世界で活躍する若きミュージカルダンサーが大切にする合言葉

英語によるミュージカルと音楽と教育ワークショップに 取り組む 非営利団体「ヤングアメリカンズ」。そのヤングアメリカンズのキャストとして世界で活躍している日本人や、ヤングアメリカンズのキャストを経て、人生を切り開いた人によるリレーコラムをお届けしています。リレーコラムの第2回は、吉岡未遊さんです。

こんにちは。ヤングアメリカンズにデビューして2年目の吉岡 未遊です。現在、 「UK2018春ツアー」 アイルランド・イギリス・ドイツ・スウェーデンを周っています! この記事では、私がヤングアメリカンズのキャストになってから、ツアーで世界に飛び出すまでの体験をお伝えしたいと思います。 

ヤングアメリカンズってなに?

ヤングアメリカンズは、音楽を通じた教育ワークショップ「ミュージックアウトリーチ」に 取り組む アメリカの非営利団体です。

キャストと呼ばれるヤングアメリカンズの若者40人と200人から300人の受講生が一丸となり、たった1日間~3日間のワークショップで、約1時間もの歌って踊る音楽ショーを作り上げます。

受講生はプログラムやショーを通じて、自らを自由に表現すること、仲間と何かを作り上げる素晴らしさなどを体験します。

1月から3月は、ちょうど日本でも「ミュージックアウトリーチ」を開催中です。ご興味がある方は私たちが作り上げた音楽ショーをぜひご覧ください。

ヤングアメリカンズ・ジャパンツアー2018春

リハーサルはカリフォルニアで

「ミュージックアウトリーチ」は、3カ月かけて世界を周るツアー形式で行われます。その準備とリハーサルは全て、カリフォルニア州のコロナにあるヤングアメリカンズのカレッジキャンパスで行われます。 同時に 、 「 ジャパンツアー 」 「 UKとアイルランドツアー 」 「 アメリカとカナダツアー 」が行われるため、大勢のキャストでキャンパスは大変にぎわいます。 

初めてメンバーが顔を合わせる日

リハーサルの初日は、これからの3カ月を一緒に過ごすメンバー全員の顔合わせの日でもあります。入団時期やそれまでに経験したツアーの数も異なるメンバーで構成されるので、初めて会う人も多く最初は少し緊張します。また、自己紹介では、ディレクターの前で10秒だけ歌うこともあります。このときは、ますます緊張しますね(笑)。

私は、仲間と早く打ち解けたかったので、親しみを込めてこんなふうに話しかけていました。

So , how many tours have you been on ?

これまで何回ツアーに参加したの?

I saw you dance earlier, I was so amazed !

How long have you been dancing?

さっきあたなが踊るところを見てたんだけど、ほんとにすごいね。

どれくらいダンス続けてるの?

I heard you went on the World Tour last season. How was that like?

あなたは、前シーズンはワールドツアーに出てたんでしょ?どんなだった?

It’s my first time going to (Japan/Germany/the U.K.), what’s the workshop like over there?

回は、初めてイギリスのツアーに行くんだけど、向こうはどんな感じなの? 

最初の1週間でショーの全てを作り上げていく

「ミュージックアウトリーチ」には、第1幕のショーと第2幕のワークショップがあり、ショーでは誰が何をするのか、ワークショップでは誰が何を教えるのかなどを、3カ月続くリハーサルの最初の1週間で決定し、作り上げます。

  • 第1幕_キャストだけで行う音楽ショー
  • 第2幕_子どもたちと一緒にショーを作り上げるワークショップ
リハーサル期間中は学校は毎日人であふれかえり、それぞれのキャストがショーのナンバーを練習したり、ディレクターとショーを作り上げたりしていきます。  

特別な才能を持った仲間に出会える

ヤングアメリカンズには、さまざまな特技や才能を持った人が沢山います。私はこれまで、本格的な歌やダンスのお稽古をしたことがありませんでした。唯一ピアノだけは7歳からずっと習っていてショパンやドビュッシーなど、有名な曲も弾くことができました。

ですが、ヤングアメリカンズには、 楽譜は読めないのに即興でピアノが弾ける人たちがいる んです。私にはそれが不思議で仕方ありませんでした。スゴイと思うと 同時に 少し悔しくもなりました。そのときから、私も少しずつ即興の練習をしてみることにしました。ピアノを通じて世界を広げてもらったような気持ちになりました。

仲間と絆を深めていくとき

ショーの構成が決まったら、本番と同じようにコスチュームを着てマイクを付けて、ツアー出発まで何度も通しで練習します。

ほかのチームのショーを見て、自己研鑽することも欠かせません。自分たちと違うショーを見ると、 ひらめきや感動があり、感覚が磨かれていく感じ がします。友達がショーの中で何をするのか、他のチームはどんな雰囲気なのか、常に関心があります。

