「ボケとツッコミ」は英語でなんて言う?英語のツッコミ方をバイリンガルMCが伝授!

「ボケとツッコミ」は英語でなんて言う?英語のツッコミ方をバイリンガルMCが伝授!

吉本興業と立命館アジア太平洋大学共催の「APU M-1グランプリ」インターナショナル漫才(日英両言語を使用)での優勝をきっかけに、バイリンガルMCとしてさまざまなイベントで活躍中のHalupachi(はるぱち)こと上小澤明花さん。連載「笑わせる英語」の第6回は、英語でツッコミを入れる方法についてお届けします。

ボケとツッコミ

Hi guys! バイリンガルMCのはるぱちです。

6回目となる今回は、多くの人を一度でワッと笑わせるテクニックのひとつ。そう、英語での「ツッコミ」について、日本語と英語を比較しながらご紹介していきたいと思います。

そもそも、漫才というものが日本で独自に発展した笑いの文化ですから、英語では日本の漫才にあるような「ボケ」と「ツッコミ」をそのまま意味する単語はありません。

しかし、コメディドラマやバラエティ番組を観ていると、いつもおかしなことをして笑わせる人と、冷静に対処する人とがいたりして、同じような立ち回りはやはり存在しているようです。funny man(ボケ)、straight man(ツッコミ)と訳されることが多いです。

さて、これからいくつかの例文を見ながら、流暢な英語を話せなくても人を笑わせるための実用的な「英語でツッコミ」テクニックを覚えてもらえれば幸いです!

国によってジョークやコメディの傾向が異なるのも面白い点だと思うので、興味がある方はぜひいろいろと調べてみてくださいね♩

笑いが起こるタイミングは「ツッコミ」です

皆さんは、日本語で「ツッコミ」といえば、どんな言葉、そしてどんな状況をイメージしますか?

ツッコミの代表的なものとして、関西弁でよく耳にする「なんでやねん!」という一言があります。

他にも「どないやねん!」「誰がやねん!」など、方言ではなくとも同じように「なんでだよ」「どういうことだよ」と言ったりしますが、一般的にはある話し手の「ボケ」に対して、「否定的」な態度や言葉で、ストレートに指摘をする様子が思い浮かぶのではないでしょうか。

そしてこのツッコミというのは、お笑い芸人の方々が見せる意図的なボケに対してばかりでなく、私たちの日常の中でも頻繁に発動されています。

少しだけ、思い出してみてください。周りのみんなが同時に笑ったのは、日常のどんな時だったでしょうか?

身近なところで起きそうな下の例を見てみましょう。

ボケ1:授業中に陽気なクラスメイトが、間違えて先生のことを「お母さん」と呼んだとき

ボケ2:居酒屋で、「禁酒中だ」と言っていた上司がいざ注文となると、真っ先にビールを注文したとき

ボケ3:お婆ちゃんが「お花を買ってくるよ」と言って家を出たのに、なぜか大量のネギを抱えて帰ってきたとき


さて、上の3つのシチュエーションに、皆さんはどのようなツッコミをしますか?(ワクワクっ笑)

これらの例は、たとえ意図されていないにしても、日本の笑いでいう「ボケ」に位置します。いわゆる、誰かによって生み出された想定外の出来事ことや、それまでの文脈からすると明らかに常識に反するような言動です。

ただ、不思議とこれらの出来事が起こるだけでは、みんなの一斉の笑いを誘うことは少ないのです。むしろ、クスクスといった小さな笑いが、じわじわ広がっていくでしょう。

そして、みんなの笑いどころが集まるのはまさしく、次の瞬間です。

ツッコミ1:(先生が生徒に)「誰がお母さんや!」/「先生はお母さんじゃありませんよ」

ツッコミ2:(部下が上司に)「(ぼそっと)いや飲むんかい」/「誰が禁酒中や」

ツッコミ3:(孫がお婆ちゃんに)「それお花ちゃうけど!」/「いや、それネギ!」


と、誰かがその人に対してツッコミを入れた瞬間ですね。多くの日本人は、ここで初めて、スイッチが入ったかのように一緒に声を出して笑います。

そして最初に書いたように、これらもほとんど全てが、誰かの言動を否定することでボケとツッコミが成立していますよね。ここが、実は英語でのツッコミとの大きな違いであると言えます。

余談ですが、2019年のM‐1グランプリで話題になった漫才コンビ「ぺこぱ」さんは、これまでの日本の笑いの常識を覆す「肯定的」なツッコミで見事多くの笑いを獲得していたので、新鮮さを超えて私は感激してしまいました!笑

英語のツッコミに欠かせない技2つ

日本語での否定的な言葉でのツッコミに対して、英語でのツッコミはほとんどが以下の2つの方法によって多く表現されます。

⒈「肯定的(かつ皮肉的)」な表現
⒉ 同意しがたいことを示す表情またはジェスチャー


1についてもう少し具体的に言うと、聞こえは肯定的だけれども、相手が少し常識からズレていると思い皮肉を込めながら、肯定的な言葉をかけるのが、英語でよくある「ツッコミ」です。

実際に1つのシーンを、日本語と英語で比較してみましょう。

Ed:These days my wife cooks only pasta for dinner, though I’m getting tired of it.

