『柴田元幸と9人の作家たち』編集担当:白川雅敏(編集開発本部)
みなさまこんにちは!アルク広報チームの河合です。語学、コミュニケーションに関するアルクの新刊やイベントなどの情報をお届けする「今月のアルクちゃん」。今回は、重版発売となった『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』にスポットを当て、この書籍の編集者に話を聞きました。
今月のスポットライト
学習に使う?読んで楽しむ?
本年度のノーベル文学賞をカズオ・イシグロ氏が受賞しました。みなさんはイシグロ作品をもうお読みになっていますか。
ノーベル文学賞発表の日のイシグロ氏の記者会見は記憶に新しいところですが、それ以前に彼の肉声を聞いたことがある方は、日本では多くはなかったかもしれません。
長崎出身のイシグロ氏がノーベル文学賞を受賞したとなれば、文学ファンならずともどんな人なのか気になりますよね。
11月24日に重版発売となった、『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』はイシグロ氏をはじめ、毎年ノーベル文学賞 候補 として話題となる村上春樹氏など、9名の世界的な作家たちのインタビューを収録した1冊。翻訳家でアメリカ文学研究者である柴田元幸氏が、作家たちの創作の現場を訪れ、小説の作法等について語ってもらっています。
ポール・オースター、リチャード・パワーズ、レベッカ・ブラウン、スチュアート・ダイベック、T・R・ピアソンといった、柴田氏が作品の翻訳を行った作家から、カズオ・イシグロ、アート・スピーゲルマン、シリ・ハストヴェット、そして、村上春樹といった柴田が敬愛する作家まで計9人の作家が登場!
英語インタビューは、柴田氏自らが編集し翻訳しました。村上春樹氏を除く作家たちの肉声は付属のCDに収録されています。インタビューページは、左ページが英文、右ページがそれを翻訳した日本語ページになっています。
作家たちの言葉に触れ、世界最高の知性と感性を磨ける英語教材『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』は、文学ファンのみなさまにも、おすすめの1冊です。では、最後に、この本の編集担当者である白川からメッセージをお届けします。
『ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち』は、“奇跡”で出来上がった宝物のような書籍だと思っています。雑誌(『ENGLISH JOURNAL』)に掲載するためだったとはいえ、刊行まで実に5年もの月日がかけられています。
さらに、そのノーベル賞級のラインアップも“宝物”だと信じる理由です。
インタビューは取材した順に掲載されているのですが、最初の6人は雑誌掲載のためのアメリカ取材、そして、続くカズオ・イシグロ氏、ポール・オースター氏、そして村上春樹氏は、この本が『ナイン・インタビューズ』として生まれるために集結した、そんな気さえするのです。
“奇跡”のひとつ、イシグロ氏のインタビューは、彼が2001年のハヤカワ国際フォーラムのために来日した際に行われたもの。フォーラムにおいて、イシグロ vs. 柴田という公開インタビューの 可能性 もあったものの、本書のためのインタビューという、特別で親密な“場”が選ばれました。
■「我々はみな執事である」――カズオ・イシグロの“思想”に触れる
「我々はみな執事である」。執事のスティーヴンズを主人公とした、カズオ・イシグロ氏の代表作『日の名残り』にちなんだ、この印象的なフレーズについての質問からインタビューは始まります。
スティーヴンズは、第二次世界大戦時にナチスのファシズムに加担した、善意あふれる主人に執事として貢献するわけですが、主人が犯罪者となってしまったら、自分の行いも過ちとなってしまうのか? そう問いを立てます。イシグロ氏は、“われわれ”をこのスティーヴンズになぞらえるのです。
「私は自分の仕事を精一杯やろう、私の貢献をどう使うかは私の雇い主次第だ、ご主人が最良とお思いになる形で使ってくださればよいのだ」というのが、私たち一般の人間の姿勢なのではないか、と。
普段は小説という方法でこうした“思想”を伝えているイシグロ氏ですが、柴田元幸という最良の聞き手を得ることで、自分の声でこうした“思想”をわれわれ読者に語りかけます。
インタビュー後半で、イシグロと柴田が盛り上がりを見せる、小説の伝統的ルールを破ることについて語る件も聞き逃せません。
- 作者: ポール・オースター、村上春樹、カズオ・イシグロ、リチャード・パワーズ、レベッカ・ブラウン、スチュアート・ダイベック、シリ・ハストヴェット、アート・スピーゲルマン、T・R・ピアソン、柴田元幸
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2004/03/26
- メディア: 単行本
新刊案内
1. 『ENGLISH JOURNAL』2017年12月号(11月6日発売)
「おいしくない」と言われてしまいがちなイギリス料理。でも、それはもう過去の話。本特集では、現地のレストランやパブなどへの取材を通して、イギリス料理の新たな魅力をご紹介します。
特別企画では、没後20年になるダイアナ元妃の歩みを振り返ります。
そしてEJインタビューは、イギリスの有名シェフ、ジェイミー・オリヴァーと、故ダイアナ妃のパーソナル・デザイナーを務めたことでも知られるデザイナー ポール・コステロです。
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2017/11/06
- メディア: 雑誌
2. 『レッスンごとに教科書の扱いを変えるTANABU Modelとは』(11月15日発売)
