歌詞翻訳の3つの種類:①直訳②自由訳、あともう一つ重要なものは?

歌詞翻訳の3つの種類:①直訳②自由訳、あともう一つ重要なものは?

「英語を学び、英語で学ぶ」学習情報誌ENGLISH JOURNAL(EJ)の「Lecture」。シンガーソングライターで数々のJ-POPの歌詞英訳も手掛ける、ネルソン・バビンコイさんによるレクチャーの第2回となる今回は、「3つの異なる歌詞翻訳の種類」について教えていただきます。

ネルソン・バビンコイさんってどんな人?

ネルソン・バビンコイさんは、米津玄師SEKAI NO OWARITHE BAWDIESゲスの極み乙女。など日本のメジャーアーティストの英語詞や英訳詞に携わる、アメリカ出身の作詞・訳詞家として幅広く活動されています。

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Lecture:ココロを伝えるJ-POPの「文化通訳」第2回

レクチャー第2回では、歌詞翻訳で重要となる「直訳」「自由訳」「歌える訳」とはどんなものなのか、それぞれにどんなスキルが必要なのか、例を挙げながら説明していただきます。ぜひ音声も聞きながら、いっしょに学んでいきましょう!

1. よく聞く「直訳」ってどんな翻訳?

A direct translation is the most common type of translation. Basically, all you have to do is translate the original content uas is, which can lead to clunky phrases and words that don’t resonate with non-Japanese speakers. If you’ve ever used an AI translation service like Google Translate, you probably already have a good idea of how bad some direct translations can be.

直訳は、翻訳の種類の中で最もよく知られています。基本的には原文の内容をそのまま翻訳するだけなので、日本語を話さない人の心には響かない、ぎこちない表現や言葉になる可能性があります。皆さんも、Google翻訳のようなAI 翻訳サービスを使ったことがあるなら、直訳がどれほどひどくなり得るか、すでに察しがついているかもしれませんね。

皆さんも、そのまま訳すという意味の「直訳」という言葉はこれまでに聞いたことがあるのではないでしょうか。ネルソンさんは「日本語の歌詞の大半には明確な主語(私、あなた、彼、彼女など)がない」ということが、日本語から英訳する際に難しいと話しています。曖昧で間接的という特徴を持つ日本語の詩について、曲の視点を正しく理解するために今でも苦労されているそうです。

2. 「自由訳」は何が「自由」なの?

A free translation is where things start to get fun. As the name implies, this type of work gives the translator the freedom to play around with different English phrases and interpretations of the source material. Compared to direct translations, this requires a much higher level of literacy in both languages to put together an effective translation.

自由訳からが面白くなってきます。その名称が示すように、この種類の(翻訳)作業では、さまざまな英語表現や原文の解釈を試して遊ぶ自由が、翻訳者に与えられます。直訳と比べると、(自由訳によって)効果的な訳文を仕上げるためには、両方の言語に対するより高度な読み書き能力が必要になります。

翻訳の際、さまざまな英語表現や原文の解釈を試して遊ぶ「自由」があるのが、「自由訳」だと説明されています。直訳と比べるとより高度な読み書き能力が必要なため、ネルソンさんは英語も日本語も、とにかく大量に読んだそうです。読むことで、自分の語彙や文学的な知識を増やすことができるので、翻訳スキルを上げたい人におすすめです!

3. 「歌える訳」は難しい?

The third and final type of lyric translation I’m going to talk about is a singable translation. Even though this has become my specialty, I don’t think I’ll ever feel like a true master. That is precisely why I love doing this stuff; the final product only gets better with experience. In a way, it’s comforting to definitively know that the future me will be even more capable than I already am.

今回お話しする三つ目かつ最後となる歌詞翻訳の種類は、「歌える訳」です。今やこれが私の本職となっているのですが、いつまでたっても本当の意味でマスターできる気がしません。それこそがまさに、この仕事(歌詞翻訳)が大好きな理由なのですけれど。何しろ、経験を積むことで出来上がりがよりよいものになるのですから。今の私より未来の私の方がよくできるようになっていると確信できるのは、ある意味で心強いことです。

ネルソンさんは、原曲のメロディーにぴったり合う分量の音節を見つけ、訳した歌詞をその言語のネイティブが聴いて魅力を感じるような、自然と流れるものにすることを「歌える訳」と呼んでいます。その「歌える訳」にするために、文章の構造を変えてメロディーに乗せて歌ってみたり、また別の単語に入れ替えたり・・・と試行錯誤を繰り返しながら、長い時間をかけて苦労して作り上げているそうです。

音楽・歌詞の翻訳にまつわる語句を要チェック!

「3つの異なる歌詞翻訳の種類」に関する英語レクチャーはいかがでしたか?全音声の中で登場する、音楽や歌詞の翻訳にまつわる表現を下にまとめました。

  • lyric(s) 叙情詩の、歌詞
  • concept 概念、考え
  • creativity 創造性、独創力
  • singable 歌いやすい、歌に適した
  • clunky 響きが悪い、格好悪い
  • resonate with ~ ~の心に響く、~の共感を呼ぶ
  • vague 曖昧な、漠然とした
  • indirect 直接的でない、遠回しの
  • interpretation 解釈
  • literacy 読み書き能力、知識
  • flow よどみなく流れる
  • comforting 励みになる、元気づける
  • syllable 音節
  • rhyme 韻、押韻
  • impactful インパクトがある、心を強く打つ
  • groove 大いに楽しむ、愉快にやる

 

皆さんもぜひ、これらの語句を使って「音楽」や「歌詞の翻訳」について人と話したり、説明したりできるようになりましょう!

レクチャーの全音声・スクリプトと和訳はENGLISH JOURNAL 11月号で!

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ENGLISH JOURNAL の連載「Lecture」ではこれまで、ロッシェル・カップさん(経営コンサルタント)に「英語での働き方」、ギャヴィン・ブレアさん(ジャーナリスト)に「Brexit問題」、ソンヤ・デールさんに「ジェンダー/LGBT」、勝又泰洋さんに「神話」、フー・ユィーングさんに「身近な医学」についてレクチャーしていただきました。ぜひこちらも併せてお楽しみください!

トップ画像の写真:山本高裕、構成・文:須藤瑠美(ENGLISH JOURNAL編集部)