アメリカでは履歴書に写真は不要?性別、年齢も書かないって本当?

アメリカでは履歴書に写真は不要?

この連載では、アメリカのとあるQ&Aサイトに実際にあった質問と回答を取り上げ、よりリアルなアメリカ像を紹介しています。第3回のテーマは「アメリカの仕事事情」。日本とアメリカの履歴書の書き方や働き方の違いについて迫っていきます!

こんにちはSalahです。前回はアメリカの年末年始事情についてお話しました。今回取り上げるのは、アメリカのQ&Aサイトにあった「仕事」に関する質問と回答です。アメリカ人は仕事に関してどのような価値観を持っているのでしょうか?日本の仕事文化と比較して相違点・共通点はあるのかについても考えてみたいと思います。

※Q&Aサイトとは、ユーザーの質問や悩みに対して、ほかのユーザーが回答するプラットフォームのことです。QuoraYahoo Answersなど。

履歴書に書いてはいけないことは何?

まずは今回ピックアップする質問と回答を英語で読んでみましょう。意味の理解が不安なところは日本語訳を参考にしてください(逐語訳ではありません)。

※紹介する英文は、Q&Aサイトの実際のものを基にアルクで作成したものです。

Davidからの質問

What are some things to avoid and things to include in your resume?

履歴書に「書くべきでないこと」と「書くべきこと」は何ですか?
Jamesからの回答

Along with things that should be included, I would like to stress that there are many things that should NOT be included. Make sure to never mention your gender, age or marital status. They are not relevant and may result in an unconscious bias against you. And unless you are applying for a job as a model or actor, do not include a photo or give any personal details such as height or weight.

Place your name and contact information at the top middle, left or right corner of the first page, but avoid giving out your full home address. There is also no need to supply any references unless the job posting specifically asks you to do so. (If you are asked for them, include them on a separate sheet of paper)

履歴書に「書くべきこと」と一緒に、「書くべきでないこと」がたくさんあることを強調したいね。性別や年齢、配偶者の有無などは絶対に記載しないようにしよう。それらは仕事とは関連性がないし、あなたに対する無意識的な偏見になる可能性があるからね。また、モデルや俳優の仕事に応募している場合を除き、写真を載せたり、身長や体重などの個人的な情報を記載しないように。

履歴書の最初のページの上部中央、左端、右端のいずれかに名前と連絡先を書こう。ただし自宅の住所をすべて伝えることは避けてね。また、求人情報に特に記載されていない限り、推薦状を提出する必要はないよ。(もし提出を求められた場合は、別紙に記載すること)

Susanからの回答

Unless it relates directly to the job posting, do not give out any personal information, including your nationality or religion. Hobbies and personal interests should not be included unless they are directly connected to the job. Only relevant experience, including volunteer work, should be listed, but do not mention any work experience that is more than 10 years old. References should only be included if they have been asked for.

The key thing is to make sure that the information contained in your resume fits the requirements of the job description. Take out anything else.

応募した仕事に直接関係する場合を除き、国籍や宗教などの個人情報は記載しないように。趣味や個人的な興味も直接関係するものでない限り記載しないようにね。ボランティア活動の経験も関係する場合は記載すべきだけど、10年以上前の経験は記載しないこと。推薦状を求められた場合のみ記載すればいいよ。

重要なのは、履歴書に記載されている情報が業務内容の要件に合っているかを確認することだね。そのほか(関係ないもの)は何も記載しないようにしよう。

Paulからの回答

One thing that cannot be stressed enough is to NEVER LIE on your resume. Do not include anything that you cannot back up. Also, the person in charge of going through the resumes does not want to read vague descriptions of your strong work ethic or how you are a team player. Concrete examples are needed. Substantiate your claims with hard facts. If you say you managed a large team, how large do you mean?

The employer does not want to waste time reading irrelevant material, so only include important details that relate directly to the job you are applying for. Put yourself in the shoes of that employer and try reading your resume through that person’s eyes.

