洋書に精通した6名の方に、おすすめの洋書を3冊ずつ紹介いただきます。小説、絵本、雑誌などジャンルはさまざま。英語レベルも多様なので、あなたにぴったりな本がきっと見つかるはずです。
あなたはどれを読む?おすすめの洋書紹介
越前敏弥 選
Symphony Dan Brown">Wild Symphony Dan Brown
『ダ・ヴィンチ・コード』(2003)など、ラングドン教授シリーズで知られるダン・ブラウンが、2020年に発表した楽曲付きの絵本(本人が作曲もしている)。ネズミの指揮者の下、森に集まったたくさんの動物たち(なぜかクジラまで!)がそれぞれに得意な楽器を奏でて、美しい交響楽が響き渡る。
The Little Broomstick Mary Stewart
2017年に日本で公開されたアニメーション映画『メアリと魔女の花』の原作。夏休みに田舎の親戚の家に1人で預けられた10歳の少女メアリは、小さな黒猫と出会い、不思議な力を持つ魔法の花「夜間飛行」とほうきを見つける。メアリは空を飛んで魔女のいる学校へ行き、やがて近所の少年ピーターと共に、思いがけない大冒険に巻き込まれていく。
Biography of a Grizzly Ernest Thompson Seton">Wahb: The Biography of a Grizzly Ernest Thompson Seton
アーネスト・トンプソン・シートンは、動物にまつわる物語を生涯で50余り著した。日本ではそれをまとめて「シートン動物記」と呼び、各出版社で子供向けにアレンジして訳されてきた。しかし、実はほとんどが大人向けに書かれていて、難しい比喩やブラックユーモアなどがかなりあるので、原書は上級者向き。
越前敏弥(えちぜん としや)
文芸翻訳家。1961年生まれ。訳書『オリジン』『ダ・ヴィンチ・コード』『おやすみの歌が消えて』『大統領失踪』『世界文学大図鑑』『解錠師』『Yの悲劇』など。著書 『翻訳百景』 『文芸翻訳教室』 『この英語、訳せない!』 『日本人なら必ず誤訳する英文・決定版』 など。
Twitter: @t_echizen
エリザベト怜美 選
Instruction and Drawings Yoko Ono">Grapefruit: A Book of Instruction and Drawings Yoko Ono
故ジョン・レノンの良き理解者で、現代美術家のオノ・ヨーコの詩集。短くシンプルな言葉が読み手の日常を揺さぶる。
Between The Metropolitan Museum of Art">Rei Kawakubo/Comme des Garcons:Art of the In- Between The Metropolitan Museum of Art
NYメトロポリタン美術館で開催された、コム・デ・ギャルソン展の図録。写真ごとにデザイナー、川久保 玲のコメントが付き、貴重なインタビューも収録されている。
Complete Rolling Stone Interview Jonathan Cott">Susan Sontag: The Complete Rolling Stone Interview Jonathan Cott
20世紀アメリカを代表する美術批評家、スーザン・ソンタグのインタビュー集。ハイカルチャーとローカルチャーを自在に行き来するパーソナルな語り口は、今の時代にも新鮮。
エリザベト怜美(えりざべと れみ)
翻訳者。1991年、横浜に生まれ、イギリスで育つ。上智大学文学部哲学科卒。在学中から翻訳会社に勤務し、アートギャラリー、広告代理店を経て独立。主に、広告、海外ボードゲーム、映像作品の翻訳を手掛ける。ボードゲーム『プレタポルテ』『クロニクル・オブ・ クライム』『テインテッド・グレイル』翻訳。
Twitter: @_elizabeth_remi
清水玲奈 選
The Land of Neverbelieve Norman Messenger
謎に包まれた絵本作家ノーマン・メッセンジャーは、荒俣 宏が邦訳した仕掛け絵本『イマジン』などで知られる。『The Land of Neverbelieve』は、想像上の島の詳細な探検記。
Charlotte’s Piggy Bank David McKee
「ぞうのエルマー」シリーズで知られるデビッド・マッキーの『Charlotte’s Piggy Bank』は、努力してためたお金をだまし取られるというお話で、子供に与えたくないという親も多い問題作だ。
Angry Arthur Hiwayn Oram, Satoshi Kitamura
南アフリカ生まれの児童文学作家ハーウィン・オラムの文と、柴田元幸氏とのコラボでも知られるきたむらさとしの絵による『Angry Arthur』はロックな絵本だ。80年代のロンドンに暮らす少年が、くすんだ街並みを飛び出し、宇宙空間にまで怒りを爆発させる。
清水玲奈(しみず れいな)
ジャーナリスト・翻訳家。東京大学大学院総合文化研究科修了(表象文化論)。1996年に渡英。ロンドン、パリを 拠点 に取材執筆・翻訳・映像制作を行う。著書に『世界の夢の本屋さん』『世界の美しい本屋さん』、訳書に『人生を変えた本と本屋さん』(いずれもエクスナレッジ)など多数。 ブログ「清水玲奈の英語絵本深読み術」
石野雄一 選
英語で読む百人一首 Peter MacMillan
