ビジネスの場で英語を話すなら、国際情勢や経済動向、企業戦略など、世界の最新事情に触れる機会が必ず訪れます。そんなとき、「今話題のあれを英語でなんて言うのか」を学ぶのに最適の素材が英語のニュースです。日経LissNで配信されている最新情報を、英語講師の天満嗣雄先生がわかりやすく解説します!
今回のニュース
個人事業主なのか被雇用者なのかという議論は日本でも話題になることがありますが、アメリカでも起こっているようです。カリフォルニア州でライドシェアのドライバーの位置付についてUberとLyftが提訴されました。
US state California sues Uber and Lyft over “gig worker” protection米加州、ウーバーとリフトを提訴 「ギグワーカー」保護2020年5月20日に配信されました。
まずは聞いてみよう!
音声は以下から聞くことができます。いったい、どんなことが話されているのか、概要を 把握する つもりで聞き取りましょう。
※ノーマルスピード(1倍速)の音声です
理解度をチェック!
ニュースの内容について、しっかり聞き取って理解できているか確認しましょう。次の問題について、正解の選択肢を選んでください。
What is the aim of the new state law?正解は、この記事の最後に掲載しています。(A) To support those who work in the IT field .
詳細を聞き取ろう
今度は、スクリプトや翻訳を確認しながら、もう一度音声を聞いてみてください。聞き取れていなかった箇所や、意味がわからなかったところなどを重点的に確認してください。
スクリプト
US state California sues Uber and Lyft over “gig worker” protection
The US Attorney General Becerra of California State announced on the 5th that he had filed a lawsuit against US rideshare giants Uber Technologies and Lyft.
He is seeking the revision of their employment practices on the grounds that both companies have violated state law and deprived drivers, who provide services, of their rights to worker protection. While Uber has announced its willingness to dispute the claim , Lyft has displayed an attitude aiming for reconciliation , and there is a possibility that the two companies will have different responses moving forward .
In January 2020, the state enacted a new state law called “AB5” to protect the rights of “gig workers” who undertake one-off jobs via the Internet, such as ride-sharing drivers.
The aim is to crack down on companies trying to avoid the burdens of minimum wage guarantees, overtime wage payments, unemployment insurance, paid sick leave , and so on , by classifying workers who are essentially in an employment relationship and should be treated as employees as independent sole proprietors.
Attorneys from the cities of Los Angeles, San Diego, and San Francisco also joined the plaintiff side of the petition filed in the Superior Court of California.
They are demanding that Uber and Lyft treat drivers as employees and that civil fines that can reach hundreds of millions of dollars ( several tens of billions of yen) are imposed.
翻訳
米加州、ウーバーとリフトを提訴 「ギグワーカー」保護
米カリフォルニア州のベセラ司法長官は5日、米ライドシェア大手のウーバーテクノロジーズとリフトを相手取り訴えを起こしたと発表した。
両社が州法に違反しサービスを担う運転手らから労働者保護の権利を奪ったとして、雇用慣行の見直しなどを求めている。ウーバーが争う構えを表明する一方、リフトは和解を目指す姿勢を示しており、 今後 、両社の対応が分かれる 可能性がある 。
同州はライドシェアの運転手などのように ネットを通じて単発で仕事を請け負う「ギグワーカー」らの権利を保護するため、2020年1月に「AB5」と呼ぶ新たな州法を施行した 。
本来は雇用関係にあり従業員として扱うべき労働者を独立した個人事業主に分類することで、最低賃金の 保証 や残業代の支払い、失業保険、有給の病気休暇などの負担を回避しようとする企業を取り締まるのが目的だ。
カリフォルニア州の上級裁判所に出された訴状の原告側にはロサンゼルス市やサンディエゴ市、サンフランシスコ市の弁護士らも加わった。
ウーバーとリフトに対し運転手らを従業員として扱うことや、数億ドル(数百億円)に達する 可能性 のある民事制裁金を科すことなどを求めている。
覚えておきたい単語リスト
ニュースに出てきた表現のうち、難しいものや、特に知っておいた方がいいものをまとめました。一つずつ、意味を確認してください。
- Attorney General : 司法長官
- filed a lawsuit against : を相手取り訴えを起こす
- practice : 慣行
- on the grounds that: として
- reconciliation : 和解
- enact: を制定する
- undertake : 請け負う
- one-off: 単発の
- crack down on : を取り締まる
- petition : 訴状
- sole proprietors: 個人事業主
- plaintiff: 原告
ニュースのポイント
偽装請負。本来は被雇用者として保護されるべき労働者を個人事業主として扱うことで、費用負担を回避しているとして、日本でも問題になっています。
第1段落では、米国カリフォルニア州の司法長官がUberとLyftを訴えたことが述べられています。lawsuitは単にsuitと言う場合もあります。 attorney はdoctorのorと同じ音。「トー」とは聞こえませんから注意しましょう。
第2段落では提訴の理由が紹介されています。 practice には「慣行、実践」などの意味もあるので注意しましょう。deprived drivers, who provide services, of their rights to worker protectionは、 deprive A of B(AからBを奪う)という構造に、関係詞節が挿入されています。rights to worker protectionと right の後には前置詞 to が使われます。
第3段落では、ネットを通して単発の仕事を請け負うというgig workerの定義と、彼らの保護という法律の趣旨が紹介されており、問題のヒントとなっています。
第4段落では偽装請負によって企業が避けようとしている義務が列挙されています。列挙では、最後の要素以外は上がり調子で発音されると教えられることが一般的ですが、実際にはすべて下がり調子で発話されることも珍しくありません。
新しい業態ができるとそれに呼応して法 整備 が行われるもの。どのように 展開 していくか、注目です。
今週のキーワード
giantニュースには頻繁に登場する単語です。業界を表す表現の直後に用いられ、「~業界大手(企業)」の意味になります。今回のように、その直後に社名giants Uber Technologies and Lyftが続いて形容詞的に用いられることも頻繁に見られます。大手
クイズの正解">クイズの正解
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いかがでしたか?来週はどんなニュースが飛び込んでくるのでしょうか。毎週火曜日の 更新 をお楽しみに!
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ニュース解説:天満嗣雄(てんまひでお)
中学・高校時代にNHKラジオの語学番組で英語を学び、神戸大学ESSを経て英会話学校に就職。学校運営・レッスン(英会話・国連英検・TOEIC・Speech)および、講師研修を担当。企業派遣講師を経てプロセス英語会を開設。専門学校や企業でも教える。著書に『TOEICR L&Rテスト Part 3&4 鬼の変速リスニング1・2』『TOEIC L&Rテスト 「直前」模試3回分』(いずれも共著、アルク)などがある。
ホームページ: https://processeigo.com/
Twitter: @ProcessE
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