履歴書には絶対にうそを書いてはいけないことはかなり強調したいね。具体的に説明できないものは絶対に書かないようにしよう。また、履歴書を読む担当者は、あなたの仕事に対する強い倫理観や、チームプレーヤーであることなどの漠然とした説明なんて読みたくない。具体例が必要だね。しっかりとした事実に基づいて自分の主張を証明しよう。もしあなたが大きなチームを管理していたと述べる場合、どのくらいの規模のチームを管理していたのか?(という説明が必要)

採用する側は、関連のない資料を読んで時間を無駄にしたくない。だから応募している仕事に直接関連する重要事項だけを書こう。採用する側の立場になって、その人の視点で自分の履歴書を読んでみて。

今回の注目フレーズ!

reference 推薦状

referenceは「引用」「参考文献」などさまざまな意味がありますが、「推薦状」という意味もあるので覚えておきましょう。

日本では推薦状の提出を求められる機会はそれほど多くありませんが、アメリカでは推薦状が重視されることが多いです。例えば、アメリカの大学や大学院に出願するときも、多くの大学が2、3通の推薦状提出することを求めます。職場の上司や大学時代の教授から推薦状を書いてもらい、あなたがどんな人物でどのような働きぶりだったかをアピールする必要があるのです。

JamesやSusanの言っているように、就職活動で履歴書送付の際、推薦状が求められていなければ提出する必要はありませんが、推薦状を求められている場合、現職や前職の上司に推薦状を書いてもらう必要があります。もちろん、その内容は採用の合否にも影響します。

なお、推薦状はreferenceのほかにletter of recommendationrecommendation letterなどと言うこともできます。

work ethic 労働観、労働倫理、仕事に対する価値観

ethicは「倫理」「道徳」ですが、work ethicで「労働観」「労働倫理」「仕事に対する価値観」を意味します。ビジネスの場面で仕事に対する姿勢を表現するときに非常によく使われる表現ですので覚えておきましょう。

apply for 〜 〜に応募する

「〜に応募する」はapply for 〜とapply to 〜がありますが、使い分けが重要です。

apply forの後には「職種/申し込む目的」がきます。例えば、apply for the positionapply for the jobなど。

一方、 apply toの後はapply to Stanford Universityやapply to the companyのように具体的な組織」がきます。混同しやすいのでしっかり整理しましょう。

put yourself in the shoes of〜 〜の立場になって考える

put yourself in the shoes of 〜は直訳すると「〜の靴の中に自分自身を入れる」ですが、「〜の立場になって考える」という意味の頻出イディオムです。

if I were in your shoes「もしあなたの立場だったら」という仮定法の表現もよく使われるので覚えておきましょう。

例えば・・・

If I were in your shoes, I would quit the job immediately.
もし僕が君の立場なら、すぐにその仕事を辞めるよ。

Q&Aから読むアメリカのリアル

まずは履歴書から見える、日本とアメリカとの文化の違いを見ていきましょう。

履歴書に写真は不要。性別、年齢も書かない

日本では多くの場合、履歴書のテンプレートが決まっており、誰が書いても、ある程度同じようなスタイルになります。しかし、アメリカの履歴書は基本的には決まった型がなく、かなり自由度が高いです

履歴書に「何を書くべきか」を把握しておくのは当然重要ですが、Jamesが言っているように、「書いてはいけないこと」を知っておくのも重要です。

私も英文履歴書を初めて作成したときに非常に驚いたのを今でも覚えていますが、アメリカの履歴書に顔写真は不要です。また、年齢や性別も記載しません。アメリカでは人種や年齢、性別で採用や不採用を決めるのは差別にあたり違法です。よって書類選考は年齢と性別の記載や写真なしで行われます。また、結婚や宗教、性的指向などについて面接で聞かれることもありません。

職務要件を満たしていれば誰でも応募可

アメリカでは求人情報にある職務要件を満たしていれば、年齢や性別、人種に関わらず応募できるので、実力主義とも言えますし、これによって多様性が生まれます。私が大学院修了後にアメリカでインターンシップをしたときの同期の年齢ですが、下は19歳、上は58歳とかなり幅がありました。また国籍もアメリカ人がメインではありましたが、日本人である私や、ドイツ人、中国人もおり多国籍でした。もちろんこれは選考後にインターン同士で話しているときにわかったことで、選考はこれらの情報なしで行われています。そして仕事中は19歳でも58歳でもまったく同様に扱われます。

自宅住所を書かない?!

