日本人がつい間違いがちな、カタカナ読みが似ている英単語20

北九州市立大学准教授であり、言語学者でもあるアメリカ人のアンちゃんが、「日本人がよく間違える」英語の表現を解説するコラム。知っているようで意外と知らない英語の表現を楽しく学びましょう。

今日のトピック カタカナ表記で読み方が似ている英語

日本語で会話をするときに、「外来語 *1 なしで会話してみて!」と言われたら、できると思いますか?

私は、ほとんどの日本人はできないと思います。なぜなら、日本語の語彙の10パーセントが外来語でできていると言われているからです。これは、他の国(フランスや中国など)と比較すると多い数字です。現在、日本語に取り入れられている外来語の9割は、英語が元になっていると言われています。

なぜ、日本語は他の言語に比べて外来語の 影響 を受けているのでしょう?

いろんな理由があると思いますが、私は「日本語にカタカナがある」ことが 影響 していると考えているバイ!日本人は、外来語を発音しやすいようにカタカナでの読み方に変えることで、柔軟に対応したのではないかと思います。

ゆえに、外来語本来の発音と日本語としての発音がバリバリ変わることがあるバイ。今日は、その具体例について話をさせてね!

「お米」が「シラミ」に!?カタカナ発音問題

まずとてもよくあるのは、rice(お米) と lice(シラミ) など /l/と /r/ 発音の問題 です。

「お米が好き!」と言いたいのに、I like lice.(シラミが好き)と発音してしまうのは日本人あるあるバイ!この /l/と /r/ の発音は、日本語ではどちらもラ行で発音するので、誤解が生まれやすいですね。

ちなみに 、私の夫の名前は Riz で、カタカナにするとリズです。まぁ、本当の名前は Roudini なんだけど、彼はその名前を気に入らんかったけん、勝手に Riz に変えました(笑)。

日本に来て彼を紹介するとき、みんながバリびっくりしていました。カタカナのリズは、女優の Liz Taylor と同じだから、女性が来ると思っていたそうです。日本語では /l/ も /r/ もないから、「Riz」も「Liz」も「リズ」になります。

似たような感じで、つづりや意味は全然違うけれど、カタカナ発音では近いものがいくつかあります。

えば、

elegant (気品のある) arrogant (傲慢な)
work (働く)walk(歩く)
学生たちはよく、 I worked/walked a lot yesterday. と言うけれど、働いたのか、歩いたのか、わかりにくいです。

私が一番好きなのは、

pray(祈る)play (遊ぶ)
です。学生たちは、I prayed a lot with my friends yesterday. と言っているように聞こえるけれど、「友達と遊んだ」の意味かな?と思って聞いています。もしかしたら本当に友達と祈っているの かもしれない けれど(笑)。それから、play だったとしても、この使い方はしないから、play の使い方については下の記事を見てね! gotcha.alc.co.jp

間違いやすい英単語が他にもいろいろ!

こんな風にカタカナでの表記が一緒で、とても間違いやすい英単語がいっぱいあるバイ。見てみよう!

court / coat

court と coat は、両方ともカタカナだと「コート」と書きます。court はテニスやバスケットなどをする場所です。coat は着る上着。私は、この間違いをよく見ます。

例えば、

I went to the tennis × coat yesterday.(私は昨日テニスコートに行った。)

I forgot my × court .
(私は上着を忘れた。)

間違えても意味が通じないわけではないけれど、正しい英語を使いたいよね?coat の発音は [kout]、court の発音は [k???rt] です。覚えておいてね!

load ">road / lord / load

何年か前に、『ロード・オブ・ザ・リング』という映画がバリバリはやっていたやろう?この映画タイトルを、英語に訳してみたことがありますか?

私の学生たちに、「この『ロード』はどういう意味だと思う?」と聞いたら、ほとんどの学生は「道」と答えます。ファイナルアンサー?

実は他にもカタカナ表記が「ロード」の英単語があるので見てみましょう。

1. The Road of the Rings2. The Load of the Rings3. The Lord of the Rings
英語に訳すと、1つ目の road は「(指輪の)道」2つ目の load は「(指輪の)重荷」最後の lord は「(指輪の)主」という意味です。

というわけで 正解は、3つ目の lord でした!原題は、『The Lord of the Rings』 バイ。3つの英単語のカタカナが一緒だからわかりづらいと思うけど、頑張ってね!

その他の間違えやすい英単語

・コード:code(暗号)/ cord(ひも

フード:hood (ズキン)/ food (食べ物)

・ロック:rock (石)/ lock (鍵を閉める)

などがあります。

私の学生の何人かが、ダンスサークルに入っています。そこで知ったのが、ダンスのジャンルの1つで「ロック」という種類のものです。私はずっとこれを、「rock dance」だと思っていたけれど、実は「lock dance」 でした。

激しい動きから一気に静止してポーズをとるスタイルが、「ロックする」ように見えるので lock を使うようです!日本人だけじゃなくて、英語を話す人でも間違えることはあります(笑)。

まとめ

外来語は、たくさん日本語に取り入れられているので、こういうミスが起こる 可能性 は高いです。完璧に区別できるようになるのはなかなか難しいけれど、ぜひ今日の単語を使い分けしてみてくださいね!

それでは、最後に復習しましょう。

I like to eat rice !

I watched the Lord of the Ring.

I played tennis on the tennis court .

わかった?!発音を区別するのは難しいけれど、一生懸命勉強して正しい英語を使いましょう!応援しているバイ!

アンちゃんの新刊が出ました!

アンちゃんは和製英語が大好きバイ!本書籍では、いろいろな単語について解説しながら、和製英語の魅力を紹介します!

ペットボトルは英語じゃないって知っとうと!?
 

電子書籍も発売中

私たちの日常は、一見英語っぽいけれど実は英語ではない「カタカナ英語」であふれていますが、果たしてそれらの単語はネイティブスピーカーに通じるのでしょうか?カタカナ英語を「通じる」英語で言うにはどうしたらいいの?普段から特によく使う言葉「○○アップ」や「マイ○○」など、12個ピックアップして読みやすくまとめました。英語が得意な方もそうでない方にも楽しく読んでいただけます。

文:アン・クレシーニ Facebook
アメリカ生まれ。福岡県宗像市に住み、北九州市立大学で和製英語と外来語について研究している。自身で発見した日本の面白いことを、博多弁と英語で綴る「 アンちゃんから見るニッポン 」も 更新 中!

編集:末次志帆
*1 :外来語とは、日本語における借用語のうち、漢語とそれ以前の借用語を除いたもの

SERIES連載

2024 04
NEW BOOK
おすすめ新刊
英会話は直訳をやめるとうまくいく!
詳しく見る
メルマガ登録