国際教育事業コンサルタントの星野達彦さんが、中国語学習アプリや書籍やYouTubeチャンネルについて教えてくれました。おすすめの台湾映画や書籍もご紹介!
台湾大好きで中国語を学習中の、国際教育事業コンサルタントの星野です。
今まで「台湾の魅力」「中国語を学ぶべき理由」「台湾留学」について紹介してきました。とはいっても すぐに は台湾に行けないよという人のために、最終回は「日本でできる中国語と台湾についての学習TIPS」を紹介したいと思います。
語学学習で大切な3つのポイント
まずは中国語学習についてお話しします。私は自分の英語習得の体験から、語学学習は下記の3つのポイントを踏まえて行うことが大切だと思っています。
この3つのポイントはそれぞれ個別に独立してあるのではなく、互いに結びついて、その相互作用で語学習得が加速するものとなっています。では、順を追ってそれぞれのポイントを説明していきます。
- 学ぶモチベーションを持つ
- 楽しみながら学ぶ
- 学習を継続できる 仕組み を作る
1. 学ぶモチベーションを持つ
モチベーションがないと語学学習は続きません。中国語を学ぶにあたって、なるべく強いモチベーションを作ることが大切です。私の場合は台湾にビジネスパートナーがいて、台湾の会社や教育機関と関わる機会が多いことや、台湾人の友人も多いこと、そして将来台湾でロングステイをしたいと思っていることが、中国語を勉強するモチベーションになっています。
一般的には、私のような環境にいる人は 少ない と思いますが、例えば「台湾や中国への旅行を楽しみたい」「台湾人や中国人の友人を作りたい」「将来のキャリアアップのために中国語を身に付けたい」などの目標を作ることで、モチベーションを保つことは十分可能だと思います。
2. 楽しみながら学ぶ
趣味も勉強もそうですが、何事も楽しめないと続かないですよね。皆さんも過去に英語学習などでなかなか継続できなかった体験があると思うので、語学習得において、この「楽しみながら学ぶ」ことがいかに大切かを実感している方も多いと思います。
モチベーションをしっかり保てれば、目標に向かっての勉強も楽しめる側面もありますが、教材選びを工夫したり、面白いYouTube動画を利用したりすることで、さらに楽しく学習することができます。私が実際に中国語学習で利用しているおすすめ教材やYouTube動画 に関して はあとで紹介しますね。
仕組み を作る">3. 学習を継続できる 仕組み を作る
楽しければ、学習を継続できる側面ももちろんありますが、最も大切なのは学習行為のルーティン化にあると思います。歯磨きや入浴のように、中国語の学習を自分の生活ルーティンにしてみましょう。
学習開始当初はなかなか、ルーティンになった気がしませんが、毎日短時間でもいいので頑張って続けていけば、意外と簡単に自分の生活パターンの1つに中国語学習を組み込むことが可能です。そして、一旦、ルーティン化してしまえば、毎日決まった時間に中国語の勉強をしないと気持ち悪くなるような感覚を持つようになります。
私は昨年の春から毎日午前中に30分、夕食後に30分、計1時間中国語の勉強をしており、今日まで1日もスキップしたことがありません。実は、私が中国語学習をこのようにルーティン化できたのは、以下に紹介するアプリやユニークな音声教材によるところが大きいと思っています。毎日決まった時間にそのアプリを使って勉強しないと、勉強を促すメッセージがアプリから届きますし、週末にはWeekly学習レポートが送られてきて、前の週の学習量との比較や、世界のアプリ利用者との学習量を比較したレポートが送られてきます。
継続化のもう1つのコツは、現在すでに自分が持っているルーティンの1部に学習を組み込んでしまうということです。私の場合は毎日お昼過ぎにする犬の散歩で、ラップのテンポで中国語を学ぶ音声教材を聞くことを組み込むことをルーティンにしています。
中国語学習におすすめ
それでは次に、中国語学習経験ゼロだった、私がさまざまな比較検討、試行錯誤し、行き着いた中国語学習におすすめのYouTubeチャンネルやアプリ、書籍を紹介したいと思います。
YouTubeチャンネル
