TOEICリーディングを制限時間の75分で解き終える!「速読力」の勉強法とは?【西田大】

TOEICの点数が上がらないのは、理由があります。「通訳」でTOEIC 990点(満点)を20回 取得 した「英語講師」の西田大(にしだまさる)さんに、自身が実践し、結果を出してきた、TOEICのリーディングセクションを制限時間の75分で解き終えるようになれる勉強法をご紹介いただきます。

最強のTOEICリーディング勉強法とは

TOEICを受験したことがある人、または、受験を考えている人なら、「TOEIC L&R(以下、TOEIC)公式問題集」を一度は手にしたことがあるのではないでしょうか?現在(2020年5月時点)、新形式に対応したものだけで9冊あります。

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公式 TOEIC Listening & Reading 問題集 6
このTOEIC公式問題集のリーディングセクションは、文字通り「問題集」として使うだけではなく、日常の英語学習における「学習書」として使うことで、リーディング力の向上が期待されます。

今回は「TOEIC公式問題集」を活用した 具体的な リーディング学習法を紹介します。

有効 ?">どうして「TOEIC公式問題集」が 有効

まず初めにTOEICについてですが、 TOEICの2018年度の年間受験者数はおよそ266万人 でした。これは、毎年話題に上がる「大学入試センター試験」の受験者が、年間で55万人程度だということから考えても、非常に多くの人に利用されている資格試験だと言えるでしょう。

TOEICがこれほど多くの英語学習者に評価されるのにはいくつかの理由があるとは思いますが、その一つに、 問題に使用されている英文そのものが、非常に実用的かつ日常的である ということが挙げられるでしょう。

つまり、TOEIC公式問題集を用いて学習することが、TOEICのスコアアップにつながり、 同時に 、実用的な英語力の習得にもなるということです。

ここは大切なところですので少し踏み込みますが、「TOEIC=ビジネス英語」という話を耳にしたことがある英語学習者の人も少なからずいるでしょう。しかし、実際にはそのようなことはありません。

確かに、ビジネスでのワンシーンが問題として取り上げられることもありますが、それらはあくまでも日常生活の一部として使用されているだけです。1日の多くの時間を仕事に費やす人の多い現代では当然の成り行きではないでしょうか。

「速読」できるよう、あえて「精読」する

リーディング力を上げるためには「精読」する学習は欠かせません 。「精読」するよりも「速読」できるようになりたいという人は多くいます。

しかし、一見、「精読」と「速読」は正反対な読み方のように思われますが、この2つの 動作 はとても密接に結び付いています。言い換えるなら、 「読むスピードを上げる(速読する)」には「細かく丁寧に読む(精読する)」ことが大切 です。

「丁寧に読む」ことで書かれている内容が1回読むだけでしっかりと頭の中で理解できる ようになるのです。

「読むスピードを上げる」ために速く読む(ざっと読んで理解する)トレーニングをしても、目の動きだけが速くなり、頭での理解は速くはなりません。 「速読」のためには「精読」を繰り返すことが、ベストな学習方法 なのです。

「精読」が効果的な理由とは?

「精読」という言葉は聞いたことがあるけれど、「はっきりした意味や定義がわからない」という人もいるかと思います。手元にある辞書で引いてみたところ「細かいところまで、ていねいに読むこと。熟読。」となっていました。

確かにその通りですが、 英語学習ではさらに「そして、意味がスムーズに理解できること」ということも必要 でしょう。ここでは、 英語の意味がスムーズに理解できない 原因 を知っておく必要があります。

大きく分けて次の3つがあります。

①単語の意味がわからない
②文法が理解できていない
③書かれている内容が(日本語ででも)わからない

TOEICの学習においては③の 可能性 はかなり低いと言えます。先述したとおり、TOEICで使用されている英文は非常に日常的なものであるからです。

例えば、難解な大学入試問題や英検1級の長文問題のようなレベルの高い英文において、内容が科学技術系など専門分野の知識が必要となる場合に③の 可能性 が高まります。

①「 単語の意味がわからない」となぜスムーズに読めない?

まずは①の「単語の意味がわからない」となぜスムーズに読めないのか、具体例を挙げてみましょう。

次の英文を見てください。

It is time for your biannual checkup .半年ごとの検診の時期になりました。
この文章を読んだときに、biannual「半年ごとの」、 checkup 「検診」の意味がわからないと「・・・・・・の時期になりました」となってしまいます。

どちらかの意味がわかったとしても、biannualの意味がわからなければ

It is time for your biannual checkup .・・・の検診の時期になりました。
checkup の意味がわからなければ
It is time for your biannual checkup .半年ごとの・・・の時期になりました。
となり、理解度がだんだんと削られていきます。これが、「①単語の意味がわからない」の典型例です。

②「文法が理解できていない 」と なぜスムーズに読めない?

