
「新しいスマホに買い替えた!」と、ワクワクする気持ちでいた瞬間、「ユーザーアカウントのライセンス認証を、オンラインでアクティベートして下さい」という意味不明な 指示 で、一気に心が折れた経験はありませんか?デジタル機器にありがちな、カタカナ言葉のオンパレードに、大多数の人はげんなりしてしまいます・・・。
今回は、各メーカー・各ソフトウェア、新機種が登場する度に増殖している「デジタル系英語」を解説します。
1. 初期設定で心を折られがちなデジタル系英語
activate (アクティベート)アクティベートは、「 認証して機能を使えるようにする 」というような意味です。
もしこの言葉が、スマホ初期設定で出てきたら、文脈的には「 有効 化」とか「認証」という意味が近いです。その機器を使うにあたって、誰が使うかとか、正式な購入なのか等、機器に認証させることで使用できるようになる設定です。
「〇〇経由もしくは〇〇で アクティベート してください」という 指示 であれば、もともと持っているIDを使うのか、新しくIDを登録するのかなど、いくつかの選択肢があることを示しています。
account (アカウント)アカウントとはサイトやPC、スマホ、ネットワークにログインするための「 権利 」のことです。名前や連絡先、生年月日などの各項目を登録すると、あなたの「アカウント」が作れます。
ややこしいのは、各社/サービスごとに「アカウント」を作る必要があり、スマホを買うために作る キャリアの「アカウント」 と、スマホに入っているOS(iOS、androidなどの基本ソフト)の 開発元に登録する「アカウント」 、さらに各 アプリで使うための「アカウント」 はそれぞれ別物だったりします。
set up (セットアップする)これから使う機器やソフトウェアを利用できる状態にすること、「 初期設定 」を行うことです。
最近の機種だと、「スキップ(後回し)」できる設定項目も多く、すべての設定を 完了 しなくても、 すぐに 使い始められるスマホが増えました。
ただし 、いざ使い始めると「〇〇〇の セットアップが 完了 していません 」という表示が頻繁に出るようになります。ほとんどの設定は、後でやり直しができますので、詳しい方に聞いてみるといいでしょう。
2.見分けがつかなくて心を折られがちなデジタル系英語
password (パスワード) passcode(パスコード) security code(セキュリティコード )特定の機能を使用するときに認証を得るための「 合言葉 」のことです。
言葉が似ているようで、実はそれぞれが違いややこしいため、誤入力を重ねて、スマホをロックされてしまった方もいるかもしれません。会社ごとに名付け方がバラバラなため、混同してしまいがちです。
一つ見分ける方法としては、「パス ワード 」はワード(word)なので文字列、「パス コード 」は数字の組み合わせが多いようです。
log in(ログインする) log on (ログオンする) sign in(サインインする) sign up(サインアップする)利用者の身元確認をして、オンラインで提供されているサービスに「 アクセスできるようにする操作 」のことです。
こちらも非常に似ている言葉が並びますが、 気を付けるべきは「サインアップ」 。他の言葉はどれも、あらかじめ登録してある情報を読み込むような意味合いです。それに対して、「サインアップ」は、「新規登録」「入会」として使われることがあります。
全く関係ありませんが、「再度、サインアップしたアカウントで、サインインの再開をして下さい」とか、もう韻を踏んでるラッパーのようです。
3.いつの間にか世間に定着した風で、実は心を折られがちなデジタル系英語
device (デバイス)「機器」や「端末」という意味です。
「お手持ちの デバイス を」とか、「各 デバイス で」とか、さりげなく、しつこく出てくる言葉です。
WEB業界的な事情でいうと、昔はインターネット上のホームページを見る手段がパソコンだけだったのですが、近年は スマホ、タブレット、ゲーム機 など、さまざまな「デバイス」から見られるようになりました。そして「デバイス」ごとに最適な表示の対応 作業 が必要になります。
その際に、例えば「各端末ごとに対応しよう」というと、個人個人が所有している一台ごとに対応するようなイメージになってしまいます。そのため「デバイス」という言葉を便利に使っていたりします。
cloud(クラウド)インターネット上のサーバーを利用して、ソフトウェア、データベースを活用するサービス です。
語源となった「雲」のイメージは、データが利用者から離れた置き場所(サーバー)にあり、インターネット経由でいくつものスマホが接続できる形です。
スマホの中身に保存してあるデータは、そのスマホでしか見られませんが、「クラウド」のサービスを使うことで、他のスマホ、パソコン、タブレット、色々な「デバイス」からデータを取り出せるようになります。
時々、ニュース番組などで「インターネットさえつながっていれば、どこにいても取り出せるデータ」と解説されます。
これとは別にビジネス用語として「クラウドファンディング」「クラウドソーシング」という言葉もあり、大元のイメージは似ているものの、意味合いが違います。
~chain(〇〇チェーン)チェーンと言っても、飲食店の多店舗 展開 のことではありません。鎖(チェーン)のように連結して、 データを 保管 する管理システム のことです。
某スマホなら「キーチェーン」(Keychain)、また仮想通貨なら「ブロックチェーン」(Blockchain)という言葉が出てきます。簡単に言うと「チェーン」の中身を見れば、どこからでも同じ情報が見られます。例えば、過去に登録したサイトに再びアクセスする際に、パスワードがキーチェーンに保存されていると、毎回パスワードを入力する必要がなくなります。
上述の「クラウド」に似ているかもしれません。
「クラウド上に保存されたキーチェーンによって、全てのデバイスが便利に使えるようになります」という説明が、全く便利に使えるイメージを起こさせないという、デジタル用語の切なさですね。
どうしてデジタル系英語は増えていくの?
今回は主にスマホに関連したデジタル系英語を解説しました。IT機器やWEBサイトの作り手達は、より分かりやすく、よりシンプルに、さまざまな人が使えることを目指していますが、どうしても新しい機能が増えると、新しい言葉で説明せざるを得ないのです。
新機能ができた にもかかわらず 、ネーミングが思い浮かばず発表しない・・・、なんて、ネットビジネスのスピード感覚ではありえない事です。新しい機種やWEBサービスが生まれるたびに、 今後も ますます難解なデジタル系英語は増えていくでしょう。
ただし 一見、難しい専門用語に見える言葉も、使っていくうちに慣れていくもの。個人的には、こうした専門用語を覚えることも、スマホやパソコンを使いこなせるようになるのも、説明書を精読するより、実際に沢山使ってみるのが一番効率的だと思います。
そのために新機種を買ったら、またよく分からない言葉が沢山でてきて・・・、それは、まさにデジタル用語の「チェーン」地獄ですね。
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