私の毎日のルーティンの最後に行うのはYouTube動画の視聴です。なるべくとっつきやすく、10分前後でテンポがよく学べるものを選んで視聴しています。私のおすすめのチャンネルを2つ紹介します。
「チャイナ娘くまちゃん」
中国四川省出身で9歳で来日し、現在モデル・タレントをしている熊江琉衣(くまえ・るい)さんのチャンネルです。初心者向けに発音、四声、文法、会話などさまざまなテーマで中国語の解説してくれます。動画は1本10分以内なのでスキマ時間にちょっと視聴することも可能です。
www.youtube.com「李姉妹ch」
日本在住の中国人姉妹が運営するチャンネルです。お姉さんは中国で生活していた期間が長くネイティブ中国語話者ですが、妹さんは日本生まれで、幼少期に一時中国で過ごした経験はあるものの、日本在住期間の方が長いので日本語の方が流暢です。そんな2人の育ってきた背景や中国語力の違いを生かして、このチャンネルは中国語を学ぶ日本人向けにツボを押さえた内容になっています。中国語学習のテーマ以外にも中国文化の紹介など楽しい動画もたくさんあります。
www.youtube.comアプリ
「HelloChinese」
apps.apple.com私のお気に入りで一押しのアプリです。私のように基礎から中国語をゲーム感覚で楽しく学びたい人に特におすすめです。ネイティブの動画でリスニング練習ができたり、音声認識機能で自分の発音とネイティブスピーカーの発音を比べられたり、漢字の練習ができたり、以前に習った単語などをクイズでタイムリーにリマインドしてくれたり、本機能やコンテンツが豊富で、本当に至れり尽くせりのアプリです。1回10分ほどで気軽に学習できます。
「HelloChinese」の主な機能▼アプリの公式紹介動画※Apple Store より引用、原文ママ
- ゲームをするように中国語を学べる!一度始めたらもうやめられない!
- 2000を超える動画 ― 本場のネイティブの発音でリスニング力を鍛える!
- 日本人の発音のクセに合わせた音声認識システムで、本物の発音を身につけよう!
- 学んだら すぐに 使える実用的な日常会話!
- 0からHSK4級までの内容をこのアプリで全て学べる!
- 録音は全て専門の中国人アナウンサーによる発音を使用。
- 記憶曲線に基づいた自動識別復習機能を採用。
- 2つ以上の端末で学習進度を共有できます。
「Duolingo」
apps.apple.com次におすすめなのは、世界的に人気がある語学アプリ「Duolingo」です。私は中国語学習をまずこのアプリから始めました。世界中で人気があるだけあって、とてもよくできています。
ただ、単語やフレーズを覚えることが中心で、文法 に関して はほとんど解説がありません。ということで、私は少し物足りなさと不安を覚え、「HelloChinese」も併用する勉強スタイルに変えました。私は「HelloChinese」での学びを「Duolingo」で補完するようにしています。現在、この2つのアプリを使って毎朝勉強をしていますが、復習も入れて各15分でできますから、2つのアプリをやっても計30分の学習時間です。
「Duolingo」の特徴▼先ほど紹介した李姉妹がこのアプリの解説をしています。※Apple Store より引用、原文ママ
書籍
『改訂版 リズムで学ぶ三文字中国語』
先ほどお話しした犬の散歩時に私が聞いているのは、この書籍の音声です。3文字で表現できる中国語基本フレーズをラップのリズムで学ぶ面白い教材です。朝に「HelloChinese」や「Duolingo」で学んだ単語や言い回しも出てくるので、記憶を定着させたり、正しい音声や声調で単語やフレーズを覚えたりするのに重宝しています。あくまでも散歩がてらに気楽に聞いています。
『新ゼロからスタート中国語 文法編』
この教材はAmazonでベストセラーになっている中国語学習本です。昭和生まれの私の気質なのか、やはりしっかり書籍で文法を学びたい欲求があります。かといってあまり難しいものだと頭に入ってこなさそうなので、教材をいろいろ調べ、自分でも書店に行って内容を読み比べた結果、この「新ゼロからスタート中国語 文法編」を選びました。流石にベストセラーだけあって、初心者向けにわかりやすくまとまっています。私は夜にこの書籍で20分ほど約1、2ページ分の内容を勉強しています。また、音声CDも付いているので、こちらも散歩がてらに聞いています。