Bell:That’s too bad. Actually I don’t cook but my husband cooks for me every day like a chef.

Ed:Sounds nice!

Bell:He is very good at cooking! Especially I love the meat sauce he cooks almost every day. Do you want to join us?

エド:最近うちの嫁さんが夕飯にパスタばかり作るんだよね、もう飽きてきたんだけどなぁ。

ベル:あら、気の毒ね。ちなみに私は料理をしないけど、旦那がシェフ並みに毎日料理をしてくれるわよ。

エド:へえ、いいねぇ!

ベル:彼はとにかく料理上手なの!特に絶品は、彼がほぼ毎日作るミートソースね。あなたもうちに食べにくる?

さて、ここからが分かれ道ですね。これまでの文脈を裏切る「オチ」となる部分は日本語でも英語でも同じように最後の2文ですが、ここからのツッコミに大きな違いが出てきます。

念のため解説しておくと、近頃奥さんがパスタばかりを夕飯に作るので飽き飽きしているエドに対して、自分の夫は料理上手だと言いつつベルの家でもほぼ毎日パスタが出てくることを、ミートソースという言葉によってほのめかしています。そして「うちに来る?」という誘いが、エドの「いや、絶対パスタやん」というような、うんざりする気持ちに拍車をかけるシーンです。

日本の笑いに慣れている人たちであれば、ほとんどの場合が上の一言(ツッコミ)を聞いてからようやく初めて、会場に笑いが起きます。不思議なことに、それまでは控えめにクスクスとした笑いしか起きなかったりするのです。

しかしこの、「否定的なツッコミで人は笑う」という日本人マインドでこれを英語にしてしまうと、どうなるでしょう?

He always cooks pasta too, right? I don’t want pasta any more!

いや、彼がいつも作ってるのもパスタなんでしょ?パスタはもう食べたくないの!

残念ながら、私が推測するにこの「ツッコミ」で笑う海外の方は少ないのではないかと思います。むしろ、これではツッコミではなく真面目に文句を言っているかのようにも聞こえて、ここでのボケが台無しになってしまいます。

もっと確実に笑いをとるパターンとして海外のコメディで多く見られるのは、下のようなツッコミです。

(少し目を見開いて口を閉じたままニコッとして)

Sounds fun.
それは楽しそうだわね。

え・・・!なんで賛同!?と、日本の笑いの観点からは、思うかもしれません。私もアメリカから来た留学生たちと交流し始めた頃はかなり困惑してしまいました。「この人にはあの人のボケが通じなかったのか!?」とか、「え、今のどこがいいの!?」とか、理解に苦しんだものです。笑

しかし、オチの後にくる彼らの肯定的な言葉はほとんどが皮肉を込めて言われていること、そしてそれが笑いを誘うものとして使われている感覚ことを、多くの場面での国際交流や、さまざまな海外ドラマ、映画を通じて学んでいきました。

またここで大切なのは、次のような表情やジェスチャーをつけることです。

  • 目を大きく見開く
  • ウンウンとうなずく
  • 眉毛をピクッと動かす


肯定的なセリフにジェスチャーを付けることでツッコミを表現する例として次のような表現があります。

・Perfect!(完璧だね!)と言いながらも胸の前まで両手のひらを上げて「?」と疑問のポーズをしてみせる。(=理解不能)

・It’s great. (素晴らしいね)と言いながら眼球だけ上をむいて見せる(=うんざりだよ)

・Sounds nice! (いいじゃん!)と言いながら笑顔で首を横にふる(=勘弁してくれ)

など、他にも一般的に使われている肯定表現は全てツッコミとして用いることができます。

英語でのツッコミは皮肉的だと書きましたが、シチュエーションによってはどんな表現を使うのか、どんな表情を添えるのかなど使い分けることで、必ずしもネガティブな雰囲気でなく、明るく軽快に笑わせることが可能です。

ですが、まずは誤解を招いたりしないよう、実際に海外ドラマなどで観て雰囲気をつかむことをおすすめします!

ちなみに私は幼い頃よく「Full House」というアメリカのコメディドラマを見ていたのですが、今になって見てもやはり面白くて大好きな作品です。

家族愛や友情など温かみの中にユーモアあふれるジョークがおりまぜてあるので、この機会にぜひ見てみてください♩

Thank you for reading!

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文:上小澤明花(かみこざわはるか)
立命館アジア太平洋大学(APU)で国籍や宗教のほかにも多様性あふれる環境に身を置いたことをきっかけに、自身の生まれ育った環境にとらわれない自由なアイデンティティーを確立。学生時代から幅広くMCのオファーを受け続け、2018年夏よりフリーMCとして本格始動(後に大学は中退)。「人々の<無関心>をエンターテインメントの力で『わくわく』に変える」ことをテーマに、若い世代へ向けたイベントプロデュースも自ら手掛けながら、MCや講演家として活動中。専属MCに、同時通訳者の横山カズ氏がメインジャッジを務めるOPETS杯スピーチ暗唱コンテストがある。
・Twitter:  @halupachi8
・Instagram: halupachi8
・Facebook:  Halu Kamikozawa

編集:増尾美恵子