「格差」は英語でなんて言う?米Amazonで労働組合結成を従業員が否決

ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!

今回のニュース

アメリカアラバマ州にあるAmazon.comの物流施設で行われた、労働組合を結成する かどうか を問う従業員投票が、否決という結果に終わったというニュースです。主導した労組は異議申し立てを行うようですね。

Amazon employees reject the formation of a union, the union side disputes results

Amazon従業員、労組結成を否決 組合側は異議

2021年4月26日に配信されました。

まずは聞いてみよう!

音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。

※ノーマルスピード(1倍速)の音声です

理解度をチェック!

ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。

Which statement is true?

(A) Most of the voters were not in favor of forming a union.
(B) Amazon’s spokesperson was disappointed with the decision to form a union.
(C) Amazon’s workers want to form an independent union.

詳細を聞き取ろう

今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。

スクリプト

Amazon employees reject the formation of a union, the union side disputes results

On the 9th, an employee vote on whether to form a labor union at a logistics facility operated by US Amazon.com in the southern state of Alabama was rejected by a majority. Amazon announced it in a statement . The retail union "RWDSU," which led the union formation activities at the facility , plans to dispute the voting results, and it is expected that the final settlement will take even longer.

Of the 3215 total votes cast by workers, the number of negative votes exceeded the 1608 votes required to obtain a majority, and it was decided to reject the formation of a union. About 6,000 people are working at the facility , and the voting rate was about 55%. Of the valid votes collected by the National Labor Relations Board (NLRB), which has jurisdiction over employee voting, there were 1798 votes against and 738 in favor as of the 9th. The formation of unions at the company has been attracting attention as action to reduce disparities in the US, where the economy is becoming more and more digital.

On the same day, an Amazon spokesperson released a statement welcoming the results, saying, "We are pleased that the voices of our employees were reflected in the final results. Our employees chose to oppose joining a union." They emphasized their stance of improving the treatment of workers in the US, including cooperation in raising the federal minimum wage to 15 dollars, and called on people to "build better cooperative relationships rather than stand against each other ."

翻訳

Amazon従業員、労組結成を否決 組合側は異議

米アマゾン・ドット・コムが南部アラバマ州で運営する物流施設で行われた労働組合結成の是非を問う従業員投票は9日、反対多数で否決された。アマゾンが声明で明らかにした。同施設での労組結成の活動を主導した小売り産業の労組「RWDSU」は投票結果に異議を申し立てる 方針 で、最終決着にはさらに 時間がかかる 見通しだ。

労働者の投票総数3215票のうち、反対票が過半数獲得に必要な1608票を超え、労組結成は否決されることが固まった。同施設では約6000人が働いており、投票率は約55%だった。従業員投票を管轄した全米労働関係委員会(NLRB)が9日までに集計した 有効 票のうち反対は1798票、賛成は738票だった。同社の労組結成は、経済のデジタル化が進む米国で格差是正をめざす動きとして注目を集めていた。

アマゾンの広報担当者は同日「従業員の声が最終的な結果に反映されたことをうれしく思う。従業員は組合への加入に反対するという選択をした」と歓迎する声明を発表した。連邦最低賃金の15ドルへの引き上げへの 協力 など米国で働く労働者の待遇 改善取り組む 姿勢を強調し「お互いに対抗するのではなく、よりよい 協力 関係を築ける」と呼びかけた。

覚えておきたい単語リスト

ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がいいものをまとめました。一つずつ、意味を確認してください。

  • labor union: 労働組合
  • logistics: 物流
  • dispute : 異議を申し立てる
  • settlement: 決着
  • cast: 投じる
  • obtain a majority: 過半数を獲得する
  • valid vote: 有効
  • have jurisdiction over : ~を管轄する
  • in favor : 賛成して
  • disparity: 格差
  • stand against : 対抗する

ニュースのポイント

Amazonの物流施設での労働組合結成の是非を問う投票で反対が上回ったというニュース。少し長い文から始まっています。主語はvote、動詞がwas rejectedですね。a logistics facility (物流施設)がoperated~Alabamaで説明されています。第2文も主語The retail union “RWDSU”に対して関係代名詞節が説明しており、動詞plansがかなり遠くに登場します。コンマで挟まれた関係詞節は説明する名詞を限定するのではなく、補足説明を加える働きです。 dispute は「異議を唱える」という意味ですが、「論争する、対立する」という意味もあり、「議論、紛争、労働争議」という名詞でもあります。

第2段落に登場するmajorityは「過半数」、 有効 票の半数を超えている状態のことです。a two-third majorityのように説明が入ると3分の2を超えた得票という意味になります。第1文と第3文がofで始まる前置詞句で始まっているのは、最初に範囲を説明したのちに結論を述べた方がわかりやすいとの 判断 によるものでしょう。第3文に登場する against は「~に反対の」という意味、in favor は「賛成の」という意味です。賛成を表すのに前置詞の for を用いることもあります。

第3段落は投票そのものではなく、投票結果を受けたAmazonの広報担当者の反応について述べたもの。ニュースでは最初に本質的な情報、その後、周辺情報を提供するという流れになることが一般的ですね。

今週のキーワード

valid 有効 な、正当な
今回は valid vote( 有効 票)という使われ方をしていますが、 valid reason(正当な理由)、 valid credit card( 有効 なクレジットカード)、 valid photo identification有効 な写真付き身分証明書)などもよく使われる表現です。

クイズの正解">クイズの正解

(A)

いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週月曜日の 更新 をお楽しみに!

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天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE

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