「今聴いてほしいアーティスト」と関連する楽曲を音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんが解説します。今回は、テイラー・スウィフトの「All Too Well」を紹介します。
今月の一曲
テイラー・スウィフトの「All Too Well」を紹介します。
2006年、16歳でデビューして以来世界のポップアイコンとなったテイラー・スウィフト。2021年11月に過去作の再録アルバム第2弾となる『Red(Taylor’s Version)』をリリースした。以前の大ヒット曲はもちろん、当時収録しきれなかった未発表曲9曲が新たに収録され、大人の女性になったテイラーが過去を振り返る作品となっている。
若き頃の恋愛を振り返る、テイラー・スウィフトの再録アルバム
自身の楽曲カタログの権利を保有する「ビッグマシーンレコード」の買収に伴い、原盤権を取り戻すべく過去6作のアルバムの再録プロジェクトに乗り出したテイラー・スウィフト。そんな彼女が2021年4月発売の『Fearless(Taylor’s Version)』に続く再録アルバム第2弾『Red(Taylor’s Version)』を11月にリリースした。
『Red』は2012年に発表したテイラー通算4作目のアルバム。初の全米No.1シングル「We Are Never Ever Getting Back Together」を収録した作品として、そして活動の軸足をカントリーからポップスへと移行する足掛かりを築いた作品として、彼女のキャリアでも最重要と言えるアルバムだ。
そんな背景もあって『Red(Taylor’s Version)』は初登場で全米アルバムチャートを制覇。さらに、シングルチャートでも「All Too Well」の10分を超える新バージョン「All Too Well (10 Minute Version)」が1位をマーク。これはドン・マクリーン「American Pie」(1971)の8分37秒を上回る全米最長シングルの新記録になった。
They say all’s well that ends well / But I’m in a new hell / Every time you double-cross my mind / You said if we had been closer in age maybe it would have been fine / And that made me want to die
みんなが「終わりよければ全てよし」と言う/でも私は地獄にいる気分だった/私の気持ちが裏切られるたびにね/あなたは「僕たちの年がもっと近かったらきっとうまくいっていた」と言っていたけど/それを聞いて死んでしまいたくなった
元彼の俳優ジェイク・ギレンホールとの交際がわずか3カ月で破局に至った理由を明らかにしていることでも話題を集めている、長尺版「All Too Well」。この曲のヒットによりジェイクの名がTwitterでトレンド入りする異例の事態に発展したが、かつての恋人たちを震え上がらせてきた(?)テイラーのリベンジソングの切れ味は今もなお健在、ということなのだろう。
2021年:US女性シンガー・ソングライター傑作選4曲
今回の記事で紹介している音楽のプレイリストをご紹介します。2021年を振り返りながら、アメリカ出身の女性シンガー・ソングライターの楽曲を聴いてみよう!
- good 4 u
- Valentine by Snail Mail
- Happier Than Ever by Billie Eilish
- Pay Your Way in Pain by St. Vincent
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※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2022年3月号に掲載した記事を再編集したものです。
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