大人気のマンガ『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』をご存じですか?今年4月にアニメ放送も始まり、グッズやLINEスタンプなど、さまざまなところで見かけます。そしてついに、英会話本が出ました!さっそくチェックしましょう。
話題の「ちいかわ」とは?
「ちいかわ」は、もともとイラストレーターのナガノさんがTwitterに発表していたマンガ。その後、書籍化、アニメ化もされて大人気になっています。私も、たまたまTwitterで見かけてすっかりハマりました。
主人公の「ちいかわ」と、友だちのハチワレ、うさぎなど、二頭身のキャラクターが暮らすのんびりした世界が舞台。しかし、ちいかわたちはカスミを食べて生きているわけではありません。草むしりやシール貼り、ときどき現れる「こわいやつ」を倒す「討伐」などの労働をこなし、その報酬を得て生計を立てています。さらに「草むしり検定」などの資格もあり、合格すると報酬がアップするというシュールな側面も。また、「鎧(よろい)さん」と呼ばれる、甲冑のようなものをまとった人たちも存在し、ちいかわたちに仕事を斡旋したり、お店を経営したりしています。
この、ほんわかしつつも妙にリアリティがあり、さまざまな考察ができるところが人気の秘密だと思います。
英会話本として意外と優秀
キャラクターがらみの本の場合、「そのキャラの世界観が分からないと楽しめないのでは?」という不安があるかもしれません。本書の場合、マンガそのものも掲載されているので、その心配は無用。すぐになじむことができます。
英会話本としての構成もなかなかよくできています。まずは、マンガを楽しみつつ、キーフレーズ(はてなマークが付いているフレーズ)を英語で何というか、自分で考えてみます。この、「まずは自分で考えてみる」というのがポイントですね。
続いて、ページをめくって答え合わせ。合っているとうれしいものです。英語表現が分からなかった、自分が考えたのと違っていたという場合は、このページをじっくり読んで復習しましょう。
音声はYouTubeで聞くことができます。気になるフレーズはぜひチェックを。
さらに、章末には「穴埋めトレーニング」があるので復習もばっちり。
マンガの流れのなかでは何となく言えたのに、改めて出題されると「なんだっけ?」というものも結構あります。これも、すぐに答えを見て復習すれば、記憶に定着しやすくなるはず。
言ってみたいフレーズがいっぱい
友だちと一緒に試験を受けて、自分だけ合格してしまった・・・。仕事の休憩中に、隣にいた人と話せて何だかうれしい。そんなちょっとしたことですが、英語で言ってみたくなるフレーズが本書にはあふれています。
こちらは、深い穴に落ちてしまったハチワレのセリフ。助けを呼んでも誰も来ません。深い穴の底から青空を見上げたハチワレは、こうつぶやいて壁をよじ登ります。
絶対・・・・・・負けない
I'm never giving in.
giving in は「屈服する、諦める」という意味。普段は優しくて人がよさそうなハチワレですが、こんな強い一面もあるんですね。
こちらも、ハチワレがよく使うセリフ。
なんとかなれッ
Make it work!
workには「働く」だけでなく、「うまくいく」という意味もあります。このフレーズ、仕事や家事など、やることが山積みの年末には使う機会がたくさんありそう。
続いては、ちいかわたちからプレゼントをもらった鎧さんのセリフ。
大事にッ・・・・・・するッ
I'll treasure it.
treasureは、「宝物、財宝」という名詞としておなじみですが、動詞で「宝物にする」という意味もあります。人から何かをもらったとき、こんな一言をさらっと言えたらすてきですね。単に Thank you. というより、感謝の気持ちが伝わりそうです。
もうひとつ、鎧さんのセリフから。誤解していたことを謝る表現です。
カン違いしちゃって・・・スマン・・・。
I'm sorry, I misunderstood.
英語では、先に謝罪してから理由を述べるのが一般的。そのため、このセリフも「スマン=I'm sorry」から始めています。この場合も、単にI'm sorry.と謝るよりきちっと理由まで添えたほうが、謝罪の気持ちが伝わりますね。これなら相手も納得してくれそう。
最後はハチワレのセリフ。「草むしり検定5級」に落ちてしまったちいかわを、一緒にラーメンを食べながら励ますときのセリフです。
ずっと応援するからね!!
I'll always root for you!
root forは「~の成功を願う、応援する」という意味です。
なかなか検定に合格できない、ちいかわの気持ち。思うようにTOEICのスコアが伸びない私には、痛いほどわかります・・・。でも、こんな風に励ましてくれる友だちがいれば、また頑張ろうという気になりますね。もうホントに泣きそう。楽しいだけでなく、自分も頑張ろうと思えるのが、このマンガのよいところ。早く、ちいかわが「草むしり検定5級」に合格して、ハチワレと一緒に喜ぶ姿が見たいです。
まとめ
本書に載っている英語フレーズは、大人の英語学習者にとっては簡単なものが多いかもしれません。レベルとしては中学生くらいだと思います。ただ、「これを言いたい」と思った瞬間にサラッと口から出てくるかというと、なかなか難しいのでは。お正月休みで時間があるときに、マンガを楽しみつつ、練習してみてはいかがでしょう?家族と一緒にやってみても楽しそうです。楽しくて、癒やされて、使える英語フレーズも身に付く本書。ぜひ手に取ってみてください!
SERIES連載
思わず笑っちゃうような英会話フレーズを、気取らず、ぬるく楽しくお届けする連載。講師は藤代あゆみさん。国際唎酒師として日本酒の魅力を広めたり、日本の漫画の海外への翻訳出版に携わったり。シンガポールでの勤務経験もある国際派の藤代さんと学びましょう!
現役の高校英語教師で、書籍『子どもに聞かれて困らない 英文法のキソ』の著者、大竹保幹さんが、「英文法が苦手!」という方を、英語が楽しくてしょうがなくなるパラダイスに案内します。
英語学習を1000時間も続けるのは大変!でも工夫をすれば無理だと思っていたことも楽しみに変わります。そのための秘訣を、「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチ、松岡昇さんに教えていただきます。