現地のおいしいものを食べたり、アクティビティに参加したりするのも海外旅行の醍醐味です。今回は、イギリスで焼き菓子作りに参加した「つもり」になってみましょう!横浜でイギリス菓子とアフタヌーンティーの教室を開いている宮崎美絵さんが、自宅で気軽にチャレンジできるイギリス焼き菓子のレシピと、お菓子作りにまつわる英語表現を紹介します。
おうちでイギリス菓子を作ってみよう!
横浜の自宅でイギリス菓子とアフタヌーンティーの教室「Heart of England」を開いている、宮崎美絵と申します。
私は2002年、夫の赴任に伴い渡英し、6年半、イギリスの美しい田舎町・シュロップシャー(Shropshire)で暮らしました。
どこまでも続く緑の丘と羊の群れ、年季の入った石造りの建物に美しいイングリッシュガーデン。手作りの素朴なお菓子が並ぶ小さなティールームに、少し斜めに傾いた床のアンティークショップ。イギリスの片田舎で暮らした日々は、 不思議と時間がゆっくり流れていたように感じる、静かで豊かな日々 でした。
初めて招かれて訪れたお向かいのお宅で振る舞われた、手作りのキャロットケーキとマグカップいっぱいのミルクティーがとてもおいしくて、そこからイギリス菓子に夢中になりました。在英中はイギリス各地のティールームでティータイムを楽しみ、イギリス菓子とイギリス伝統のシュガークラフトも夢中で習いました。
帰国後、 イギリスの家庭やティールームで愛されているお菓子とティータイムを日本の方々にもお伝えしたい と思い、横浜の自宅でイギリス菓子とアフタヌーンティーのレッスンを始めました。
今回は、 自宅で挑戦しやすい「ビクトリアサンドイッチケーキ」の作り方を紹介します 。焼きたてのケーキの香りとともに、少しでもイギリスの風情を感じていただければうれしいです。
ビクトリアサンドイッチケーキってどんなお菓子?
イギリスのケーキと言えば何?と聞かれたら、まず思い浮かべる のがビクトリアサンドイッチケーキです。
ビクトリア女王(1819-1901)のお気に入りだったこのケーキ。1861年に最愛の夫であるアルバート公(1788-1861)を亡くし、落ち込まれていたときにも好んで食べられていたため、「ビクトリアサンドイッチケーキ」と名付けられたと言われています。
ケーキなのに「サンドイッチ」という名前が付いているのはなぜか と言うと、「サンドイッチティン」という、下の写真のような浅いケーキ型2つを使って生地を焼き、焼きあがった2つの生地でジャムを挟む(サンドイッチする)からです。
「同量の卵、バター、砂糖、薄力粉をボウルに入れて混ぜ合わせ、型に流して焼く」という簡単なお菓子 なので、イギリスでは子どもがお母さんから教わる最初のケーキとも言われています。ティールームでも人気の定番メニューで、ホテルで頂くアフタヌーンティーでもよく登場するお菓子です。
息子の学校でたびたび行われていたバザーでは、お母さんたちの手作りお菓子がたくさん並んでいましたが、その中でも大きく焼かれたビクトリアサンドイッチケーキは飛ぶように売れていました。また同じ生地を使ってカップケーキサイズに焼いたフェアリーケーキも人気のお菓子でした。
ビクトリアサンドイッチケーキを作ってみよう!
それでは、さっそく作ってみましょう。先ほども触れたように、「材料を混ぜて焼くだけ」の簡単なレシピなので、ぜひ気軽にチャレンジしてみてくださいね。
《材料》 (直径15センチメートルの丸型・1台分)
(生地)
卵・・・2個(約100g)
無塩バター・・・ 卵2個と同量(約100g)
上白糖・・・卵2個と同量(約100g)
薄力粉・・・卵2個と同量(約100g)
(フィリング)
いちごジャム・・・適量
生クリーム・・・70ml
グラニュー糖・・・大さじ1/2
なかない粉糖(消えない粉糖)・・・適量
《下準備》
・型にオーブン用シートを敷いておく。
・卵と無塩バターは常温に戻し、卵はよく溶いておく。
・オーブンを170℃に温めておく。
《作り方》
① ボウルに無塩バターを入れ、ハンドミキサーでなめらかにする。
② 上白糖を数回に分けて入れ、その都度混ぜる。
③ ふわっと軽くなったら卵を少しずつ加え、その都度よく混ぜる。
④ 薄力粉をふるい入れ、木ベラで切るように混ぜ合わせる。
⑤ 型に生地を流し入れ、温めたオーブンで30~35分焼く。
⑥ 竹串を刺し、生の生地がついてこなければ焼き上がり。
⑦ 粗熱が取れたら、型から外して冷ましておく。
⑧ 生クリームとグラニュー糖をボウルに入れハンドミキサーで8分立てにホイップする。
⑨ 生地を横半分にカットして、いちごジャムとホイップクリームを挟み、なかない粉糖をふる。
英語でお菓子作りをするなら、まずはこのフレーズから覚えよう!
お菓子作りが好きな方には、英語のレシピ本に挑戦するのもおすすめです。最後に、お菓子のレシピでよく出てくる英語フレーズを紹介しますので、興味を持った方はぜひほかのお菓子も作ってみてくださいね。
・rub in すりつぶすように混ぜる
スコーンやパイ生地などを作るときに、指の腹などを使って生地をすりつぶす 作業 のこと。
・all-in-one method オールインワン法
ケーキの材料をすべてボウルに入れて混ぜ合わせる方法のこと。
・breadlike dough 耳たぶくらいの固さ
生地の固さの目安のこと。
・ until the mixture looks like bread crumbs ぽろぽろした塊になるまで
伝統的なイギリスのパイの一種であるクランブルの生地の状態のこと。
・stiff peaks 角が立つまで
メレンゲなどを混ぜる際に、しっかりとした状態になるまで泡立てること。
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宮崎美絵 英国菓子愛好家。製菓衛生士。イギリスのお菓子・アフタヌーンティー教室「 Heart of England 」を運営。6年半の英国生活で繊細なシュガークラフトと素朴な英国家庭菓子に出会い、学ぶ。帰国後、横浜・あざみ野にて自宅教室を始める。近年、日本橋三越・新宿伊勢丹の英国展へ出店。著書に『 イギリス家庭菓子 美味しい紅茶とバターの甘い香りに誘われて 』(グラフィック社)