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「英語スピーキングテスト対策って何をしたらいい?」具体的な学習方法とおすすめ教材はこれ!

スピーキングテスト活用術

「英語のアウトプット力に自信がない」?それなら、日々の英語学習にスピーキングテストを取り入れるのがおすすめ!『TOEICテストスピーキング/ライティング総合対策』など数々の著作を持つ浅場眞紀子さんが、英語スピーキングテストの種類や特性、テスト対策法を紹介します。今回は、スピーキング上達のための学習方法や教材について解説します。

スピーキング上達のための学習方法を解説!

連載「英語スピーキングテスト活用術」は、今回の第6回で最終回となります。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

最後は、スピーキング上達のための学習方法についてお伝えしたいと思います。

スピーキングテストごとに英語が異なるわけではないので、どのスピーキングテストの準備をするにしろ、まずは基本の力をしっかり固めてから各テストへの対応をすることが、一見回り道のようでも早道でしょう。

There’s no royal road to acquiring a foreign language.「第二言語習得に王道(楽な道)なし」です。スピーキング力を「効率的に向上させる」のはかなり難しいことですが、「正しい方向に努力する」ためのヒントと、私がいいと思う本やアプリをいくつかお伝えしたいと思います。

【評価ポイント別】スピーキング対策におすすめの教材

前回の記事で、私が受け持つ生徒さんのスピーキング力を測る際に判断基準として使っているポイントをご紹介しました。今回はここから5つ、「文法・構文」、「発音」、「流ちょうさ」、「より複雑な構文」、「社会的な適切さ」を選んで、それぞれ集中的にトレーニングするための方法をご紹介します。

▼前回の記事はこちら!

Accuracy(正確さ) ルールに沿って正しく英語をアウトプットする力
1. 文法・構文 語順や品詞の使い方が正しいか
2. 語彙選択 伝えたい意味を正しく伝える語彙を使えているか
3. 発音 相手に伝わる発音で話せているか
Fluency(流ちょうさ) 一定の速さを保ちながらある程度止まらずに聞き、話す力
4. 流ちょうさ 音のつながりや意味のかたまりを意識しながら話せているか
5. スピード 一定のスピードを保ちながら話せているか
6. 双方向対話力 相手の発話を正しく理解してやり取りができているか
Complexity(複雑さ) 抽象的な内容をよりアドバンストな言い回しで話す力
7. より複雑な構文 関係詞や接続詞を使って複文で話せているか
8. より複雑な言い回し 句動詞、上級語彙、長めの修飾を使ってより自然に話せているか
Appropriateness(適切さ) 場面に合わせて適切な言い回しを使える力
9. 社会的な適切さ 相手や自分の立場、状況を踏まえた話し方ができているか
10. 交渉力 論理的に自分の意見を主張し交渉できているか
11. メッセージ性 プレゼンや意見を述べる際に印象的なメッセージを出せているか

文法・構文

まず、文法が正確でないことには、伝えたいことも伝わりません。

特に語順はそのまま意味に反映されますので、基本に立ち返ってマスターしましょう。

中学3年生までの文法をしっかりと復習し、自由自在に使えるようになれば、大抵のことは正しく話せるようになるでしょう。「中学3年生までの文法を使って話す」というコンセプトの英語学習本はたくさん出版されているので、ご自身の好みで選ばれるといいと思います。

私のおすすめは、説明は最低限で反復トレーニング重視の以下の2冊です。スピーキングはまず口から出さないと上達しません。

『英語のハノン 初級』(筑摩書房)

文法知識と発話力が徹底的に融合するまで、基本の文法を使って語彙を入れ替えたり態を変えたりと、ドリル形式でトレーニングできる本です。しっかりやり込むことで、応用力と瞬発力がつくでしょう。中級も近々発売されるようです。

『英語のスピーキングが驚くほど上達する  NOBU式トレーニング』(IBCパブリッシング)

『英語のハノン』に比べるとコンパクトですが、こちらも初級者の発話トレーニングに使えます。中学校の各学年で習う文法を汎用的な文で練習することができます。赤字部分を異なる内容に変換しながら正しく言う練習をするとよいでしょう。

発音

全くインプットがない状態、つまり白紙から英語学習を始めるならば、ただ正しい音で学べばいいだけですが、何年も気付かずに間違った発音をしてきたとすれば、正しい音を学ぶだけでなく、今までの発音を上書きする必要があります。

それは「習慣」「癖」といったものを変えるのと同じなので、生半可な決意では変わりません。自己学習で発音を改善したいなら、自分の発話を録音し、目標とする英語のネイティブスピーカーの音と比較し、客観的に違いを意識して、徹底的に真似しましょう。これには以下のような教材がおすすめです。

YouTubeチャンネル「『あいうえおフォニックス』英語発音」

基本の知識を分かりやすく教えてくれるYouTubeチャンネルです。可愛いイラストなので子供用と思うかもしれませんが、中身は正統派、硬派です。こちらを見て英語の音を理解し、発話練習につなげていきましょう。口の中の動きもアニメーションになっていて、分かりやすいです。

発音アプリ

動画学習と並行して、「発音博士」や「ELSA Speak」といった発音判断アプリなどでターゲット音声を繰り返し練習しましょう。発音アプリはやや厳しめの採点のものを使うことをおすすめします。

流ちょうさ

音のつながりや意味のかたまり(チャンク、またはフレーズ)を意識して話す力は、とても大切な要素です。

例えばこちらの文を意味のかたまりに分ける場合、皆さんはどう分けますか?