タイトルにあるとおり、百人一首の英訳本。国語の授業で、誰もが一度は目にしたことのある和歌の数々。その一つ一つを、丁寧な解釈で見事な英語へと昇華させています。
Stoner John Williams
埋もれた名作として「人気作家イアン・マキューアンがBBCラジオで激賞」との触れ込みでした。ある文学教授の一見平凡とも言える一生を、優しい筆致で描いています。
On Writing Well William Zinsser"> On Writing Well William Zinsser
文章に込められた「含意(コノテーション)」のくみ取りと言い換えは、一筋縄ではいきません。「良い文章を書くためのこつ」が詰まったこの本に、幾度救われたことか。アメリカの高校や大学では必携の一冊だと聞きます。
石野雄一(いしの ゆういち)
早稲田大学大学院卒。日本の放送局、ウェブメディアでの勤務を経て、2017年にイギリスでコンテンツマーケティング・エージェンシーTAMLOを設立。現在はロンドンと東京の2 拠点 で事業を 展開 。公的機関からグローバル企業まで、ビジネスのローカライゼーションを支援している。英語を学び始めたのは30歳を超えてから。
Twitter: @ishinoyuichi
土屋雅人 選
Architectural Digest at 100:A Century of Style"> Architectural Digest at 100:A Century of Style
ロサンゼルスを本拠地とする1920年創刊のインテリア雑誌「 Architectural Digest」の100周年を記念して出版されました。世界中のハイセンスな建築物やインテリア、ウィル・スミスやロバート・ダウニー・Jrなど有名セレブの自宅が掲載されていて、ソファに腰掛けながらペラペラと眺めているだけで世界中の物件を旅している気分になれます。
Cereal City Guide: Paris"> Cereal City Guide: Paris
イギリスを 拠点 とする旅行雑誌「 CEREAL 」。普段、海外旅行ではガイドブックを持ち歩かない僕でも、次のパリ旅行でこれだけはかばんに入れておきたいと思った一冊。繊細な編集が施された美しい写真が、今までとは違うエッフェル塔や凱旋門(がいせんもん)の表情を見せてくれます。
Gray Malin: Italy Gray Malin
人気アメリカ人写真家、グレイ・マリンの作品です。これを読んだらイタリアに行きたくなること必至。ビーチ、パスタ、ジェラート、ワインなど、イタリアの魅力が全てここに詰まっています。
土屋雅人(つちや まさと)
株式会社GOODBYE JAPAN 代表( 日本英語コーチング協会「JELCA」会員)。GOODBYE JAPAN著作者・運営者。1993年生まれ。映画の 影響 で航空関係の仕事に就きたいと考え、20歳のときにアイルランドに留学。大学4年生で始めたウェブ事業がうまく軌道に乗り、卒業後はフリーランスとして活動。 https://goodbyejapan.net/
紀伊國屋書店 洋書店売部員 選
Traitor : The Greatest Espionage Story of the Cold War Ben Macintyre">The Spy and the Traitor : The Greatest Espionage Story of the Cold War Ben Macintyre
旧ソ連と西側諸国が熾烈(しれつ)な競争をしていた冷戦時代に、ソ連の諜報(ちょうほう)機関KGBの将校ゴルジェフスキーが、敵のイギリスMI6のスパイとして送った半生を描くノンフィクション。(角)
Confidential : Adventures in the Culinary Underbelly Anthony Bourdain">Kitchen Confidential : Adventures in the Culinary Underbelly Anthony Bourdain
高級料理店のシェフからフードライターに転身、日本びいきとしても知られるアンソニー・ボーデインが書いたベストセラー。厨房(ちゅうぼう)で働く料理人や見習いの知られざる実態を赤裸々に描いている。(角)
The Maidens Alex Michaelides
デビュー作のスリラー小説『サイコセラピスト』(原題:The Silent Patient)が世界的ベストセラーとなったキプロス生まれの作家、アレックス・マイクリーディーズの、今度はサイコミステリーといった趣の新作です。
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※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2021年10月号に掲載した記事を再編集したものです。ENGLISH JOURNAL ONLINE編集部 「英語を学び、英語で学ぶ」学習情報誌『ENGLISH JOURNAL』が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!
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