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ピアース・ブロスナンが伝説的な盗みのスペシャリストになって金塊を盗み出すアクションエンターテインメント 映画『ザ・ミスフィッツ』

FILMOSCOPE【2022年3月号】

気になる新作映画について登場人物の心理や英米文化事情と共に真魚八重子さんが解説します。

今月の1本

『ザ・ミスフィッツ』(原題:The Misfits)をご紹介します。

※動画が見られない場合はYouTubeのページでご覧ください。

すご腕の犯罪プロフェッショナル集団「ミスフィッツ」。極悪人をだまして大金を盗み、弱者たちに与える彼らは、多くが謎に包まれた現代の義賊的存在だ。そんな彼らの次のターゲットは、凶悪テロリストの資金源となっている大量の金塊だった。金塊が隠されているのは、中東の砂漠にある最強セキュリティーの私営刑務所。今回の任務が一筋縄でいかないことを悟った彼らは、一匹おおかみで伝説的な盗みのスペシャリスト、リチャード・ペイス(ピアース・ブロスナン)を半ば強引に勧誘し、ドリームチームを結成する。テロリストに資金が渡るまでのタイムリミットは残りわずか……果たして彼らは無事に金塊を盗み出すことができるのか?

正義の犯罪プロ集団「ミスフィッツ」vs 凶悪な過激派テロリスト

1990年代には『ダイ・ハード2』(1990)、『クリフハンガー』(1993)といった人気大作を撮っていたレニー・ハーリン監督。近年は第一線とは言えないものの、中規模なアクション映画を製作し、映画ファンの需要にしっかりと応え続けている。本作は、彼の得意とするコミカルなアクション娯楽作に仕上がっている。

各分野の犯罪プロフェッショナルが集まった、チーム「ミスフィッツ」。まだ若い男女の集団だが、極悪人から大金を盗んで弱者たちに与えるという、確固たる主義を持った義賊である。そんな彼らが次に狙うのは、凶悪テロリストの資金源となっている金塊。しかしそれは、中東の砂漠にそびえ立った堅固なセキュリティーの私営刑務所に隠されていた。彼らは盗みのスペシャリストで、脱獄を得意とするリチャード・ペイス(ピアース・ブロスナン)と手を組むことにする。

最近の映画は2時間超えが当たり前になっているが、本作は95分とコンパクトにまとまっている。しかしプロットは2 時間あってもいいほど立て込んでいるので、非常にスピーディーに展開する。もったいぶった演出で長尺にせず、ぽんぽんと必要なカットだけをテンポよくつなげていくのが、さすがベテラン監督という印象。

金塊を盗み出す手段がまるで猫だましのような気もするユーモラスなアイデアなので、見ている人に考える暇を与えないスタイルは本作にちょうど合っていると言えるかもしれない。ずっしりと重厚感ある娯楽大作ばかりでは疲れるので、たまにこういった小気味よい作品に巡り合えるとほっとした気分になる。

本作において出番は多くないが、刑務所を運営する財界人シュルツを演じたティム・ロスの存在感に味がある。金のためなら中東のテロリストとも手を組む悪徳実業家を、エキセントリックな芝居で演じている。本作はB級ならではの威勢の良さ、軽やかさにあふれていて楽しい。ただ、今のご時世からすると、娘くらいの若い女性を性の対象にした設定は考慮してほしいとは思ったけれど。

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『ザ・ミスフィッツ』(原題:The Misfits)

『ザ・ミスフィッツ』

(C)2020 Film Gate Productions FZ LLC. All Rights Reserved.
Cast & Staff

監督:レニー・ハーリン/出演:ピアース・ブロスナン、マイク・アンジェロ、ハーマイオニー・コーフィールド他/公開中/配給:クロックワークス

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2022年3月号に掲載した記事を再編集したものです。

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真魚八重子(まな・やえこ)映画著述業。『映画秘宝』、朝日新聞の映画欄、文春オンライン等で執筆中。著書『映画系女子がゆく!』(青弓社)、『映画なしでは生きられない』『バッドエンドの誘惑』(共に洋泉社)も絶賛発売中。