次に②の「文法が理解できていない」ときの具体例です。

Customers picking up prepaid tickets must wait in line here.前売り券を 受け取りに来られた お客様はこちらで1列にお並びください。
この英文を読む際には、英文法の一つの用法である「分詞」(詳しくは現在分詞の後置修飾)が用いられます。

picking up prepaid tickets(前売り券を受け取りに来られた)がcustomers(お客様)を説明しているので、「前売り券を受け取りに来られたお客様は・・・」という解釈が必要です。この知識がなければ、「お客様がチケットを受け取っており・・・(?)」という解釈に陥ってしまい、後半部分と意味がうまくつながらなくなります。

①や②のように、単語や文法における少しずつの理解 不足 が、だんだんとボディーブローのように蓄積されていき、最終的に、まとまった文章全体の意味がつかめなくなり、「何が書かれているかわからない」という状態が生まれているのです。

日常の英語学習から精読することにより、自分の理解できていない「単語」や「文法」を特定することができる のです。これらの地道な「精読」によりリーディング力は必ずアップします。

「精読」のためには品詞の用法もしっかり理解しておく

精読する上では「品詞の文章上での役割」も重要 になってきます。英語の品詞と言うと、「名詞=人や物の名前や状態を表す語」「動詞= 動作 や状態を表す語」「形容詞=物の状態や性質を表す語」などといったことを思い浮かべる人も多いかもしれません。

しかし、精読する上では、「品詞の文章上での役割」を理解しておくことが大切です。

代表的な品詞を以下にまとめておきます。

名詞①SOCになる②前置詞の後に付く
前置詞①名詞の前に付く
動詞①Vになる
形容詞①Cになる②名詞を説明する
副詞①名詞以外を説明する
例えば、
Every attendees brought a copy of the financial report to the meeting.出席者は全員、会計報告書のコピーを会議に持参しました。
各語の下にある品詞名を参考にして、役割を確認してみましょう。

※a(an)とthe(冠詞)は割愛してあります。「S・V・O・C」は主語( Subject )、述語動詞( Verb )、目的語( Object )、補語( Complement )の英語の頭文字です。

Every形容詞 attendeesの説明
attendees名詞S
brought動詞V
copy名詞O
of前置詞 report の前に付く
financial形容詞 report の説明
report 名詞ofの後に付く
to 前置詞meetingの前に付く
meeting名詞 to の後に付く
確認のためにもう1文、例を挙げます。
You can apply this voucher to a purchase of any items.すべての商品の購入にこの割引クーポンは使用できます。
You名詞S
can apply 動詞V
this形容詞voucherの説明
voucher名詞O
to 前置詞 purchase の前に付く
purchase 名詞 to の後に付く
of前置詞itemsの前に付く
any 形容詞itemsの説明
items名詞ofの後に付く
これらの品詞を意識したリーディングは、初めのうちは時間が掛かりますが、 慣れてくる に従って 非常に短時間で解釈できる ようになります。

そして、 これらの繰り返しが「精読」の利点である「書かれている内容が1回読むだけでしっかりと頭の中で理解できるようになる」につながっていく のです。

いかがでしたか?「TOEIC公式問題集」を活用して「リーディング力アップ」。ぜひ実現させてください。必ず、TOEICリーディングセクションが制限時間の75分で解き終えられる日が来ます!

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英語力はメンタルで決まる

西田大(にしだまさる)
1973年生まれ。関西大学文学部英文学科卒業。TOEIC 990点(満点)、英検一級、全国通訳案内士。23年間にわたり県立高校教員として勤務した後、通訳、英語講師として独立。通訳としての技量は高く評価され、国際会議や各国の大臣クラスの通訳にもアテンド。英語講師としては、TOEIC・英検などの検定試験から実用英語まで、幅広い分野の英語学習に精通し、その学習法・対策法は注目を集めている。著書に『 「音読」で攻略TOEIC(R)L&Rテストでる文80 』(かんき出版)、『 英語力はメンタルで決まる 』(アルク)、『 TOEIC(R)テストに必要な文法・単語・熟語が同時に身につく本 』(かんき出版)など。

プロフィール写真:山本高裕

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