間違った木にほえる⁉「bark up the wrong tree」【英語イディオム学習帳】

イディオムは、私たちのコミュニケーションや思考を豊かに表現します。この連載では、そうした表現が「どんな意味で」「どんな場面で」使われるのかを、英語学習者の視点で整理していきます。今回取り上げる表現は「bark up the wrong tree」です。

bark up the wrong treeの本当の意味は?

「bark up the wrong tree」というフレーズは、文字通りには「間違った木の上に向かってほえる」という意味です。しかし、イディオムとしては「見当違いのことをする」や、「的外れな非難をする」を表します。

この表現は、19世紀にアメリカで行われていたアライグマ狩りに由来しています。

当時、アメリカでは主に毛皮を取る目的で、アライグマ狩りが広く行われていました。典型的な狩猟法は、イヌを使ってアライグマを木の上に追いつめ、人が猟銃で仕留めるというものです。猟犬はアライグマを木に登らせると、その木の下でほえて獲物の居場所を知らせます。しかし、イヌが気づかないうちに、アライグマが別の木へ移ったり、その場から逃げたりしてしまうこともありました。すると、イヌは獲物がもういない木の下で、なおもほえ続けることになります。

こうした狩猟の場面から生まれたのが、bark up the wrong tree(見当違いのことをする)という表現です。獲物がいなくなった木に向かって、イヌが無駄にほえ続ける様子が、そのまま比喩として使われるようになりました。この用例は1830年代のアメリカですでに確認されており、開拓時代の狩猟文化をうかがわせます。

bark up the wrong treeが使われる場面

bark up the wrong treeは、誤った思い込みをしていたり、非難の対象を間違えていたりするときに使われます。特に、犯人探しや責任追及、原因を特定する場面で、「それは見当違いだ」「疑う相手が違う」と指摘するときによく用いられる表現です。

例文紹介

では、bark up the wrong treeの用例を見てみましょう。この表現は通例進行形で用いられます。

  • If you think I leaked the information, you’re barking up the wrong tree.
    もしその情報を漏らしたのが私だと思っているのなら、見当違いです。

  • Blaming Tom is barking up the wrong tree.
    トムを責めるのは見当違いだ。

狩猟の用語から生まれた表現

bark up the wrong tree以外にも、イヌを使った狩猟法から生まれた表現があります。

  • tree(~を追いつめる、窮地に追い込む)
    イヌが獲物を木に追いつめることから生まれた動詞です。もともとはアライグマやリスなどを木の上に追い上げる狩りの場面で使われ、そこから「相手を追いつめる」「窮地に追い込む」という意味でも用いられるようになりました。

  • hound(~しつように追う、責め立てる)
    hound は、本来「猟犬」を意味する語ですが、動詞として「猟犬のようにしつこく追い回す」という意味で使われます。そこから、「相手をしつように追う」「問いつめる」「責め立てる」といった意味へと広がりました。実際の狩りでは、猟犬は獲物のにおいを追い続け、簡単には追跡をやめません。そうしたイヌのイメージが、人をしつこく追及する行為に重ねられて、この表現が使われるようになりました。

  • keep A at bay(Aを寄せつけない、食い止める)
    これは、猟犬に追われた獲物が逃げ場を失い、追っ手に向き合う状態から来た表現です。bay はもともと「イヌのほえ声」という意味で、at bay は狩りで獲物が追いつめられている状態を指します。そこから keep A at bay は、「Aを近づけさせない」「Aを寄せつけない」「Aを食い止める」という意味で使われるようになりました。

まとめ

bark up the wrong tree は、猟犬が間違った木に向かってほえることから来たイディオムです。相手の誤解や見当違いを指摘する表現で、日常会話からビジネス、報道まで幅広い場面で使われています。

ENGLISH JOURNAL編集部
ENGLISH JOURNAL編集部

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