英語でのスピーキング力を高める「気にしない力」の大切さ

英語で自分の思いを話すためにはどんな学習法が必要?どんな表現をすれば相手に気持ちが伝わる?直接人と会話する機会が減っている昨今、一人でもできる英会話練習法を紹介していきます。教えてくれるのは、アメリカ・カリフォルニア州から日本へ移住し、現在はフリーランスで英会話講師・通訳・翻訳者として活躍されているHarmonyさんです。

英語上達に欠かせない「気にしない力」

こんにちは、Harmonyです!これまで色々とスピーキング力を鍛えるためにできることについてコツを紹介してきましたが、その中で「やってみたい」と思えることがあれば嬉しいです。ご自身の学習にどんどん繋げていってください。今回が最終回となります。最後にみなさまにお伝えしたいことは「気にしない力」です。

これまでの記事では、「実践によって得られる成長」についてや、「英語で伝える力を身につけることの重要性」などについて話しました。まとめると、英語でスピーキング力を向上させるためにはまず、失敗することを恐れないこと。次に、準備としてしっかりと声に出して練習してみること。鏡の前で実際、自分がどのように話しているか観察すること。そして英語でスピーチをして、相手に自分の考えを英語で伝えられるよう、話し方や発音に注意しながら練習することなどです。その上で最後にお伝えたいしたいことは、「気にしないこと」についてです。

私の母は純日本人で、父はイギリス人です。2人の出会いは、母がカナダへ留学していて図書館で勉強していたところ、父が母に声をかけたことです。母は生まれも育ちも日本で、日本語だけの環境で人生のほとんどの時間を過ごしていました。海外に興味があり、大学を卒業してから数年後カナダへ留学をしたみたいです。

私はアメリカで育ったため、自然と母語は英語になりました。友達が多かった私は、友達の家に泊まったり遊びにいったりすることが多かったです。アメリカは、日本と違って、お友達の家にすごく頻繁に泊まる文化があります(Sleepoverといいます)。週2回、多くて週4回くらい、私は友達の家でお世話になることがありました。

それはさておき、とにかくアメリカだと友達同士の交流が親密なので、親同士も仲良くなりがちです。しかし、私の家族は違う。なぜかというと、母は日本人でイギリス人の父と結婚しても、英語が日常会話レベル以上には上達しなかったからです。アメリカに住んでいる年数が長ければ、英語が上達するのではないかと思った方、残念ながら関係ないです。母の場合は、元々英語に自信がなく、結婚してからもずっと専業主婦だったため、英語で話す機会といえば、父との会話がメインで、あとはたまにスーパーなど買い物へ出かけたときくらいでした。

母は特に「発音」に自信がなく、アメリカ人と話すことにとても怯えている様子でした。一緒に出かけると、大体私が母の代わりに話すことが多かったです。正直に言いますと、母は本当に英語の発音がよくなかったです。母が英語で話しているのを聞いても、ほとんど聞き取ることができず、そのことをよく周りにバカにされていました。自分が一生懸命話しても相手に伝わらず、からかわれたりしていた母は、次第に家から出ることを嫌がるようになりました。だから、友達とのお泊まりのときも、母ではなく父がいつも相手の親御さんと話していたのです。友達との交流会や誕生日会など、すべて父が対応していて、母が顔を出すことは一度もなかったと思います。

当時は、なんで周りのお母さんと違うんだろうと、少し寂しかったり、嫌になることがありました。ですが、日本へ移住して私は母の気持ちを理解できるようになりました。日本語が全然話せない、読めない、書けない状態でいきなり日本の学校へ転校した私にとって、何もかもが怖く感じました。日本語で話したいけど、自分の発音がおかしかったりして、周りから嫌われたりするのは嫌だ。間違えて変なことを言って、気持ち悪いと思われたくない。その時初めて、母ももしかしたらこんな気持ちでアメリカで過ごしていたのかなと、すごく申し訳なく感じました。

幸せな出来事は「チャレンジ」が引き寄せる

これは誰に対しても言えることですが、第二言語でコミュニケーションを取ることは想像以上に大変なことです。どんなに明るい性格で自分は強いと自信があっても、いざその場になると、信じられないくらい戸惑い、怖くなるものです。英語でのスピーキング力を高めるために、今は1人で練習したり、オンライン英会話で外国人と一対一で練習したりする方が多いと思います。ですが、40人くらいの中、自分がたった1人の日本人で、みんな外国人で英語しか通じないとなれば、うまくやり過ごせますか?堂々と胸を張って、英語でコミュニケーションを取れますか?どれだけ練習してきても、本番になるとやはり失敗が怖くなり、何もできなくなってしまうかもしれません。

だから、最後に私がお伝えしたいことは、「気にしないでください」ということです。周りにバカにされても、どう思われても、失敗しても、大丈夫です。「発音を間違えて変なことを言ってしまった」なんて、気にしているのは自分だけですし、その時は大きな失敗だと感じても、将来に渡ってまで思い出すような重大な出来事でしょうか?どうしても気になってしまうという人は、心の中で人類が既にいなくなった、遥か未来の宇宙を思い浮かべてみてください。ふと「気にしないでも大丈夫」という気持ちになってきませんか?

母がアメリカにいた時、周りを気にせず英語で話すことに挑戦していたら、いつも家に引きこもって悲しそうに過ごすのではなく、もっと楽しい生活を送れていたかもしれません。他人がどう思うかを気にして生きていると、このように幸せな出来事を遠ざけてしまうことになります。

いつか英語を使った仕事がしたい。外国人と英語で自然なペースで会話がしたい。もっとペラペラと英語で話したい。これらを達成するには、最終的には「気にしない力」がとても大事です。完璧な人間なんていない、だから気にしないで、とことんチャレンジをしてください。人生はすべて自分次第です。自分でチャンスを切り捨てないでください。今まで読んでくださり、ありがとうございました。 Thank you so much for reading this article . I hope you have an amazing day! Goodbye.

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Harmony(ハーモニー) フリーランス通訳・翻訳家・英会話講師。カナダ生まれアメリカ育ちで、13歳で日本へ移住。独学で日本語を学び、作業療法士の資格を取得するまでに至る。自身が運営するYouTubeチャンネル 「ハーモニーと英語」 や、英語スピーチに役立つフレーズや海外文化にまつわる情報を発信している。Twitter: @fiore_harmony

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