サンタクロースの服は、昔から赤かったのでしょうか。サンタのソリを引くトナカイは何頭?クリスマスツリーのてっぺんに星を飾るのはなぜ?毎年当たり前のように目にしているクリスマスの風景にも、意外な歴史や由来があります。クリスマスにまつわる7つの疑問を、英語の質問文とともに紹介します。
目次
クリスマスの赤・緑・金・白にはどんな意味がある?

What do the traditional Christmas colors mean?
クリスマスの飾り付けでよく目にするのが、赤、緑、金、白の4色。クリスマスツリーのオーナメントやリース、プレゼントの包装紙などにもよく使われています。これらの色には、それぞれ象徴的な意味があるとされています。ただし、その意味は一つに決まっているわけではなく、地域や時代、宗教的な解釈によって異なります。
赤(red)
クリスマスの赤といえば、ヒイラギの赤い実やサンタクロースの衣装を思い浮かべる人も多いでしょう。キリスト教では、赤はキリストが十字架で流した血を象徴する色として解釈されることがあります。また、生命や愛を連想させる色でもあります。
緑(green)
モミの木やヒイラギなど、冬になっても葉を落とさない常緑樹(evergreen)の色です。厳しい冬の間も緑を保つことから、生命力や永遠の命、希望などの象徴とされてきました。
金(gold)
クリスマスの金色は、光や輝き、豊かさを連想させます。キリスト教の伝承では、イエスの誕生を知らせた「ベツレヘムの星」の輝きや、東方の博士たちが幼子イエスにささげた贈り物の一つである黄金とも結び付けられます。
白(white)
白は雪を連想させる色ですが、キリスト教では純潔や清らかさを表す色でもあります。
このように、クリスマスカラーには宗教的な意味のほか、冬の自然や生命に結び付くイメージも込められています。もちろん、クリスマスの飾りに使われる色がこの4色だけというわけではありません。青や銀、ピンクなどを取り入れた飾り付けも見られます。
サンタクロースはなぜ子どもにプレゼントを配るの?

Why does Santa Claus bring presents to children?
クリスマスの朝、子どもたちが楽しみにしているプレゼント。そもそも、サンタクロースはどうして子どもたちに贈り物を届けるようになったのでしょうか。その由来をたどると、4世紀ごろ、現在のトルコにあたる地域で活動したキリスト教の司教、聖ニコラス(St. Nicholas)に行き着きます。
聖ニコラスは、貧しい人々や困っている人々を助けた人物として知られ、後世には子どもたちの守護聖人(patron saint)としても親しまれるようになりました。
聖ニコラスにまつわる贈り物の伝説
聖ニコラスには、こんな言い伝えがあります。
あるところに、貧しさのために娘たちの結婚の準備ができず、困っている一家がありました。それを知った聖ニコラスは、夜の間にこっそり金貨を届け、家族を助けたというのです。この伝説は、聖ニコラスが人知れず贈り物を届ける人物として親しまれるようになった理由の一つと考えられています。
後世には、金貨が靴下の中に入ったという話も語られるようになり、クリスマスに靴下をつるす習慣の由来として紹介されることもあります。
参考:St. Nicholas Center「Gift Giver」
聖ニコラスの日は12月6日
ヨーロッパの一部の国や地域では、12月6日の「聖ニコラスの日」(St. Nicholas Day)に、子どもたちが贈り物をもらう習慣があります。前夜に靴を用意しておくと、聖ニコラスがお菓子や小さなプレゼントを入れてくれるというものです。
こうした習慣は、時代とともにほかのクリスマスの伝統とも結び付き、現在のサンタクロースがプレゼントを届けるイメージへとつながっていきました。
参考:St. Nicholas Center「Customs Around the World」
ちなみに、Santa Clausという名前は、オランダ語で聖ニコラスを指すSinterklaasに由来しています。オランダからアメリカへ伝わった名前が英語の中で変化し、現在のSanta Clausになったのです。
クリスマスツリーを飾る習慣はどこから来た?

Why do people decorate Christmas trees?
クリスマスといえば、きらきらと輝くクリスマスツリー。今では世界各地で見られますが、現在のように木を飾る習慣は、ヨーロッパ、とりわけドイツ語圏で発展してきたとされています。
常緑樹は冬の間も緑を保つため、古くから生命力や再生の象徴とされてきました。やがて、木に果物やお菓子、ろうそくなどを飾る習慣が広まり、現在のクリスマスツリーへとつながっていきます。17世紀初めには、現在のフランス東部にあたるストラスブールで、クリスマスのために飾られた木の記録が見られます。当時、この地域はドイツ文化の強い影響下にありました。
参考:HISTORY「Christmas Traditions Worldwide」
ツリーのてっぺんにある星の意味は?
クリスマスツリーのいちばん上には、星の飾りを付けることがあります。これは、キリスト教の伝承に登場するベツレヘムの星(Star of Bethlehem)を表すものです。
新約聖書の「マタイによる福音書」には、東方からやって来た博士たちが星に導かれて幼子イエスを訪ねる物語があります。クリスマスツリーの星は、この物語にちなんだ飾りとされています。ただし、ツリーの頂上には星だけでなく、天使の飾りを付ける習慣もあります。
何気なく眺めているツリーの飾りにも、一つ一つに歴史や物語があるのですね。
サンタクロースの服はなぜ赤い?