 

また、Jamesさんが言っているように、最近のアメリカでは履歴書に住所を含めない人や、詳細な自宅住所を応募書類に記載しない人も増えているようです。正式な決まりがあるわけではないですが、州と市だけ記載し、番地や部屋番号などを記載しない場合もあることは知っておきましょう。住所が書いていなかったとしてもそれが採用・不採用には大きく関係しないようです。

もちろん職種にもよりますし、アメリカでも住所を記載する人も依然多いようですが、住所によって応募者を差別しないというわけですね。私のアメリカ人の友人は基本的には住所を履歴書に書くが、もしあまり重要でない仕事に応募するならば、そのときは住所を書かないかもしれないと言っていました。どんな企業に応募するのかや、その人がプライバイシーをどの程度重要視しているかも影響してくるようです。

ただし、詳細な住所は選考の終盤や採用後には聞かれるのが一般的と言えます。また、日本では手書き履歴書を利用している人もいると思いますが、アメリカでは基本的には履歴書は手書きではなく、電子版ファイルで送ったり、応募フォームにアップロードしたりするのが一般的であることも覚えておきましょう。

履歴書は具体例・数字が命

アメリカの履歴書はフォーマットが自由である分、自分の経験や能力をいかにアピールするかがポイントとなります。Susanが、応募した仕事に関連するボランティア活動は含めていいと言っているように、課外活動も仕事に直接関連していれば強みになります。私も留学中、教授から「ボランティアは積極的にやって履歴書にどんどん書きなさい」といつも言われていたので、TA (Teaching Assistant)という教授のアシスタントのボランティアや、学会運営のボランティアを何度もして履歴書のボランティア活動欄のネタを増やしていきました。

また、PaulがSubstantiate your claims with hard facts(しっかりとした事実に基づいて自分の主張を証明すること)というアドバイスをしていますが、これは履歴書作成において最も重要です。具体例や数字を盛り込み、自分が何を成し遂げたかを事実に基づきアピールします。これらはaccomplishmentsachievementsと呼ばれ、面接でも必ず聞かれることです。

カバーレターを添える

日本は履歴書に職務経歴書を添えて提出するのが一般的ですが、アメリカでは履歴書にカバーレターを添えるのが一般的です。カバーレターは応募職種を明記し、なぜその仕事に自分がふさわしいのかを簡潔に書くものです。私がアメリカで初めてカバーレターを書いた時は、大学のキャリアセンターに何度も通い、書き上げるのに大変苦労しました。

アメリカ人は怠け者?それとも勤勉?

履歴書以外にもアメリカの仕事文化は日本と違うことがたくさんあります。ここからはアメリカ人の働き方や残業、休日について考えてみましょう。

アメリカ人は働き者?

私はアメリカ人は勤勉だと思います。個人差は当然ありますが、アメリカ人の働き方は非常に「メリハリ」があるという印象です。私のアメリカ時代の同僚は、少し生産性が落ちてきたらオフィスを抜け出し中庭へ行きコーヒーを飲んで気分転換。すごく長い時間休憩に行っているな、と感じてもその後きっちり仕事モードに戻って挽回していました。ランチも1時間のはずですが1時間半くらい姿がなく、帰ってきたと思ったらものすごい切り替えで働きます。

アメリカ人は残業しない?

「アメリカ人は残業をしない」ということを聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これは本当なのでしょうか?