台湾について知りたい人におすすめ
最後に、台湾について学べる書籍やYouTubeチャンネル、映画をご紹介します。どれも堅苦しいものではなく、興味を持って学べるようなものをピックアップしました。
書籍
『街道をゆく 40 台湾紀行』
日本の小説家でノンフィクション作家の司馬遼太郎氏が台湾や台湾国家について縦横無尽に語った1冊。本連載の 第1回 で紹介した李登輝元総統との対談も収録されています。
『アリガト謝謝』
東日本大震災が起きた後、200億円の義援金を日本に送ってくれた台湾。当時、誰がどんな支援の手を上げたのか、そして、1人の日本人女性が起こした奇跡の 感謝 広告「ありがとう、台湾」について書かれている本です。
『台湾に生きている「日本」』
今も台湾に残っている日本統治時代の建造物や日本の精神などについて、著者が実際に現地に訪れ調査しまとめた解説書です。
YouTubeチャンネル
「SNET台湾」
SNET台湾(日本台湾修学旅行支援研究者ネットワーク) *1 が運営するチャンネル。台湾研究の専門家を講師として、中高大学生の目線でわかりやすく台湾について解説するシリーズ「台湾修学旅行アカデミー」がおすすめです。
www.youtube.com「サンエン台湾 Sanyuan_TAIWAN」
台湾でいちばん有名な日本人YouTuberの三原慧悟(みはら・けいご)さんが率いるYouTuberグループによるチャンネル。観光やグルメネタだけでなく、恋愛やトレンド紹介や中国語学習など、台湾に関するさまざまなテーマをカバーしています。
www.youtube.com▼なんと蔡英文総統とコラボしている神回も!
▼三原さんは台湾人向けの別チャンネル「三原JAPAN Sanyuan_JAPAN」も運営しています。 www.youtube.com映画
最後に台湾の今と昔を学べる映画を4本紹介します。すべて日本に関係している内容の映画をピックアップしました。
『海角七号 君想う、国境の南』(2009)
台湾映画で過去最高の興行収入(台湾国内)を上げた映画で、日本人と台湾人の恋愛を描いたストーリー。
『KANO 1931海の向こうの甲子園』(2015)
日本統治時代の台湾の嘉義(かぎ)市にあった嘉義農林学校(嘉農=KANO)野球部の新任監督として日本人(永瀬正敏氏が演じる)が迎えられ、彼が連敗続きだった嘉農野球部を台湾代表として日本の甲子園大会に出場し準優勝に導くというストーリーです。
『湾生回家』(2015)
敗戦によって台湾から強制送還された台湾で生まれ育った日本人「湾生(わんせい)」たちが、故郷の台湾に里帰りして、懐かしい場所を訪れ、旧知の友に会いに行くドキュメンタリー映画です。
『セデック・バレ』(2011)
1930年、日本統治時代の台湾で起こった先住民センデレック族による霧社事件(むしゃじけん) *2 を描いた映画。日本でも2012年の第7回大阪アジアン映画祭で初公開されました。
- メディア: セデック・バレ 第二部:虹の橋(字幕版)
- メディア: Prime Video
私も台湾でのロングステイを目指し、これからも中国語の学習を頑張って継続していきたいと思っています。
*2 :1930年10月27日に大日本帝国外地台湾・台中州能高郡(のうこうぐん)霧社で起こった、台湾原住民による日本統治時代後期における最大規模の抗日蜂起事件。
星野達彦(ほしの・たつひこ) 国際教育事業コンサルタント。
1986年から留学事業のキャリアを積み、多くの大学・政府機関主催のイベントで講演をこなす。世界600校以上の学校を視察。著書に『こうすればなれる留学カウンセラー』(リーダーズノート社刊)、『英語はアジアで学べばうまくいく』(秀和システム社刊)がある。
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