Why does Santa Claus wear a red suit?
赤い服に白いふさふさの縁取り、大きなおなかに白いひげ。現在、サンタクロースといえば、誰もがよく似た姿を思い浮かべるのではないでしょうか。ところが、昔からサンタクロースがこの姿だったわけではありません。
かつてのサンタクロースは、背が高かったり小柄だったり、妖精のような姿をしていたりと、さまざまに描かれていました。衣装の色も赤だけではなく、緑や茶色などが使われていました。
現在のサンタの姿が広まったのは19世紀
サンタクロースの姿が変化していく上で、大きな役割を果たしたのが、19世紀のアメリカで広まった詩やイラストです。1823年に発表された詩「A Visit from St. Nicholas」(一般に「'Twas the Night Before Christmas」とも呼ばれます)には、丸々とした体つきで、陽気なサンタクロースの姿が描かれています。この詩はクレメント・クラーク・ムーア(Clement Clarke Moore)の作品として広く知られていますが、作者については異説もあります。
その後、19世紀後半にはイラストレーターのトーマス・ナスト(Thomas Nast)らが、サンタクロースの姿を繰り返し描きました。こうした作品を通じて、白いひげを生やし、子どもたちに贈り物を届けるサンタのイメージが広まっていったのです。
サンタの赤い服はコカ・コーラが考えた?
サンタクロースの赤い服については、「コカ・コーラの広告が始まり」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、コカ・コーラが赤い服のサンタクロースを初めて生み出したわけではありません。 1931年にコカ・コーラの広告が登場する以前から、赤い服を着たサンタクロースは描かれていました。
では、コカ・コーラは何をしたのでしょうか。
1931年、同社は画家ハッドン・サンドブロム(Haddon Sundblom)にクリスマス広告の制作を依頼しました。サンドブロムが描いたのは、赤い服をまとい、白いひげをたくわえ、優しそうにほほ笑むサンタクロースです。このサンタは雑誌広告などを通じて人々に親しまれ、その後も長年にわたって描かれ続けました。
つまり、赤い服のサンタはもともと存在していましたが、現在の親しみやすいサンタ像を広く定着させる上で、コカ・コーラの広告が大きな役割を果たしたというわけです。
参考:The Coca-Cola Company「Haddon Sundblom and the Coca-Cola Santas」
サンタのトナカイは8頭?それとも9頭?

Does Santa Claus have eight reindeer or nine?
サンタクロースがトナカイの引くソリに乗って、空を飛んでやって来る。そんな光景を思い浮かべる人は多いでしょう。では、サンタのソリを引くトナカイは何頭いるのでしょうか。
実は、もともとは8頭。後から有名な1頭が加わって、9頭になったのです。
最初の8頭には名前がある
サンタのトナカイが広く知られるきっかけとなったのは、1823年に新聞で発表された詩「A Visit from St. Nicholas」です。この詩には、8頭のトナカイが登場します。現在よく知られている名前は次のとおりです。
| 名前 | 名前から連想される意味 |
|---|---|
| Dasher | 勢いよく走るもの |
| Dancer | 踊るもの |
| Prancer | 跳びはねるもの |
| Vixen | 雌ギツネ、気の強い女性 |
| Comet | 彗星 |
| Cupid | キューピッド |
| Donner | 雷(ドイツ語) |
| Blitzen | 稲妻(ドイツ語) |
※トナカイの名前には、詩が伝わる過程で表記が変化したものがあります。特にDonnerとBlitzenには異なる表記が見られます。
9頭目のルドルフが生まれたのは1939年
では、真っ赤なお鼻のトナカイ、ルドルフ(Rudolph)はいつ登場したのでしょうか。ルドルフが生まれたのは、1939年のことです。
アメリカの百貨店モンゴメリー・ワード(Montgomery Ward)が、クリスマスの販促用に子ども向けの物語を制作することになり、コピーライターのロバート・L・メイ(Robert L. May)が赤い鼻のトナカイの物語を書きました。
生まれつき鼻が赤いことで仲間から笑われていたルドルフ。しかし、その光る鼻が霧の夜に役立ち、サンタのソリの先頭を任されるという物語です。この話は大人気となり、後に歌や映像作品にもなりました。
参考:アメリカ議会図書館「Rudolph the Red-Nosed Reindeer’s First Starring Film Role」
なお、現在よく知られている歌「Rudolph the Red-Nosed Reindeer」が発表されたのは1949年です。もともと8頭だったトナカイの仲間にルドルフが加わり、今では9頭のトナカイがサンタのソリを引く姿が広く親しまれています。
クリスマスのお菓子にはどんなものがある?

