外資系企業への転職に迷う理由の筆頭は、「英語力が足りないと思う」です。現実は、高い英語力が求められる部署や職種もあれば、最初はあまり必要ないケースも存在します。本日は、外資系企業で求められる英語力の目安と英語での面接をテーマにします。
外資系企業で求められる「英語力」は、昔は役職の上下で判断できました。上級管理職になって、初めて海外とのやり取りが多くなったからです。しかし、グローバルな時代の到来とともに、ビジネスの現場の状況は複雑化し、役職の上下で求められる英語力は決まらなくなりました。
つまり、どの程度の「英語力」が要求されるかについては、実際に職場で外国人と接するかどうか、グローバルに仕事をしているかどうかが鍵になります。役職はスタッフであっても、日々のEmailのやり取りや、毎週の定例ビデオ会議など、英語が必須となる可能性は十分にあります。
仮に経理部のナンバー2という高い役職についていたとしても、上司となる経理部長が日本人であれば、仕事で英語を使う機会はほとんど無いでしょう。反対に、技術部の25歳のエンジニアであっても、海外の企業と進めているプロジェクトに任命されれば、「英語は出来ません」と言い訳をして逃げてはいられない立場です。この場合、経理部のナンバー2と若手エンジニアのうちどちらが、より実践的で高い英語力を求められているかは、一目瞭然ですよね。
外資系企業で求められる「英語力」は、具体的にどんな職務を求められているかに大きく依存するということを、まずはしっかりと頭に入れておいてください。
面接は予告なく英語に切り替わることも・・・
さて、外資系企業に転職するためには、まずは面接を突破しなければなりません。外資系の面接では、どのような場合に英語力が試されるのでしょうか。
外資系企業の人事部長として働いていた頃のことです。面接を受けた候補者の方に、「面接の途中で急に面接官が英語を話し出し、ドキドキした」とフィードバックを頂いただいたことがあります。
面接の途中で、面接官が急に英語へと切り替えるのは、候補者の本当の英語力を知りたいからです。私自身は、前もって転職エージェント経由で「途中で面接が英語になるかもしれません」と伝えてもらうようにしていましたが、事前に伝えることなく切り替える方針の面接官もいます。
実際のビジネスの現場でも、その場の状況に合わせて会議で使う言語を途中から英語に切り替えるといったことは、十分にあり得ることです。途中で面接が英語に切り替わったとしても、落ち着いて対応する必要があります。
少しくらい英語力が拙かったとしても、面接が英語に切り替わってことによってパニックになってしまうよりは、堂々と落ち着いて対応していたほうが、面接官にとっては好印象です。
履歴書の学歴を面接官はどう見ている?
また、面接プロセスの早い段階で英語力を確認するかどうかは、候補者の学歴によって判断されることも多いです。以下のようにケースごとで、面接官の対応は変わってくるので、自分の経験と照らし合わせつつ参考にしてみてください。
a) ワーキングホリデーで海外へ
ワーキングホリデーの場合は、ビザが降りる条件が年齢だけのことも多く、海外に渡った時点では英語ができない人がほとんどです。語学力が低い人材が海外で就ける仕事というと、日本食レストランの店員さんや、果実園で果物を収穫するなど仕事などになります。
そのため、英語を使わなくても毎日が過ごせるので、ワーキングホリデー終了時でも、英語力があまり上がってないケースはよくあります。外資系企業の人事担当者はそのような事情をよく理解しているので、面接を英語へと切り替えることによって、候補者の実力を確認することが多々あります。
b) 専門学校・短大へ留学
専門学校や短大の場合は、そこで何を学んでいたかによって、対応が変わってきます。例えばですが、専門学校でバリスタの修行をしていたのであれば、使っていた英語はコーヒーに関係があることばかりに限られるのではないかという懸念が生じます。そのため、企業側は候補者の総合的な英語力について不安を感じ、面接で確認する可能性があります。
またコミュニティカレッジのような短大に留学した場合は、在学期間が2年と短いので、誰でも英語がペラペラになるわけではありません。また、留学した際の年齢によっても、語学力の上達度は変化するので、社会人になってしばらくしてから留学した場合などは、面接の際に英語力を確認されることになります。
c) 4年生大学へ留学
海外の4年生大学へと留学した場合は、きちんと英語を勉強していないと落第してしまう可能性が高いです。そのため、英語のライティング力は信頼される場合が多いです。一方で、英会話の実力の方は、日本人同士やアジア人同士で集っていなかったかどうかが大きな分かれ目になります。留学後に日本企業に就職し、職場で英語を使用していないと履歴書で判断されれば、英語力を面接で確認される可能性は高いです。
d) 大学院に留学
大学院に進学するためには、TOEFLやIELTSなどで一定以上のスコアが必要です。また大学院の授業では、プレゼンテーションを英語でしたり、専門性の高いディスカッションをする機会が多いので、高い英語力で卒業する人がほとんどです。
もちろん、英語必須のポジションの場合は、英語での面接はあると思った方が無難ですが、大学院卒の場合は、ビジネス英語には支障がないケースが多いので、直近の卒業生は英語力を試されないで済むかもしれません。
TOEICは受けたけど・・・面接官に好印象を与える方法は?
