モチベーションが下がったときでも、1分あれば英語がうまくなる方法【同時通訳者・横山カズ】

同時通訳者の横山カズ先生の連載が帰ってきました。英語スピーキングの大人気講師としても活躍する中で、実際に役に立った「無限のスピーキング力上達法」をうかがいます。1回目の今回は、モチベーションが下がったときのスゴイ勉強法です。

皆さん、こんにちは。同時通者の横山カズです。

「モチベーションを上げなければ」というトピックは、TwitterなどのSNSを見ていても頻繁に語られていますね。しかし、そのこと自体が精神的なプレッシャーとなり、さらにやる気がなくなってしまうという悪循環に陥ってしまうこともあるようです。

モチベーションが下がったときは、自分を責めずに発想を変えることをおすすめしたいと思います。

「英文1文。勉強時間1~2分」のすすめ

モチベーションが下がっていると感じたら、 「英文1文。勉強時間1~2分」へのシフトチェンジ を試してみましょう。たとえば、音読に使用する例文がたったの1文であればどうでしょう?「 少ない マテリアルから、多くのスキルを手に入れること」ができるんです。

では、1文からどんなスキルが得られるかを見ていきましょう!

たった1つの英文から得られる4つのスキル

スキル1:英語的発想の表現が身に付く

たとえば、無生物主語(生物でないものが主語になること)または、関係詞節(that、 which 、who、whom、whoever、whomever、whoseによって導かれる節)が使用されている例文を1つ学習素材に選びましょう。

われわれ日本人は、英語を話すときに受動態を好んで使う 傾向 があるようです。それは日本語を直訳しようとする発想からかもしれません。

「無生物主語」や「関係詞節」を使うと、受動態を多用することなく、より自由に英文が思い付くようになります。これが英語の発想に切り替わることであり、英語の瞬発力を向上させるスキルになるのです。

無生物主語の例文

日本語の発想からは思いつきにくいのですが、英語の瞬発を向上させます。

Thoughts wander in when he doesn't reply to me.

返信がないと、いろいろ考えてしまう(気が散ってしょうがない)。

The exam is waiting for me and I'm totally unprepared.

テストはもうすぐなのに何も準備できてない。

※『スピーキング のための音読総演習』(桐原書店)PP. 90-94

関係詞節の例文

I wonder (私は思う) とセットで音読しておくと、英語でいつも「思い」を表現することが可能となり、発話の瞬発力を極限まで高めることができます。「   」で囲んだ箇所が関係詞節です。

I wonder what she's doing.

何しているのかな。

I wonder where she is.

どこにいるのだろう。

I wonder when I can see her again.

次はいつ会えるかな。

I wonder who(m) she's spending time with .

誰と過ごしているのだろう。

I wonder who her boy friend is.

誰とつきあっているのかな。

I wonder how it happened.

どういういきさつでこうなったのか。

I wonder if I'm okay thinking about her all day long.

一日中こうして気になってていいのだろうか。頭から離れない。

※『スピーキング のための音読総演習』(桐原書店)P. 74

このように例文を音読する練習によって普段のリーディングやリスニングにおけるインプット時にも、似たような 英語的発想の表現が自然に目に入る ようになり、結果として英語の「センス・発想」が意識下に蓄積されていくことになるんです。

スキル2:語順に慣れる

英語と日本語の大きな違いの一つが語順です。名詞を修飾する語句が、日本語だと名詞の前にありますが、英語だと名詞の後ろにあります。 後置修飾とよばれるこの語順に慣れる ことができます。

私が読む the book I read
私が話すのが好きな 話題 the topic I enjoy talking about
話さないといけない the person I need to talk to
実際のスピーキングでは、この後置のパターンが瞬間的に口から出てこなければなりません。このthe book I readだけでも何度も徹底的に音読することにより、英語の語順に慣れ、英語を自動化する非常に 有効 なトレーニングとなります。たったこれだけで、リーディングやリスニングも語順通りに 処理する 力が格段に上がるのです。

ほんの 1 で、この名詞節が何回言えるか実験してみてください。 何十回 と言えるはずです。モチベーションが下がっていても、 「これで 有効 なトレーニングが一つできた!」 と考えましょう! 知識の量ではなく、スキル自体を手に入れる感覚をつかみ ましょう!

スキル3:発音の上達によるリスニング力の向上

音読するのがたったの1文であれば、できるだけ 中学校 2 年生 までに習った簡単な単語のコンビネーションを含んだものを選択するのも良いです。

What I think makes him stand out as a teacher is his ability to relate to the students.

私は、彼が先生として際立っているのは、彼の生徒との関わる能力だと思う

※『パワー音読入』(アルク)P. 39

この例文を次のように音読してみましょう。
What I THI n(k) MA kes him s TA n(d) ou(t) as a TEA cher is his a BI lity to re LA (te) to the students.
  • What I 「ワダィ」のように発音
  • as a 「ェズァ」のように弱く短く発音
  • to the 「トゥダ」のように to を弱く短く発音
簡単な基本語のコンビネーションこそ聞き取りが難しいものです。文構造の 把握 のかなめであり、また本音のスピーディーな手加減なしの会話で使用されます。 「なんとなくは理解できるけれど、はっきりとは分からない」 を解消できます。

太字の大文字は強く高めに、かっこで囲んだ小文字は発音する寸前で飲み込むように寸止めして省略しましょう。これで、急がずとも驚くほどスピーディーに音読でき、聞き取り能力が向上します。

音の数が減るほど当然読むスピードは上がってしまうので、「ゆっくりと、速く」読めるようになります。100メートルを急いで走るのではなく、70メートルを余裕を持って走るイメージですね。 最も極端に省略された音のパターンを優先 して練習しておくことです。これによって、それより省略されていないパターンはすべて聞き取れるようになります。

冠詞、前置詞、代名詞、基本動詞といった簡単で短い単語ほど聞き取りは難しいのです。特にそれらが 固まりとなったときに激しい音の脱落と連結が起こり ます。

リスニングは自分が「言えたら聴ける」と覚えておきましょう!言い換えれば、スペルの長い難しい単語ほど実は簡単に聞き取れます。リスニングではItの方がParticularlyよりも圧倒的に聞き取りにくい、ということになります。

また、モチベーションが極端に下がっていて、この1文でさえ「長すぎて嫌いやだ!」と感じたのであれば、最初のWhat I think makes him stand out as a teacher

というかたまり(主語として一語として認識する部分)だけを音読するのはどうでしょうか? 1 2 分あれば何十回 と練習できてしまいます。

これでも、 発音、聞き取り、英語の語順通りの 処理 (リーディング・リスニング)、英語的発想(無生物主語的な関係詞の使い方) といった英語のスキル、自動化の獲得においてこれだけ多くのことを体に練りこむことが可能となります。

作業 興奮(やる気を起こす力)">スキル4: 作業 興奮(やる気を起こす力)

上記のことができれば、1、2分もあれば、たいてい 作業 興奮が起こり、 さらに多くの練習をしたくなってしまう ものです。その場合、追加の練習をしたなら、すべてが予定以上の 「プラスアルファ」 として練習になるので、計画に追い立てられるプレッシャーがゼロの状態であくまでポジティブにトレーニングを進めることができるでしょう!

上達が実感できる限り、やる気は下がらない 」ものです。ともに上達を楽しんでいきましょう! Let's give it our best!!

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