現役ビジネスマンでTOEIC満点講師の大里秀介さんがお届けする、3カ月でTOEICのスコア600点突破を目指す連載。今回は「受験1週間前」にすべきことを教えていただきます。
さて、3カ月間の連載としてお送りしているこのコラムですが、今回は1週間ですべきことを取り上げます。泣いても笑ってもあと1週間。悔いのないように過ごしてベストスコアを取りたいものですよね。
少しでも皆さんのお役に立てればと思いますので、 よろしく お願いします。
受験票を確認しましょう
本番の2週間前には、登録した住所に受験票が届きます。登録した名前通りか、会場はどこか、印刷に不備がないかを確認しておきましょう。
写真は早めに貼っておいたほうがいいですね。そして受験票はなくさずに 保管 しておきましょう。
会場へ行くルートも確認しておくといいでしょう。雨天や不測の事態に備えて2ルートくらいを想定しておくといいでしょう。
記載事項に誤りがある、1週間前の段階で受験票が手元にない場合は、トラブルの 可能性 もありますので主催者団体(IIBC:一般財団国際ビジネスコミュニケーション協会)に 問い合わせ てみることをお勧めします。
総復習!やってきたことだけを振り返りましょう
これまで2カ月と3週間。みなさんは語彙や基礎的な文法等基本的な学習から、全てのパート攻略、模試への挑戦と少しずつステップアップし着実に力を付けています。
本番で成功する秘訣は、問題に正解することにありますが、1つひとつの問題を力ずくで解くのは実はあまり効率的ではありません。
あ、これはやった問題だな、といったように 自分の学習内容と結び付けながら解答していけるようにする とペースが安定し、ベストスコアを出しやすくなります。
そのため、残り1週間では次のことに徹してください。
① 新しい模試はやらない
もう、この段階で新しい模試を解く必要はありません。
「あまり問題を解いていないから不安だ」という方もいるかもしれませんが、直前になって新しい問題集に手を出すと、「あれもわからない、これもわからない」と逆に不安になってしまい、いいコンディションで本番に臨めなくなってしまいます。
新しい模試に挑戦するのはストップして、 今まで解いたことのある問題を確実に解けることに集中 していきましょう。
「それでも教材を追加したい」という方には次の2冊をお勧めします。
- 作者: 花田徹也
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2010/09/17
- メディア: 単行本
- 作者: 大里秀介,トニー・クック
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2017/03/07
- メディア: 新書
② 解答力を高めるトレーニングを心掛ける
学習開始の3カ月前からこれまでは「受動型」の学習をしてきました。
例えば、解説を読んでどうして正解になるかを調べ、語彙、文法を確認し、といったことです。
残り1週間は、自分で積極的に解きにいく「発信型」の学習にシフトします。
どういうことか、というと・・・
問題を見たときに、次のように解法をつぶやくのです。
パート1 | 人が1人写っているから、この人の 動作 に注目して音声を聞こう |
---|---|
パート2 | これは冒頭でWhereと言ったから、場所を聞いているな |
パート3 | 先読みである程度内容を 把握 したから、しっかり待伏せしよう |
パート4 | 発生する問題は何だろう |
パート5 | 前後を見ると空所には名詞が来るな |
パート6 | 選択肢に時制が並んでいるから前後の文をチェックして根拠を探そう |
パート7 | NOT問題だから1つずつ文を見ていこう |
残りの1週間は、特にこの 「解くためのプロセス構築」を強く意識して解く ように心掛けてください。
これまでは英語力を養成し、解き方を学んできました。最終の仕上げではそれらを生かし、解答力をブラッシュアップするのが重要です。
全ての問題に対して本番をシミュレートしよう
次に、どの問題を解くときも、常に本番を意識するようにしてください。このために重要なことは3つあります。
捨てる 」か決める">① 「何を 捨てる 」か決める
TOEICは初心者から超上級者、ネイティブスピーカーまで幅広いレベルの方が受験します。
皆さんの目標は600点をクリアすることであって、現時点で990点を 取得 することではありません。そうであれば、上級者向けの問題を捨て、解ける問題で確実に正解することがベストスコアを取るための最重要戦略となります。