英語力の実力を証明する資料として、面接の前にTOEICを受験しておく人は少なくないと思います。また、TOEICのスコアが面接官にどのように評価されるかについては、皆が気になるポイントではないでしょうか?
「TOEICのスコアがイマイチだからダメ」や「TOEICでハイスコアを所持しているから安心」など、一概に判断することはできません。ここでは、自分が持っているTOEICのスコアを最大限に面接官へとアピールするコツについて解説します。
a) TOEICの点数がいま一歩な人
TOEICの点数には自信がないが、どうしても目の前の英語面接に合格したいという場合であれば、とにかく念入りに面接の準備をすることが大切です。これまで私は2人ほど、英語で模擬面接をしていて「この英語では受からないだろうな」と思った方が、合格したというパターンを知っています。
私が受からないだろうと判断した理由は、英語で会話する際の話の流れがたどたどしいこと、用意した解答を丸暗記しているとわかってしまうこと、また、変化球的な質問をすると、途端に英語が崩れてしまうという点でした。
その際、私が彼女たちへのアドバイスとして伝えたことは、英語力にバラツキがあるのは良くないので、想定される質問をもっとたくさん考えて、回答も英語で用意し、全てを覚えてしまおうということでした。
英語面接に合格してしまったことで、入社後にとても苦労するという人もいますが、彼女たちの場合は入社後の職場でも、英語でなんとかついていけています。
b) TOEICの点数が満点近い人
TOEICのハイスコアを獲得しているにもかかわらず、英語が話せないとなると、面接官の印象はかなり悪くなります。実際の職場では、メールやチャットが英語で書けることや、話せることが最も重要だからです。
面接の前には、オンライン英会話などを用いて、とにかく英語で話す練習を何回もすることをおすすめします。英語で模擬面接を体験できるサービスもあるようなので、それも積極的に使ってみるといいでしょう。
また面接中に日本語で話せる機会があるのなら、「専門性」や「実績」をアピールしておきたいです。応募したポジションが求めている英語力があまり高くない場合は、「英語力」は二の次となり、その分野に精通している候補者を優先させる可能性があるからです。
部署ごとによって求められる英語力は異なる?
外資系企業の面接を突破するためには、各部署や役職の違いで、一般的にはどのくらいの英語力が求められるのでしょうか?自分が志望するポジションが高い英語力を求めていると予想できる場合は、とにかく早めに準備をすることが肝心です。
どのくらいの英語力が部署ごとに求められるのかについては、まずは以下の表を参考にしてみてください。
Staff | Manager | Director | |
---|---|---|---|
a)マーケティング、人事 | 750 - 800 | 800 - 850 | 900 |
b)その他の多くの部署 | 600 | 800 | 900 |
c)営業、技術、社内IT | 500 | 650 - 700 | 800 |
d)工場・物流の現場 | 不要 | ※ *1 |
以下の記事では、部署ごとに要求される英語力についてさらに詳しく解説をしています。ぜひ読んでみてくださいね!
外資系に転職したい方は必見!鈴木美加子さん監修の英語コーチング
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★ビジネス英語を磨くためのおススメ参考書3選はこちら!
*1 :リーダー以上はTOEIC 500点以上、本社勤務のメンバーに必要な英語力は、a)に準ずる。
鈴木美加子 (株)AT Globe代表取締役。 GE、モルガン・スタンレーなど外資出身の元・人事部長。外資への転職エキスパート。 TOEIC 960点・英検1級。
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