また、 お互いの才能や、努力など優れたところを心からすばらしいと感じたり 、その場が、 お互いを応援したいと思う雰囲気で包まれ 、みんなで盛り上がる感覚が私はとても好きです。 

自分のスキルや話せる言語を仲間のために役立てたい

話せる外国語が多ければ、仲間の役に立つ機会も多いです。だから、私はこれからさまざまな言語を学んでスキルアップしていきたいと思っています。

えば、ドイツツアーは近隣のオランダ、リトアニア、エストニアなどを回ります。

ドイツにいるときにはドイツ出身のキャストが通訳を積極的に行ってくれました。オランダに行ったときは、オランダ語とドイツ語が似ているらしく、そのドイツ人キャストが助けてくれました。
リトアニアやエストニアは英語が堪能な子どもが多い学校に行ったのですが、中にはロシア語を話す小さい子たちが多かったので、ロシア語が少しわかるキャストが通訳を買って出たりと、各自の特技、スキルを惜しみなく提供します。

また、けがや具合の悪くなったキャストが出た場合は、お互いにカバーし合います。
ツアーの後半で疲れが溜まってきたときこそ、チームワークの見せ所です!

リハーサル最終日 

リハーサル最終日はコスチュームやショーで使う小道具、楽器などのパッキングをします。ツアーに向けて出発するのはワクワクも大きいですが、他のツアーに行く友達と3カ月会えなくなるため少し寂しく感じます。

でもツアーに出かけたら、ホームステイ先で今まであまり話したことのないキャストと時間を過ごしたり、先輩にいろいろ教えてもらうことができるので、楽しく過ごすことができます。

ワークショップでの教え方のコツから、お互いの生い立ち、将来の夢などを話していると、ヤングアメリカンズには本当にいろんな人が集まっているんだな、と感じさせられます。そんな私たちが毎日子ども達と一緒に楽しい時間を過ごすためにひとつになる、そんな場所に居られることを幸せに思います。

作業 も仕事の一部">機材の搬出と搬入の 作業 も仕事の一部

ヤングアメリカンズは毎回、会場のセットアップを自分たちで行います。トラックからスピーカー、マイク、音響、照明、ステージ上で使う台、小道具、コスチュームなど、ワークショップとショーで使われる全ての機材をトラックから降ろすところから始まります。

そして、3日目のショーの後には、使ったものを全てまたトラックに戻します。この 作業 は何人かでひとつの役割が当てられます。同じ 作業 に携わる仲間はクルーと呼ばれ、クルーの仲間と 作業 を正確かつ迅速に行うために、そしてキャスト全体が一丸となって 作業 を終わらせられるように、みんなで声を掛け合いながら進めていきます。

いつもクルーのリーダーが 作業 にかかる時間を計っているので、緊張感もありますが、いつもより早く終わらせられたときはみんなで大喜びします。

搬入や搬出の出際には、次のような表現でお互いに声をかけ合っています。

You guys are doing AWESOME!

みんな、すごく頑張ってるね!

Kids come in 20! Let’s wrap things up in 5!

あと20分で子どもたちが来る!すべて5分で片付けよう!

お互いの士気を高める合言葉

搬入の前、ステージマネジャーから集合がかかり、会場での注意事項などを聞きます。話が終わって搬入に入るときに、ステージマネジャーがお決まりの合図を言います。

ステージマネジャー:I know we only have an hour to set up everything before the kids come, but I know we can do it! Lets do this!

ワークショップに参加する子どもたちが来て開場するまでの、たった1時間ですべてをセットアップしなければならない。だけど、私たちにはそれができる!よし、やろう!

 

ステージマネジャー:ONE, TWO, THREE…

1、2、3・・・

 

キャスト:BREAK!

とりかかろう!

キャストみんなで "BREAK!" と声を合わせて言ってから、それぞれの 作業 に取り掛かります。みんな走って 作業 場に向かいます。Time is money!(時は金なり)ですから。この "One, two, three . . . Break!"の合言葉 を言うことで士気が高まってやる気が出るんです。

この合言葉は、ヤングアメリカンズがワークショップのときに子どもたちとの合言葉としても使います。

最後に

私は「今しかできないこと」を経験したかったので、思い切ってヤングアメリカンズの世界に飛び込みました。以前、ワークショップの参加者としてキャストたちから学んだ、「心と体を使って、自分が持っている何かを伝える」こと。私ができる日はいつくるのか?答えは、行動を起こすときでした。英語も音楽も、一歩飛び込んだ 先に 成長するチャンスが待っていますよ!

Youtube UK Spring 2018 

私も歌っているので、探してみてくださいね。

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文:吉岡未遊
青山学院大学卒業後、2016年にヤングアメリカンズ入団。中学3年生の時にヤングアメリカンズのショーを初めて鑑賞、翌年からワークショップに参加。現在UK2018春ツアーでアイルランド・イギリス・ドイツ・スウェーデンを周っている。

編集:honeybun

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