「名残惜しい」は英語でなんて言う?

「名残惜しい」という言葉が表す感情を、英語ではどう伝えればいいのでしょうか。さまざまな英語の表現を、例文と共に紹介します。

「名残惜しい」とは?

「名残惜しい」とは、楽しい時間や愛する人との別れを惜しいと感じるときに言います。「名残」という言葉自体には、「残るもの」や「後に残されたもの」という意味があり、「名残惜しい」は「良い時間や思い出を後に残してしまうのは惜しい」ということなのです。

言葉の意味を英語でどう説明すればよいか、考えてみました。

The term “nagori-oshii” refers to the feeling of not wanting a pleasant time or shared moments with loved ones to end. For example, you might experience this emotion on the last night of a fun trip with friends or at the end of a holiday spent with family. The word “nagori” points to the emotions or memories that remain after an event or time has concluded, and it’s the cherishing or reluctance to let go of these residual feelings that gives rise to the concept of “nagori-oshii.”

「名残惜しい」とは、楽しい時間や大切な人との共有の瞬間が終わる際、その終わりを惜しむ心情を言います。例えば、友人との楽しい旅行の最後の夜や、家族と過ごす休日の終わりにこの感情を覚えることが多いです。「名残」というのは、ある出来事や時間が終わった後に残る感情や思い出のことを指し、それを惜しむから「名残惜しい」と言われます。

「名残惜しい」を英語で言うと?

この日本語のニュアンスを一つの英語表現で伝えるのは難しいかもしれません。「名残惜しい」と同時にどう感じるのか、英語ではより具体的にreluctant to leave、loath to departなどと表現されることが多いようです。

reluctant to leave

物理的にその場所や人から離れるのが嫌だ、という気持ちを表します。reluctantは「気が進まない、渋々の」という意味です。

I was so engaged in the art exhibition that I was reluctant to leave when it was closing time.
私はその美術展に非常に興味を持っていたので、閉館時間になっても帰りたくなかった(名残惜しかった)。

loath to depart

reluctant to leaveと同様、その場を離れたくない気持ちを表します。loathは「嫌々の」とか「渋々の」といった意味で、departは「出発する」です。

After a magical week in Paris, I was loath to depart and return to my everyday life.
パリで魔法のような1週間を過ごした後、日常生活に戻るのが非常に嫌だった(名残惜しかった)。

「名残惜しい」の英語いろいろ

上では「物理的にその場を離れる」という視点からの英語を紹介しましたが、他にもさまざまな英語で「名残惜しい」のニュアンスを伝えることができます。

unwilling to say goodbye

unwilling to say goodbyeは、「別れを告げるのが嫌である」という表現です。unwilling to doには「~するのは嫌である、~するのは気が進まない」という意味があります。

The students were so attached to their exchange program friends that they were unwilling to say goodbye at the airport.
生徒たちは交換留学生の友達にとても愛着を持っていたため、空港で別れを告げるのが嫌だった(名残惜しかった)。

sad to part

reluctantやloath、unwillingは「~したくない」という表現でしたが、sadを使えば「~するのは悲しい」となります。partは「別の場所に行く」という意味です。

After fostering the stray cat for several months, I was sad to part with her when she found a forever home.
野良猫を数カ月間保護していた後、彼女がずっと住める家を見つけたときには、別れるのが悲しかった(名残惜しかった)。

regretful about leaving

sadは悲しさを表現する一般的な形容詞ですが、regretfulを使うと、自分の決断を後悔するニュアンスが強くなります。ここでは「この場を去らなければならないことを後悔している」というのが直訳です。

I’m regretful about leaving the party early tonight; I have a feeling it's going to be a lot of fun.
今夜、パーティーを途中で抜けることを後悔しているよ(名残惜しい)。とても楽しくなりそうな気がする。

「~したい」で前向きに気持ちを表現する

ここまで「~したくない」という、どちらかというとネガティブな表現が並びました。ここからは「~したい」というポジティブな気持ちを伝える表現を紹介します。

longing for more time

long for ~は「~を心から望む」という意味です。longing for more timeで「もっと時間が欲しい」「もっとここにいたい」となります。「名残惜しい」と訳すよりは、前向きな訳の方がいいかもしれません。

As she watched her kids board the school bus on the first day of school, she was longing for more time with them.
子供たちが初日の学校へ行くバスに乗るのを見ながら、彼女はもっと彼らと一緒にいたいと思った。

cherishing the last moments

cherishは「~を大切にする」の意。「最後の瞬間を大切にする」という意味で、先に紹介した「離れる」という物理的な意味よりも、より感情面に焦点を当てた表現と言えると思います。

Knowing it was his last summer before going to college, he was cherishing the last moments with his high school friends.
大学に行く前の最後の夏だと分かっていたので、彼は高校の友人たちとの最後の瞬間を大切にしていた。

まとめ

「名残惜しい」の英語を考えてみることで、この一言の中にはさまざまな感情が内包されていることが分かりました。言葉って深いですね。

さて、これでこの記事は終わり。皆さんとここでお別れするのは名残惜しいですが、また、別の記事でお会いできればうれしいです。では!

ENGLISH JOURNAL編集部
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英語を学び、英語で学ぶための語学情報ウェブサイト「ENGLISH JOURNAL」が、英語学習の「その先」にあるものをお届けします。 単なる英語の運用能力にとどまらない、知識や思考力を求め、「まだ見ぬ世界」への一歩を踏み出しましょう!

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