語彙の強化は、どのレベルの英語学習者にとっても大きな課題。ときにはじっくり単語と向きあってみませんか。書籍『由来とつながりがわかる 英単語語源マップ』 を紹介します。
目次
とっても大事な「語根(ごこん)」
「語根」は漢字の部首と同じ
「語源」という言葉は知っていても、「語根」を知っている方は少ないかもしれません。
語根は漢字でいうところの部首のようなもの。
例えば、魚へんの漢字は、仮に読めなくても魚に関する語だとわかりますね。「鰤」や「鱚」という字を見て、「植物や動物かもしれない」と思う人は少ないでしょう。
同じように、英単語では「語根」がわかれば、おおよその意味が推測できるのです。
語根がわかると派生語(英単語)がわかる
例として、spect という語根を見てみましょう。これには「見る」という意味があるので、その派生語も「見る」にまつわる意味を持つものになります。
- a(~を)+spect(見る)⇒ aspect(外見上の特徴を見ること⇒見方、外観)
- ex(外を)+spect(見る)⇒ expect(何かを求めて外を見る⇒期待する)
- in(中を)+spect(見る)⇒ inspect(何かのものの中を見る⇒検査する)
aspect(外観)と except(期待する)と inspect(検査する)では、それぞれ無関係のように見えますが、語根 spect からの派生語であることを知っていると、関連していることがよくわかりますね。
また、派生語としてまとめて覚えると、とても覚えやすい気がしませんか。
視覚的に覚えられる「語根マップ」
本書では、語根と派生語の関係を、「語根マップ」にまとめています。こちらは、先ほど出てきた語根 spect の例。視覚的で覚えやすいですね!
もうひとつ、「立つ」という意味を持つ語根 sta の例を見てみましょう。
obstacle(障害物)とstage(舞台)、status(身分)といった、一見関係なさそうな語が、同じ語根から派生していることがよくわかります。
「21の語根」と「1,600の派生語」を厳選
覚えるべき語根は21
「語根」が大切なのはよくわかりましたが、語根だけでも500種類ほどあるそう。これを覚えるとしたらそれだけで一苦労ですね。
また、語根には派生語(英単語)が多いものもあれば、少ないものもあります。派生語が少ない語根は、せっかく覚えても効率が悪いのです。
そこで本書は、派生語の多い語根、つまり覚えたときにコスパの高い21の語根を厳選ししています。
覚えるべき派生語(英単語)は1,600
さらに本書では、この21の語根から派生した、1,600の英単語を掲載しています。
「1,600語覚えるのもなかなかキツイ……」と思うかもしれませんが、本書なら安心。
覚えるべき単語の優先順位が、4段階でわかる仕組みになっています。
各単語にはアスタリスク(*)が付いており、アスタリスク3つのものが最優先。そしてアスタリスク2つ、1つ、アスタリスクなしという順です。アスタリスクの数が1~3の約1,000語には例文も付いています。
また、すべての単語に品詞と発音記号がついているのも、学習者にとってうれしいところです。
まとめ
ずっしりした厚みのある本書。手軽さや即効性をうたった単語集とは対照的ですが、21の語根と、例文付きの約1,000の派生語を覚えたころには、じわじわとその効果を実感できそうです。
集中的に語彙を増やしたい方、じっくり単語を学びたい方におすすめ。