覚えておきたい7つの多義語 初級~上級【多義語の真実 Vol. 3】

覚えておきたい7つの多義語 初級~上級【多義語の真実 Vol. 3】

英単語の中にはさまざまな意味を持つ「多義語」が多く存在し、複数の語義を知らないと英文を正しく理解できないことがあります。しかし、単語が持つすべての意味を覚えるのはとても大変。そこで、多義語の上手な覚え方をご紹介します。Vol.3は「覚えておきたい重要多義語」です。

Vol.1「語義の関連性」、Vol.2「関連性の見つけ方」はこちらから読めます。

ej.alc.co.jp

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重要多義語リスト

普段よく目にする使用頻度の高い単語ほど、多くの意味を持つと言われています。ここでは簡単な英単語のいくつかを例に挙げ、「コアとなる意味・派生した意味」とともにご紹介します。

Vol.1、2の記事で紹介した「語義の関連性、関連性の見つけ方」を念頭に、コアとなる意味から派生した意味を推測できるか、例文を使って確認してみましょう。

※「派生した意味」は最大3つまで挙げています。

初級編 〈身体部分を表す単語〉

身体部分を表す英単語は多くの意味を派生させています。日本語でも「台風の目」や「出入り口」のように、同じような意味の転用が見られます。

eye

コアとなる意味 目

例文
1.The tailor passed thread through the eye of the needle.
2.The hurricane's eye is now over Florida.

1.仕立て屋は針の穴に糸を通した。
2.ハリケーンの中心は今、フロリダの上空だ。

派生した意味

針の穴・・・「目」と丸い形が類似している
台風の中心・・・「目」と丸い形が類似している
視線・・・「目」と密接に関係している

face

コアとなる意味 顔

例文
1.The building has a brick face.
2.The clock face has large and clear numbers.

1.その建物の正面はれんが造りだ。
2.その時計の文字盤には大きくてはっきり見える数字が刻まれている。

派生した意味

建物の正面・・・「顔」と同様、物の前面を表す
時計の文字盤・・・「顔」と同様、物の表面を表す
人・・・部分(顔)で全体(人)を表す用法

hand

コアとなる意味 手

例文
1.The second hand of the clock moved slowly.
2.She wrote the letter in a plain, bold hand.

1.時計の秒針がゆっくり動いた。
2.彼女はわかりやすい太い筆跡でその手紙を書いた。

派生した意味

時計の針・・・何かを指し示すという点で「手」と類似している
バナナの房・・・「手」と形が類似している
筆跡・・・字を書くときに「手」と「筆跡」が近い距離にあることから

中級編

普段よく目にする基本的な単語ほど、語義が多くなる傾向にあります。中級編では、一見しただけではコアの意味と派生した意味のつながりが見えにくい単語を紹介します。

appreciate

コアとなる意味 評価する

例文
1.The charity appreciates all of the donations.
2.The yen appreciated against the dollar.

1.その慈善団体はすべての寄付に感謝している。
2.円がドルに対して値上がりした。

派生した意味

鑑賞する・・・芸術作品などの価値を理解し味わうこと
感謝する・・・人の好意などをありがたく評価すること
(価格などを)値上げする・・・商品を高く評価して値段を上げること

command

コアとなる意味 命令する

例文
1.The general commanded his army deftly.
2.The 12th-floor apartment commands an amazing view.

1.将軍は彼の軍隊を巧みに支配していた。
2.12 階にあるその部屋からは素晴らしい景観が見下ろせる。

派生した意味

支配する・・・命令・指揮できるものは支配権を持つことから
(言葉を)自由に操る・・・命令・指揮できるものは何かを意のままに使うことができることから
(建物が)見下ろす.・・・建物が命令・支配するように高みから見下ろしているイメージ

上級編〈機能語〉

前置詞や助動詞などのいわゆる「機能語」で、意味が抽象的になり互いの意味の結び付きが想像しにくいものです。派生の過程を知ることで、意味がつかみやすくなります。

of

コアとなる意味 ~の(所有・所属

例文
1.The old man died of heart failure.
2.Edward cleared the yard of leaves.

1.その老人は心不全で亡くなった。
2.エドワードは庭の落ち葉を片付けた。

派生した意味

出身、根源・・・人がもともと所属していた場所
原因・・・出来事の「根源」と見なせる
分離、剥奪・・・「所有・所属」と正反対のように見えるが、誰かに所属している物を「分離・剥奪する」と考えると、両概念は表裏の関係と言える

have

コアとなる意味 持つ

例文
1.We asked them to join us, but they had already eaten dinner.
2.We had the garage cleaned by the kids.

1.私たちは彼らを誘ったが、彼らはすでに夕食を済ませていた。
2.私たちは車庫を子どもたちに掃除してもらった。

派生した意味

完了用法(~し終えた)、使役用法(~してもらう)、 受身用法(~される)

※例えば、I have read a book. はもともと、I have a read book.(読んだ本を持っている)という意味。「読んだ本を持っている」より、読んだ人が自分の場合は完了用法、ほかの人にその本を読ませた場合は使役用法となる。誰かにされた行為によって、迷惑や被害を受ける場合は受身用法となる。

重要多義語リスト50は『ENGLISH JOURNAL』5月号で!

EJ5月号では、今回ご紹介したように多義語50個をリストアップして紹介しています。上手に語義のつながりを見つけて、単語を効率よく覚えましょう!

執筆:寺澤 盾(てらさわ・じゅん)
東京大学大学院修士課程修了(修士)、ブラウン大学大学院博士課程修了(博士)。東京大学大学院総合文化研究科教授。英語史専攻。英語がたどってきた1500年余りの歴史とともに、世界に広がった英語の多様性に関心を持つ。『英語の歴史』『英単語の世界』(いずれも中央公論新社)、『聖書でたどる英語の歴史』(大修館書店)など著書多数。

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2020年5月号に掲載された記事を再編集したものです。