今までの問題を解いていて「これは解けない」と思うのがあれば、早々に 「今回これが出たら解けないからパスしよう」と決めておく のです。
このように取捨選択することで、解ける問題に多くの時間を割くことができます。また、 捨てる 問題を適当にマークしておけば、4分の1(パート2なら3分の1)の確率で正解になっている 可能性 も期待できます。
初心者が捨てたほうがいい問題は次の通りです。人によって 捨てる 問題は異なると思いますが、一例として挙げておきます。
パート1 | 人が写っていない写真:主語がバラバラだったり難しい動詞語彙を使うことがあるため |
---|---|
パート2 | 平叙文(疑問文ではない意見・陳述の文):文頭を聞くだけで正解が絞り込める5W1H疑問文と異なり、選択肢を含めてすべての意味が理解できないと 判断 しにくいため |
パート3 | 意図問題:What does the man mean ...?のような問題は、内容を 把握する のに 時間がかかる ため3人の会話:混乱しやすいため |
パート4 | 意図問題:パート3と同様の理由から |
パート5 | 語彙問題:選択肢に異なる意味の単語が並ぶ場合、意味がわからなければ解けないため |
パート6 | 語彙問題:パート5と同様の理由から |
パート7 | 5W1Hの疑問詞で問われている以外の問題すべてと、複数文書を参照しなければ解けない問題(慣れれば得点源になりますが、初級者の場合は時間をかけても解けない 可能性 が高いです) |
② リーディング問題を解く時間ペースを決める
問題を解く時間管理をしましょう。
この1週間で 「本番では1問何秒で解けるか」を決めて おきましょう。
リスニングは自動で時間が進行していきますが、リーディングは自分でペースを決めなくてはいけません。そのため「パート5のこのタイプなら1問〇秒」「パート7のこのタイプの文書なら〇分で読んで△分で解く」のように、時間配分を決めておきましょう。
これをやっておかないと、本番で気がついたら「時間がない!」ということになりかねません。特に①でで述べた「 捨てる 問題を決める」ことと併せて強く意識してください。
③ 推測力を活用する
本番では、わからない語彙が必ず登場します。
その際、わからないからあきらめるのではなく、前後の文や表現から 「おそらくこんな意味ではないか?」と推測しながら解く ことも、時には重要です。
特に、復習をしていて忘れてしまった単語に出合った場合などでは、 すぐに 辞書を引かず、1度推測するクセをつけてから調べるようにしましょう。こうすることで、学びとしても吸収しやすくなるはずです。
1週間、コンディションをしっかりと整える
ここまでやったなら、あとは 心身ともに充実した状態で本番を迎えることが大事 です。
不要不急の用事、外出、買い物、飲み会など等は控え、終わってからの楽しみに取っておきましょう。
また、風邪などひかないように、マスク、手洗い、うがいといった予防も大事です。学習時間の確保も大事ですが、睡眠や規則正しい食事もしっかりとるように心掛けてください。
いかがでしたでしょうか?
さあ、残り1週間を全力で頑張ってください。私も応援しています!
こちらの記事もおすすめ
大里 秀介(おおさと しゅうすけ)
東北大学農学部応用生物化学科卒。サッポロビール株式会社に勤務する現役サラリーマン。2006年に英語学習を開始し、2011年にTOEIC990点を 取得 。2012年にアルク主催「TOEICRテストスコアアップ指導者養成講座」修了。同年からカナダ・オンタリオ州にあるSLEEMAN BREWERIES LTD. に2年間勤務し、北米の大ビジネスプロジェクトをTOEICで磨いた英語力を駆使して成功に導く。TOEIC ブロガー「Tommy」としても活躍し、TOEIC 書籍、コラム執筆、セミナー開催等、TOEIC に関する啓蒙を積極的に 展開 。「 TOEIC(R) TEST LISTENING & READING TEST 完全攻略900点コース 」(アルク)を監修。著書に『3週間で攻略 TOEICR テスト 900点!』(アルク)ほか多数。
【Santaアルク】3分でできる英語力診断
AIが弱点・伸びしろ・TOEICスコアを予測
- Santaアルクを使って学習しているユーザーは世界で800万人以上!
- 20時間の学習で平均165点のスコアアップ実績
- AIがユーザーのTOEICスコア・弱点・伸びしろを診断し、個別最適化されたカリキュラムを提供
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。