What sweets do people traditionally eat at Christmas?
日本のクリスマスといえば、イチゴと生クリームのケーキを思い浮かべる人も多いでしょう。一方、世界各地には、それぞれの土地で受け継がれてきたクリスマスのお菓子があります。ここでは、英語圏でもよく知られている3つを紹介します。
ジンジャーブレッドクッキー(gingerbread cookies)
しょうが(ginger)などのスパイスを使った、香り豊かなお菓子です。星やハート、クリスマスツリー、そして人の形など、さまざまな形に作られます。特に人の形をしたものは、gingerbread man(ジンジャーブレッドマン)と呼ばれます。
クリスマスの時期には、アイシングで顔や服の模様を描いたジンジャーブレッドマンや、クッキーで家を組み立てたジンジャーブレッドハウス(gingerbread house)なども見られます。
クリスマス・プディング(Christmas pudding)
イギリスの伝統的なクリスマスのお菓子です。名前にpuddingと付いていますが、日本でおなじみのカスタードプリンとはまったく違います。ドライフルーツやスパイスなどをたっぷり使い、蒸して作る濃厚なデザートです。
かつては、プディングの中に銀貨などの小さな縁起物を入れる習慣もありました。切り分けたときにコインが当たった人には、幸運や富が訪れると考えられていたのです。また、クリスマスの数週間前に家族で材料をかき混ぜて作る習慣もあり、クリスマスの準備を象徴するお菓子の一つになっています。
参考:English Heritage「A History of the Christmas Pudding」
キャンディーケイン(candy cane)
赤と白のしま模様が特徴の、杖の形をしたキャンディーです。caneは「杖」という意味。名前もその形に由来しています。
キャンディーケインには、赤がキリストの血、白が清らかさを表し、杖の形は羊飼いの杖を意味する、といった説明があります。ただし、こうした宗教的な意味付けが、キャンディーケインの誕生当初からあったと確認できるわけではありません。
お菓子の起源についてはさまざまな説があり、後世に付け加えられた説明もあると考えられています。
日本と海外の雪だるまは形が違う?

Are snowmen made with two snowballs or three?
最後は、クリスマスから少し離れて、冬の風物詩のお話です。
冬の景色やクリスマスの飾りにも登場する雪だるま。英語ではsnowmanと言います。日本では、頭と胴体の2つの雪玉を重ねて作る雪だるまがよく見られます。
ところが、欧米のイラストや映画に登場する雪だるまを見ると、頭、胴体、おなかの3つの雪玉を重ねた姿がよく描かれています。日本では2段、欧米では3段という違いが紹介されることがありますが、もちろん必ずそう作られるというわけではありません。欧米にも2段の雪だるまはありますし、日本でも3段に作ることはあります。
日本の雪だるまは「だるま」に似ている?
日本の雪だるまという名前には、縁起物の「だるま」が関係しています。丸い胴体に頭が付いた姿を思い浮かべると、確かにだるまによく似ていますね。
一方、英語のsnowmanは、snow(雪)とman(人)を組み合わせた言葉です。同じ雪で作る人形でも、日本語では「だるま」、英語では「人」に見立てているのが面白いところです。
雪だるまの鼻がニンジンなのはなぜ?
海外の雪だるまのイラストでは、鼻にニンジン(carrot)を使う姿もおなじみです。日本の雪だるまは小石や木の枝などで顔を作ることも多いですが、海外ではニンジンのとがった形を生かした長い鼻が、雪だるまの特徴として描かれることがあります。
ちなみに、雪だるまを作ることは英語でmake a snowmanと言います。
- Let's make a snowman!
雪だるまを作ろう! - We made a snowman with a carrot for its nose.
ニンジンを鼻にした雪だるまを作りました。
次に海外のクリスマス映画などを見るときには、雪だるまの形にも注目してみてください。
まとめ:クリスマスの飾りや習慣には物語がある
サンタクロースの赤い衣装、クリスマスツリーの星、空飛ぶトナカイ。毎年当たり前のように目にしているものにも、さまざまな歴史や物語がありました。中には、長い年月の間に伝承が変化したり、広告や物語を通じて新しいイメージが加わったりしたものもあります。
今回紹介した7つの話題は、英語でのちょっとした会話のきっかけにもなりそうです。クリスマスの飾りを見かけたら、「これにはどんな由来があるのだろう?」と考えてみるのも面白いかもしれません。
※本記事は、アルクが発行していた雑誌『kids com』掲載の記事を基に、ENGLISH JOURNAL編集部が再編集したものです。
2017年12月18日公開
2023年12月20日更新
2026年10月28日更新
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