A little further on we rounded a bend and the village came into view.

以下のように分けることができれば、綺麗に意味が通ります。

A little further on / we rounded a bend / and the village came into view.

「少し先に進んで/私たちが曲道を過ぎると/その村が視界に入ってきた」

以下のように正しくないチャンクに分けた場合、

A little further / on we rounded / a bend and the village came / into view.

「少し先/on 私たちは回った(?)/曲道と村が来た(?)/視界に」

極端にいうと日本語でこのような分け方となり、相手にはとても伝わりにくい話し方となるでしょう。

最近は、チャンクやフレーズ単位でスラッシュが入っている素材がとても増えています。「スラッシュとスラッシュの間を一息で言い切る練習」と、「チャンクやフレーズ単位で繰り返される文法ユニットとその意味を意識しながら読む練習」を繰り返しましょう。

『話せる英語ドリル300文』(アルク)

こちらのテキストでは、音のリンキングやイントネーション、チャンクを可視化しているので、練習しやすいと思います。

英語のチャンク、フレーズとは「意味のかたまり」「音のかたまり」「文法単位」ですので、この単位を意識して聞いたり、読んだり、話したり、書いたりすることがとても大事です。

私はいつも「発話はレゴのようなもの」と言っていますが、単語単位で話すのではなく、密接な関係を持つ周辺部の単語を含めてグループ単位で練習するのが上達のコツです。

より複雑な構文

「短めのシンプルな文や、シンプルな文が等位接続(and、butなど)でつながっている程度であれば、聞き取れるし話せる」という人でも、「関係詞などが入ったり、やや長めの接続詞(even ifwhilewhereasなど)が出てきたりすると、途端に文脈が分からなくなり聞き取れない、発話はさらに厳しい」ということが大変多くあります。

これは一朝一夕にはできるようになりませんが、最も効果的なやり方は、同じ構文の文章を何種類も繰り返し練習して定着させることです。どれだけたくさん特定の構文を意識的に練習したかどうかで、定着するかどうかが決まるでしょう。

1000時間ヒアリングマラソン

私が今アルクの「1000時間ヒアリングマラソン」で担当しているトレーニングコーナーは、まさにこの長くて複雑な文を聞いたり話したりして鍛えるという内容です。受講生の皆さんからも「今までになかったトレーニングだ」と評判なので、ご興味のある方はヒアリングマラソンをチェックしてみてくださいね。

自分の使える構文レベルを上げるには、集中してトレーニングをする必要があります。自分一人では難しいと思う人は、オンライン英会話や英会話教室の先生などにはっきりと「関係詞や長めの接続詞が入る複雑な文の練習がしたい」と意思を伝えて、習得を手伝ってもらうといいでしょう。

社会的な適切さ

相手と自分の立場や関係、そして会話の内容の重要度などによって「丁寧度」をコントロールできると、自然で心地のいいコミュニケーションを築けるでしょう。

英語では「Pragmatics」、日本語では「語用論」と呼ばれる言語分野です。スピーキングテストで正面から語用論の要素だけが試されることは少ないように思いますが、実際に英語でコミュニケーションをする際には必須の要素となります。

英語話者は私たちが思うよりも間接的な表現を好みます。ネガティブな内容を伝える時や、相手に重めの依頼をする時などは、特に間接的な表現が好まれます。必要な時に適切な助動詞を使わないと、無礼で失礼な物言いになることが多々ありますので、ぜひ英語の「敬語」をマスターしていきましょう。

あなたは、英語の助動詞は得意ですか?もし得意でなければ、まず助動詞の意味とその使い方を一度文法本に戻って確認しましょう

基本の知識をしっかりと入れた後は、こちらの2冊を覚えるくらい練習するといいでしょう。

『相手を必ず味方につける英会話のロジック』(アルク)

『英語のお手本』(朝日新聞出版)

スピーキング練習は「まずはゆっくり、正確に」

今回は最後のまとめとして、スピーキングを練習する際の観点についてお話しました。「なんとなく」練習するのではなく、ターゲットを絞って「今練習していること」に集中してトレーニングをすることが大事だというメッセージを受け取っていただけたら嬉しいです。

まずはゆっくり、正確にできるようになることです。できるようになったら、正確さを保ったまま少しずつスピードを上げていきましょう。

皆さんのスピーキング力向上とスコアアップを祈念して、この連載を終わりたいと思います。

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浅場眞紀子

浅場眞紀子慶應義塾大学卒業。コロンビア大学ティーチャーズカレッジ英語教授法(TESOL)修士号取得。外資企業2社に計10年間勤務後、ビジネス英語研修会社Q-Leapを愛場吉子と設立。企業のエクゼクティブ担当として数多くのプライベートレッスン、グループ研修を手掛けている。共著『TOEICテストスピーキング/ ライティング総合対策』(旺文社)、共著『話せる英語ドリル300文』(アルク)など著書多数。