英語にたくさん触れた方がいいのは分かるけど、たくさん読むのは疲れる、楽しくない!そんな方でも楽しみながら英語力をアップできる「英語多読」の実践法を、『 英語多読 すべての悩みは量が解決する! 』の著者、繁村一義さんが紹介します。
多くの人が英語を読めない理由とは?
英語をたくさん読むことは、英語上達のために良いだろうということに反対する方は 少ない のではないでしょうか。でも、皆さんは実際に英語をたくさん読んでいますか。読んでいない方が多いように思います。どうしてでしょうか。
英語が苦手な方から言わせれば、「 そもそも 英語を読めなくて苦労しているのだから、もう少し英語ができるようになってからでないと、たくさん英語を読むのは無理だ」となるようです。
一方、ある程度英語のできる方からは、「読もうと思えば読めるけれど、たくさん読むと疲れるとか、 時間がかかる ので読みたくても読めない」という感想を多く聞きます。
どちらの場合も、「英語を読む」ことが「英文解釈」や「英文和訳」とイコールになってしまっていることが主な 原因 ではないでしょうか。つまり、英語が苦手な方は、単語をあまり知らないので訳せないし、文法知識が 少ない から解釈などできないと思うでしょう。だから読めない。ある程度英語ができる方は、英文をすべて解釈したり和訳したりしていくのは疲れるし時間もかかるので、やはり読めない、読みたくない、となりがちです。
そこには、解釈したり訳したりしないで書かれた内容が分かるはずがないという思い込みがあるのかもしれません。しかし、 「読む」とは本来、「英文解釈」や「英文和訳」ではなく、書かれた内容を楽しんだり理解したりすること ではないでしょうか。
楽しみながら続ける「多読三原則」
英語をたくさん読むこと、つまり多読が良いことらしいことは分かっていても実践している方が 少ない のは残念なことです。
実は、現在の英語力に かかわらず 、誰でも多読を楽しみながら続けられる方法があります。その方法で実際に多読を楽しんでいる方は大勢います。それはどんな方法でしょうか。
それは『 英語多読 すべての悩みは量が解決する! 』という本でお勧めしている多読三原則です。
多読三原則とは:
- 辞書は 捨てる (辞書は引かない)
- 分からないところは飛ばす
- 自分に合わないと思ったら投げる
乱暴だ、非常識だ、と感じた方もいるかもしれません。これで仮に読めたとしても英語が上達するわけがない……。そうですよね、私も初めて多読三原則を見たときはそう思いました。でも、この原則のおかげで多読を楽しみ、英語が上達している人は大勢います。
なぜでしょう。もう少し丁寧に多読三原則を説明してみます。
捨てる ">多読三原則の1~辞書は 捨てる
これが一番乱暴に思えますね。ここで言う辞書とは主に英和辞典のことです。多読中は英和辞典を全く引かずに読むということです。
実は、上記の多読三原則は、覚えやすくするために表現を短くしています。本当は、英和辞典を使わず、今知っている文法知識も意識しては使わないで、 英語を英語のまま読む ことを意味しています。英語を英語のまま読むとは、言い換えると英文解釈や和訳をせず、英語の語順のままに読むということです。これができないと、永遠に英語ができるようになりません。
それに辞書を引いたりしていると、時間がかかって読書のリズムが壊れてしまいますね。これは楽しい読書の敵です。
辞書を引いたり英文解釈や和訳をしたりしなくても、 大量に読んでいると英語のまま分かる単語や表現、文がどんどん増えます。 心配 はいりません。
多読三原則の2~分からないところは飛ばす
英和辞典は使わないし、文法知識も使わないとなると、分からない単語、分からないフレーズや文は当然出てきます。そういうところは、飛ばしてしましょうということです。前後の文脈などから推測することもせず、分からない部分はあっさりとなかったことにします。
分からないところをあれこれ考えるより、 すぐに 次の英語を読む方が効率よく大量の英語に触れることができて、英語上達につながります 。それに分からないところをあれこれ考えるときはどうしても日本語で考えますから、英語を英語のまま読めるようになるためにはマイナスです。
多読三原則の3~自分に合わないと思ったら投げる
分からないところを景気よく飛ばしていると、例えば「主人公はいったい誰だっけ?」などという悲劇が起こります。そこまでいかなくても、大筋が分からなくなってしまうことも珍しくないでしょう。
逆に、内容は良く分かる、もしかして100パーセント分かるのではないかと思えるのに、話がものすごくつまらないと感じることもあり得ます。こういうときは、 途中でもあっさりその本は投げてしまいましょう。 そして次の本に移ります。
内容が分かろうが分かるまいが、 つまらないと感じたら楽しく続けることができません。 また、雑念がわいてきて身が入りませんし、雑念は日本語で浮かぶでしょうから、やはり英語に慣れるためにはその本は投げてしまった方がいいのです。
もちろん数カ月もたてば英語も上達して、投げた本も読める本に変わっているかもしれません。つまらないと思った本も好みが変わって面白く感じるかもしれません。一度投げた本を楽しめるようになると、英語上達が実感できます。それを楽しみにしましょう。
知識の先行から脱却する
ここまで簡単にですが、多読三原則を一つ一つ説明してみました。この多読三原則全体としての効果は、 楽しみながら英語に慣れ親しむことができる ことです。
英語を上達させるには、英語についての知識と英語への慣れが必要です。例えば楽しく泳げるようになるには、泳ぎ方や水についての知識を持つと 同時に 、水に入って慣れることが必要です。しかも、どちらかと言えば水に慣れる方が先決だと思いませんか。
ところが、英語では知識が先行して英語に慣れる部分が軽視され、学校ではほんの少しの量の英語(中高6年間の英語の教科書で掲載されている英語の合計は多くて10万語程度、文庫本1冊分相当)にしか触れません。これでは、とてもとても慣れるところまでいきません。
英語についての知識の多寡に かかわらず 、 英語に慣れることができるよう障害をなくしてくれるのが多読三原則 なのです。
多読三原則だけでも、辞書を引かなければならないとか訳さなければといった呪縛から解き放たれて、どんどん英語の本を読んでいけるようになる方もいます。まず試してみるのもいいでしょう。
ただ、読む本の選び方や最初の読み方には、どんなに英語レベルの方にも共通する簡単なヒントがいくつかありますので、次回はそれを お知らせ しましょう。
おすすめの本
- 作者: 繁村一義、酒井邦秀、NPO多言語多読
- 出版社: アルク
- 発売日: 2018/07/17
- メディア: 単行本
文:繁村一義(しげむら かずよし)
NPO多言語多読理事。二十歳で英検3級に落ちたレベルから、多聴多読でTOEIC900点を超え、外国人ばかりのチームをリードできるようになった経験を生かし、エンジニアとして活躍するかたわら、各地で講演や指導を通して多読の普及に努める。NPO SSS英語多読研究会監事、日本英語多読学会監事。
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