英語力アップ全国2位(「GTECのスコアが伸びた学校の研究(2016)」より)を達成した、青森県立田名部高等学校での授業実践「TANABU Model」を紹介しています。
「TANABU Model」で学んだ生徒たちの「GTEC for STUDENTS」の3年間の伸びは、全国平均のほぼ2倍を示しました。生徒に英語を使わせてることで英語の定着を図る「TANABU Model」の現場を、 取り組み 主導してきた著者陣が詳細に伝えます。
- 作者: 金谷憲、堤孝
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2017/11/15
- メディア: 単行本
3. 『3週間で攻略 TOEICR L&Rテスト900点!』(11月14日発売)
本書の対象は800点前後~900点未満の方。学習の核となる別冊付録のオリジナル模試「900点徹底攻略模試~直前コア問題200~」には、900点以上のスコア所持者と、800点前後~900点未満の所持者で、正答率に差が出やすい問題を掲載しています。
「1回分の模試」を3回解いて細部まで消化・吸収することで、900点獲得に必須の「受験力+英語力」を 強化する 、3週間の濃密特訓プログラムです。
- 作者: 大里秀介
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2017/11/14
- メディア: 単行本
4. 『改訂版 キクタン英検』、1級、準1級、2級、準2級(11月17日発売)
音声を聞くだけで英検に頻出の英単語を覚えられる単語集、「キクタン英検」を全面改訂しました。
音声には、これまでのチャンツに加えてセンテンスも収録。「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能が問われる英検対策書として、さらに進化しました。
また、旧版が発売された2010年以降の出題 傾向 の変化を 分析 し、見出し語と見出し順も全面的に改訂。目標級合格に必要な語彙力を必修順に並べ直しています。
- 作者: 一杉武史
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2017/11/17
- メディア: 単行本
ニュース
1. Amazon Alexa スキルとして「キクタン」など計4タイトルを提供
11月8日にアマゾンジャパンが発表した「Amazon Alexa(アレクサ)」とスマートスピーカー「Amazon Echo」は、大きな話題となりました。
Alexaとは、アマゾンが提供するクラウドベースの音声サービスのことで、「Amazon Echo」を動かす頭脳の役割を果たしています。
「Amazon Echo」に話しかけるだけで、Alexaは音楽の再生や、部屋の明かりの点灯・消灯、天気予報の読み上げなどをいろんなことをしてくれます。
Alexaが行う機能は「スキル」と呼ばれていますが、アルクも4タイトルのスキルを開発・提供しています。これを使えば、テキストやアプリを開かず「Amazon Echo」に“ただ話しかけるだけ”で英語学習ができます。
「Amazon Echo」に触れる機会があれば、「アレクサ、キクタン開いて」「アレクサ、アルクの英語クイズ開いて」と話しかけてみてくださいね。新「ボイス」時代の英語学習を、お試しください。
▼詳しくはこちら▼
語学教育のアルク、英語学習に役立つAmazon Alexa スキルとして「キクタン」など計4タイトルを開発|株式会社アルクのプレスリリース
2. 第7回 TPS(TTT Prep School)ヒロ前田のTOEIC(R) L&Rテスト Part7 究極のゼミ LIVE(12月2日・3日)
TTT(TOEICスコアアップ指導者養成講座)修了の講師陣が学習者のスコアアップを指導する「TPS(TTT Prep School)」。
今年最後の開催となる第7回企画は、新形式Part7だけに的を絞り、トレーナーのヒロ前田氏が2日間かけて徹底的にスコアアップ法を伝授します。
2016年春の新形式移行後、リーディングセクションの半分以上を占めるPart7は、問題の量、バリエーションも増え、技術と戦略が必要となるパートになっています。
▼詳しくはこちら ▼
第7回 TPS(TTT Prep School) ヒロ前田のTOEIC L&Rテスト Part7 究極のゼミ LIVE|セミナー|アルク
3. 第3回 ALC Learners’ Club(12月16日)
「1000時間ヒアリングマラソン」をはじめとするアルク通信講座を受講している方を中心にした、英語学習者のための“学びの再点火”イベントです。
3回目の開催となる今回は、ゲストに河田英介先生を迎え、クリスマスをテーマにした英語での文学表現に触れて学びます。
さらに、「英語川柳」という方法を通じて自由な創作、クリエイティヴ・ライティングにも挑戦してみましょう!
そのほか、今回もESAC英語学習アドバイザーによる個別学習相談や、学習者同士のコミュニケーションアワー、アルクスタッフとの交流の場もご用意しています。
寒い季節ですが、学びの炎を燃やしに、ぜひお越しください。
第3回 ALC Learners' Club(ALC2) ゲスト:河田 英介先生|セミナー|アルク
それではまた、来月にお会いしましょう!
文:アルク 広報チーム
アルクの会社案内サイトをリニューアルしました。また、言葉やコミュニケーションについての情報発信を行うWebマガジン「アルクplus」も開設しました。どうぞご覧ください。
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SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。