インド英語の発音・単語の特徴は?聞き取りで戸惑いやすいポイント

インド英語(Indian English)は、発音や語彙、言い回しに独自の特徴があり、英米英語に慣れていると「聞き取れない」「知らない表現だ」と戸惑うことがあります。ただし、インドは多言語社会。話者の母語や地域、教育背景によって英語の話し方もさまざまです。2016年の掲載時に『インド英語のツボ』著者・榎木薗鉄也さんに伺った解説をもとに、今も知っておきたいインド英語の特徴を整理します。

※本記事は2016年に公開した記事をもとに、当時の榎木薗鉄也さんの解説を生かしながら、ENGLISH JOURNAL編集部が構成・情報を見直しています。

「インド英語」は一つではない

「インド英語」と聞くと、一つの特徴的なアクセントを想像するかもしれません。しかし、インドでは数多くの言語が使われており、英語の発音にも話者の母語の影響が表れます。

同じインド出身の英語話者でも、地域や母語、教育環境などによって発音や語彙の使い方はさまざまです。そのため、「インド人なら必ずこの発音をする」と考えるよりも、インド英語の中にも多様な話し方があると考える方が実態に近いでしょう。

一方で、インドで広く使われる英語には、英米英語とは違って聞こえやすい発音や、インドならではの語彙・表現があります。いくつか知っておくだけでも、出張やオンライン会議などで戸惑いにくくなります。

「r」が強く聞こえることがあるのはなぜ?

2016年の掲載時、インド英語について多く挙がっていたのが「rの音が強く聞こえる」という声でした。

例えば、carmarketなどに含まれるrが、イギリス英語などに慣れた日本人には非常にはっきり聞こえることがあります。

当時、榎木薗鉄也さんは、つづりの影響を受けて文字のrを発音する「つづり字発音」が見られることなどを、インド英語の特徴として説明していました。

ただし、現在の研究でも、インド英語のrの発音は一様ではないことが分かっています。rをはっきり発音する話者もいれば、そうでない話者もいて、母語や地域によって音そのものも異なります。

つまり、「インド英語=必ずrが強い」と覚えるのではなく、英米英語とは違うrの音に出合うことがある、くらいに考えておくのがよいでしょう。

話者の母語によって発音の特徴も変わる

インド英語を聞くときにもう一つ重要なのが、話者の母語です。

2016年の取材で榎木薗さんは、南インドで使われるマラヤラム語を母語とする話者について、英語のt、p、kなどの音が、日本人にはd、b、gに近く聞こえる場合があると説明していました。

インドには多くの言語があり、それぞれ音の仕組みが異なります。そのため、英語を話したときにも母語の音韻体系が影響します。

英語のtやd、thなどが英米英語とは違って聞こえたり、単語のリズムやアクセントの置き方が違って感じられたりすることもあります。

これは「英語を間違えて発音している」というより、それぞれの言語を背景に発達した英語のバリエーションと考えた方がよいでしょう。

辞書にも載っている「インド英語」の単語・表現

発音だけでなく、語彙にもインド英語ならではの特徴があります。

かつては「インド独特の言い方」として紹介されることの多かった表現の中には、現在では英語辞書に「Indian English」と明記されて掲載されているものもあります。

prepone

preponeは、予定を「前倒しする」という意味です。

postpone(延期する)の反対と考えると、とても分かりやすい単語です。

  • Could we prepone the meeting to Tuesday?
    会議を火曜日に前倒しできますか?

英米英語ではmove the meeting forwardなどと言うことが多いですが、インドではpreponeを目にしたり耳にしたりすることがあります。

do the needful

do the needfulは、「必要なことをする」「必要な対応を取る」という意味です。

  • Please do the needful.
    必要な対応をお願いします。

現在の辞書でもIndian Englishとして扱われています。イギリス英語では古風な表現でもあるため、インドのビジネスメールで初めて目にすると、少し戸惑うかもしれません。

意味を知っておくと便利ですが、自分から国際的な相手にメールを書く場合は、何をしてほしいのかを具体的に書いた方が誤解を防ぎやすいでしょう。

out of station

stationというと「駅」を思い浮かべますが、Indian Englishのout of stationは「その場所を離れている」「不在にしている」という意味で使われます。

  • I’ll be out of station next week.
    来週は出張などで不在にしています。

「駅の外にいる」という意味ではないので、知っていないと解釈に迷う表現の一つです。

lakh、crore

数字では、lakhcroreを覚えておくと便利です。

  • lakh:10万
  • crore:1000万

えば、

  • 5 lakh = 50万
  • 2 crore = 2000万

となります。

インドでは金額、売上、人口などを英語で話すときにも、ごく普通に登場する単位です。ビジネスでインドの数字を扱うなら、特に覚えておきたい表現です。

インド英語が聞き取れないときは、遠慮せず確認する

知らないアクセントを聞き取れないのは、インド英語に限ったではありません。

日本人が英米英語に慣れていても、初めて接する地域の英語では、知っている単語がまったく違って聞こえることがあります。

そんなときは、分かったふりをせず確認しましょう。

  • Could you say that again?
    もう一度言っていただけますか?
  • Could you speak a little more slowly?
    もう少しゆっくり話していただけますか?
  • Could you spell that for me?
    つづりを教えていただけますか?
  • Could you type that in the chat?
    チャットに入力していただけますか?

特に、人名、地名、数字、金額などは、聞き間違えると仕事に影響します。オンライン会議ならチャット、対面ならスマートフォンやメモなどを使って文字でも確認すると安心です。

「違う英語」に慣れることも、英語力の一つ

英語は、アメリカやイギリスだけで使われている言語ではありません。インドをはじめ、世界中でそれぞれの地域や言語の響を受けながら使われています。

最初は「聞いたことのない発音だ」と戸惑っても、特徴を少し知り、実際の英語に触れていくと次第に耳が慣れてきます。

一つの「正しい発音」に合わせてもらおうとするよりも、分からないときには聞き返し、お互いに確認しながら意思を伝える。インド英語とのコミュニケーションでも、その姿勢が大切です。

『インド英語のツボ』Kindle版

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構成・文:浦子

オリジナル公開日:2016年9月8日
更新日:2026年9月16日
更新:ENGLISH JOURNAL編集部

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