「例文暗記って意味あるの?」そんな疑問にATSUが答えます!

「海外でバリバリ働いている人は、ほとんどが帰国子女」なんて思っていませんか?オーストラリアで会計士をしているATSUさんは、日本生まれの日本育ちという、いわゆる純ジャパ。でも、独学で数々の英語の資格を取り、学生時代の目標を実現しているんです!そんなATSUさんに、本当に役立つ英語学習法を聞きました。今回は、誰もがやっている「例文暗記」と「英文法の問題集を解くこと」についてです。

こんにちは!ATSUです。前回は、英語の勉強の全体的な流れと、英文法の勉強法についてお話ししました。

さて、英文法の学習といえば、例文を暗唱したり、問題集を解いたりするのも、よく耳にするやり方です。

しかし、「これって実際、意味あるのかな……」と不安に思いながら勉強している人も多いと思います。そこで今回は、例文暗記と問題集の効果について徹底検証し、皆さんの疑問を解消していきたいと思います。

それではまいりましょう!

暗記するなら「実際に使う英文」にアレンジしてから

まずは、例文を丸暗記することについて考えていきます。

文法書には、たくさんの英語の例文が載っています。前回紹介した『キク英文法』でも、それぞれの文法事項に4つの例文が掲載されていました。そして、これら例文を使って多くの人が行っている勉強法、それが「例文の丸暗記」です。

私も高校生の時に、『キク英文法』の例文をすべて丸暗記したことがあります。

しかし、実際にすべての文を丸暗記しても、英語がペラペラ話せるようになるわけではありませんでした。「こんなに頑張って覚えたのに、なぜ・・・」そんな気持ちになった人は私だけではないと思います。そこで、どうしてたくさん覚えたのに、あまり効果を実感できなかったのか、考えてみました。

そもそも、例文を暗記する目的って何なのでしょうか。

きっと多くの人は、「英文法の知識を実際に使えるようになる」ことを目的としていると思います。私も、「最終的にはアウトプットできるようになりたい」と思って、例文の暗記をしていました。しかし、そう考えるなら、「自分が実際に使うかたち」で覚えていないと、いざ使おうとしたときに出てこないはずです。

ところが、当時の私がやっていたのは「どんな例文でもそのまま丸暗記」でした。

例えば、こんな例文も丸暗記していました。

『キク英文法』の「進行形の受動態」という項目に出てくる例文です。

The number of people allowed to attend the baseball game was restricted because part of the stadium was being repaired.
スタジアムの一部が改修中だったため、野球の試合の観戦を許可された人の数は限られていた。

思えば、「こんなの絶対使うことないだろ!」という感じの例文ですね。

実際、何か言いたいときに丸暗記した例文がパッと頭に浮かび、そのまま使用することができたというケースはあまりありませんでした。

このような長い例文をそのまま丸暗記したところで、そのまま使えるような場面は少ないです。仮に、いくつか単語を入れ替えたりしたとしても、これだとちょっと使いにくそうだということが分かると思います。それでは、どうやったら例文暗記という作業を意味のあるものにできるのでしょうか。

簡単です。

例文をそのまま丸暗記するのではなく、使えるかたちにアレンジして覚えるのです。

例えば、先ほどの例文だと「進行形の受動態(~されている最中だった)」がこの例文が示したい文法項目なので、まず一部分だけを切り取ります。

Part of the stadium was being repaired.
そのスタジアムの一部は改修中だった。

これで、かなりすっきりしましたね。

次に、実際にこの文を使用している場面を想像できるかどうかを考えてみます・・・。

うーん、少なくとも私自身は、あまりこれを口にする機会はなさそうですね。

まずこの[Part of the stadium(スタジアムの一部)という表現が自分の生活にマッチしていません。周りにスタジアムはないですし・・・。そこで、もっとなじみのあるものに置き換えます

My iPhone is being repaired.
(私のiPhoneは修理中だ。

または、スタジアムのように特定することを避け、建物一般に置き換えます。

The building is being repaired.
その建物は修理中だ。

こうすると、自分の生活の中で使っていることを想像できるような例文になります。例文が生き生きしてくる感じですね。そしてこれを、実生活でどんどん使います。

道を歩いているときに修理中の建物を見たら、“That building is being repaired.”と言ってみるわけです。

もし修理中でなかったとしても、修理中であると勝手に決めて、頭の中で言ってみるのもOKです。

It looks the building is being repaired.
あのビルは修理中みたいだね。

このように、ふわっとした感じにすると使いやすくなることもあります。

また、慣れてきたらstadiumの部分だけでなく、repairedの部分もどんどん変えていきます。

私の場合だったら仕事をしているので、次のようにすると、ものすごく使いやすくなります。

The meeting is being held in the room.
ミーティングはその部屋で開催されている。

こうやって実生活で使えるかたちに変えて、毎日使うことで、スムーズにその知識をアウトプットすることができるようになります。

問題集は何のために解く?

次に、「英文法の問題集を解く」という勉強法について考えてみましょう。

私が受験生のころは、英文法の勉強といえば、「とにかく問題集を解くこと」。周りを見ればほとんどの人が、英文法問題集をガリガリと解いていました。

しかし、私は問題集を使って英文法を勉強したことがありません。問題集だけで英文法の勉強を完成させようとするのは、非効率的だと思っているからです。

なぜ非効率か?

その最大の理由は「問題集が必要な文法項目を全て網羅しているとは限らないから」です。

基本的に文法書というのは、ほとんど全ての文法項目を網羅しています。「英文法」というのは英語のルールなので、全体を1冊にまとめるということが可能なわけです。

しかし、問題集は文法書と違って、文法項目の全てをカバーしているわけではありません。つまり、収録されている全ての問題を解けるようになったとしても、英文法の知識が100%身についたことにはならないわけです。

ですから、問題集を解くのはあくまでも、英文法の知識を確認することが目的です。

『キク英文法』にも問題が掲載されていますが、この問題が解ければそれで十分というわけではありません。文法項目の解説をしっかり読んで理解して、アウトプットしながら覚えることが大切です。

そして、身についたかどうか確認するために問題を解くようにしてください。

まとめ

今回は、「例文の丸暗記」と「問題集を解くこと」の意義を、英文法を学習する観点からお話ししました。英文法をマスターするには、問題集を解き続ければいいというわけではありません。

普段から、 自分が実際にその英文を使用する場面をしっかりイメージし、アウトプットに集中する こと。そうすることで、効果的な文法学習ができるように心がけましょう!

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ATSU

オーストラリアにて世界4大会計事務所の一つに勤務する傍ら、登録者7万人を超えるYouTubeチャンネルとブログをメインとしたAtsueigoを運営し、独自の英語学習方法をシェアしている。所有資格は、米国公認会計士(ワシントン州)、オーストラリア国立大学会計学修士修了(成績優秀)、TOEIC満点、英検1級、TOEFL iBT 114点、IELTS Academic 8.5点。
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