ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!
今回のニュース
個人情報を預かり第三者に提供して利益をあげつつ、情報提供者にも対価の還元を行う「情報銀行」。この情報銀行の扱える情報の種類が、医療や健康に関するものにも 拡大 するというニュースです。
Government to allow information banks access to health data as soon as late fiscal 20212021年4月28日に配信されました。情報銀行に健康データ 政府、21年度後半にも解禁
まずは聞いてみよう!
音声は以下から聞くことができます。一体、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。
※ノーマルスピード(1倍速)の音声です
理解度をチェック!
ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。
What kind of personal information is currently available to information banks?(A) To -do lists.
(B) Medical data .
(C) Information about hobbies.
詳細を聞き取ろう
今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。
スクリプト
Government to allow information banks access to health data as soon as late fiscal 2021
Information banks, which obtain personal data with the consent of users and provide it to third parties, will be able to handle health and medical related information . The government is set to lift the ban as soon as the second half of fiscal 2021. Until now, handling such information has not been possible due to information protection concerns. This will create an environment to securely distribute data like medical checkup items and prescription histories, helping companies to develop medications and foods.
An information bank is a service that acquires personal data with the consent of the user and provides it to companies that want to utilize it. It's a system where information banks get profit through a series of exchanges, and individuals who provide the information are rewarded with points or other compensation .
Private sector organization , the Information Technology Federation of Japan, set the certification standards and started certifying at the end of 2018. Sumitomo Mitsui Trust Bank and Chubu Electric Power Company are among the seven companies that have received certification.
Currently , the information that can be handled is limited to personal hobbies and individual e-commerce (EC) purchase history, and does not include medical or health information . This is because the Japan Medical Association and others have expressed concern that there is a risk individuals will not fully understand how their data will be used by third parties.
For this reason, the Ministry of Internal Affairs and Communications (MIC) launched a pilot project for the handling of health and medical information in November 2020. The Ministry also worked with an IT ( information technology) company affiliated with medical associations, the Japan Medical Association ORCA Management Organization (Bunkyo, Tokyo), and determined that it had gained a measure of understanding for ensuring safety.
翻訳
情報銀行に健康データ 政府、21年度後半にも解禁
利用者の同意を得て個人データを預かり第三者に提供する「情報銀行」が、健康や医療に関する情報も取り扱えるようになる。政府が2021年度後半にも解禁する。これまでは情報保護の観点から、扱うことができなかった。健康診断の検査項目や薬歴といったデータを安全に流通させる環境を整え、企業の製薬開発や食品開発などに役立てる。
情報銀行は利用者の同意を得たうえで、個人データを預かり、活用したい企業に提供するサービス。情報銀行側は一連のやりとりを通じて収益を確保し、情報の出し手である個人にはポイントなどの対価が還元される 仕組み だ。
民間の「日本IT団体連盟」が認定 基準 を定め、18年末から認定業務を始めており、三井住友信託銀行や中部電力など7社が認定を受けている。
現状で扱うことができる情報は、個人の趣味、電子商 取引 (EC)での購入履歴などに限られており、医療や健康情報などは対象外。データが第三者にどう使われるかを個人が理解しきれないリスクがあるとして日本医師会などが 懸念 を示していたためだ。
このため総務省は20年11月、健康・医療情報の取り扱いに向けた実証事業に着手。医師会系のIT(情報技術)企業である日本医師会ORCA管理機構(東京・文京)とも連携し、安全性の担保への一定の理解を得たと 判断 した。
覚えておきたい単語リスト
ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がよいものをまとめました。1つずつ、意味を確認してください。
- be set to : ~することになっている
- consent : 同意
- third party: 第三者
- lift: 解除する
- ban: 禁止
- medical checkup : 健康診断
- prescription history: 薬歴
- medication: 薬剤、医薬
- acquire : 獲得する
- reward: 報いる
- private sector: 民間部門
- certification standard : 認定 基準
- certify : 認定する
- e-commerce: 電子商 取引
- purchase history: 購入履歴
- affiliate : ~を傘下に置く
- a measure of: 一定の
ニュースのポイント
「情報銀行」が健康や医療に関する情報を扱えるようになるというニュース。第1文では非制限用法の関係詞節 which obtain personal data with the consent of users and provide it to third partiesが主語の直後に挿入され、文の構造が見えにくいと感じるかも知れません。主語を見たら常に動詞の登場を待ちながら読み進めるようにしましょう。第2文のlift the banは「禁止を解除する」つまり「解禁する」という意味。最後の文の後半、helping companies to develop medications and foods.は前半部分に情報を追加する分詞構文で、ニュースでは頻繁に使われています。
第2段落は information bankの 仕組み を説明していて、第3段落では認定の 仕組み と認定を受けている企業に関する情報が述べられています。前置詞 among はbe動詞の後に登場してone of ~、some of ~という意味合いで使われることの多い単語です。
第4段落は、現在「情報銀行」が医療や健康に関する情報を扱えない背景についてです。第2文は concern の内容を表すthat節の中にa riskの内容を表すthat節が埋め込まれ、しかもthatが省略されています。
第5段落は今回の変更に至る経緯を述べています。 determine は「見極める、 判断する 」という意味で用いられており、a measure of ~は「一定の~」という意味の表現です。
今週のキーワード
party当事者、関係者あまりにもなじみのある単語ですが、人の集まりを表すいろいろなものを指します。「政党、一行、団体」などの意味に加えて「当事者、関係者」の意味もあります。a third partyで「第三者」の意味ですね。
クイズの正解">クイズの正解
(C)
いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週月曜日の 更新 をお楽しみに!
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天満嗣雄(てんまひでお) 中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『 TOEIC(R) L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1 TTT速習シリーズ 』『 TOEIC(R) L&Rテスト 「直前」模試3回分 (いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE
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