたが、本作品ではすっかり美しい成年に成長しています。

かつてのデヴを知っている人は、親戚のおじさん・おばさんのような感情を抱いてしまうことでしょう(笑)。イギリス出身のデヴは、この役作りのためにオーストラリア・アクセントを学んだそうです。そのあたりもぜひ注目してみてください。

表現の使い方

サルーを養子として迎えるブライアリー夫妻は、オーストラリアのタスマニア島に住んでいます。飛行機に乗ってはるばるやってきたサルーを母親のスー(ニコール・キッドマン)と父親のジョン(デヴィッド・ウェンハム)は温かく迎えます。

お風呂に入って無邪気に遊ぶサルー(この時点で英語は理解できません)を見つめながら、スーは愛情たっぷりにこう話しかけます。

You’ve come a long way, haven’t you?
いろいろあったのね?

スーのこの言葉は、物理的に「遠いところ」という意味ももちろんあるかもしれません。何しろ、生まれたカンドワから1400キロメートル離れたコルカタを経て、そこからさらに9400キロメートル以上離れたタスマニアのホバートまで来たのですから。

しかし一般的に“You’ve come a long way.”というと、以前と比べて「かなり進歩した・前進した」という意味になります。

例えば“I’ve come a long way.”であれば、かつての自分を振り返り、いろいろあったけど長い道のりをやってきたなと感慨にふけっているイメージです。昔から今に至るまでの時間軸なので、通常は現在完了形になります。

スーの言葉は、インドからオーストラリアに来たことを「進歩した」と言っているわけではないため、「進歩した」「前進した」というより、さまざまなことを乗り越えてここまでたどり着いたのね、という意味が込められているのでしょう。

従って、文脈によっては、「いろいろあって(状況が前より良くなって)今に至る」というニュアンスを含めた意味にもなります。

まとめ

なかなか使いどころをうまく判断するのが難しい表現ではありますが、「だいぶ進歩したね!」と思うときや、「紆余曲折あったけどやっとここまで来たね」と表現したいときにぜひ使ってみてくださいね。現在完了形にすることをお忘れなく!

松丸さとみさん

文:松丸さとみ

フリーランス翻訳者・ライター。学生や日系企業駐在員としてイギリスで計6年強を過ごす。現在は、フリーランスにて時事ネタを中心に翻訳・ライティング(・ときどき通訳)を行っている。
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