私が働いていた部署では、定時になると仕事が残っていても次の日へ、という感じでノー残業でした。夕方17時になると全員がすぐに帰り、17時5分には部屋に誰もいなくなります。金曜日はみんなが週末モードで、午後になると必ず「週末の予定は?」という話になっていました。

このように、残業をしないアメリカ人は確かに多いですが、残業をする場合も当然あります。しかし、ダラダラ残業するのではなく、「その日に決められた仕事が終わっていないから残業する」という感じがほとんどで、基本的に「その日にできるところまで仕事し、終わらなかったら次の日」という考え方です。必要がない場合は残業しません。

また、管理職は職種によっては残業することも多いです。ただし、その場合も決められた仕事が終わっていないから残業するのであって、無駄な残業は一切しない、という価値観が一般的です。

アメリカでの残業代

アメリカでは、管理職や専門職でない従業員が週40時間を超えて労働した場合、基本時給の1.5倍の残業代を超過分に対し支払うことがFair Labor Standards Act (FLSA) というアメリカの公正労働基準法で定められています。

また、職種によって残業に対する考え方がかなり違うのも特徴です。管理職や高度な専門職に従事する労働者は年俸固定制で働きます。細かい基準はここでは割愛しますが、これらの労働者は労働基準法により残業しても手当はつかないため、「残業代」という概念は基本的にありません。

ちなみに給料ですが、月給でなく、2週間に1回振り込まれることも多いということは日本との違いと言えるでしょう。私の場合も2週間に1回振り込まれていました。

「お疲れ様です」は英語でなんて言う?

日本では「同僚や上司が仕事してるから帰りにくい。残業しないと・・・」という同調圧力によって残業する人がいるかもしれませんが、アメリカでは上司より先に帰る事がNGという文化はないです。

日本では「お先に失礼します。お疲れ様でした。」などと言って職場を後にしますが、アメリカではSee you tomorrow. Bye. とだけ言ってオフィスを出ることも多いです。「お疲れ様です」に当たる英語がないのも面白いですね。

会社飲み会について

アメリカでは同僚との飲み会参加へのプレッシャーがない会社がほとんどです。退勤後や休日は家族・友人と過ごす、という価値観があり、飲み会で同僚との距離を縮める、という考え方もあまりありません。

ただし、休日の会社企画のイベントなどは頻繁にあり、まったく交流がないわけではありません。「参加したい人だけ参加してね」という感じでかなりサッパリしています。

アメリカでは祝日が少ない

日本では国民の祝日は年間で16日程度あり、年末年始やゴールデンウィーク、お盆休みを加えると普通の会社員が休める休日数は年間で20日を超えることも少なくありません。一方で、アメリカの国民の祝日は年間10日間です。

連邦政府が定めているアメリカ全土共通の祝日をfederal holidaysといい、州政府ごとに各州が定めている祝日をstate holidaysと言います。federal holidaysは年間10日ですが、まずはほとんどの企業で休みとなる以下の6つの休日を覚えておきましょう。

• 元日(New Year’s Day):1月1日
• 戦没者記念日(Memorial Day):5月の最終月曜日
• 独立記念日(Independence Day):7月4日
• クリスマス(Christmas Day):12月25日
• 労働者の日(Labor Day):9月第1月曜日
感謝祭(Thanksgiving Day):11月第4木曜日

今回はアメリカの仕事事情について見てきました。日本とは異なることも多くありましたね。私は日本とアメリカの両方で働いた経験がありますが、どちらの国にもいい点があり、一概にどちらの国の就労制度が優れているかを言うのは難しいです。しかし、いい仕事に就きたい、いい仕事がしたい、と感じるのは世界共通です。将来アメリカで働きたい方は今回の記事で紹介したことをぜひ参考にしてみてくださいね!

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Salah

サラ 英語ジム らいおんとひよこ®代表。 コロンビア大学大学院 英語教授法修士。 コロンビア大学修了後は、TOEIC、TOEFLなど作成する米最大のテスト作成機関 Educational Testing Service(ETS)本社で問題作成者として勤務(フルタイムインターン)した。 アメリカのニュースとトークショーが大好きで、毎日欠かさず視聴しています。 YouTube・note ・英語ウェブメディアなどSNSはこちら