GOTCHA!でおなじみのリチャード川口さんは、オリジナルのカリキュラムを駆使し、1カ月で学校の生徒全体のTOEICの平均点を180点上げた、実績のある講師です。一体どんな授業を行っているのでしょうか?編集部が英語学校、RK English Schoolの「TOEICのリーディング編」の授業に潜入してきました!
リチャード川口
英語学校 RK English School 校長。 産業能率大学 客員教授。カナダ生まれ。オーストラリア、アメリカ、日本育ち。 明治大学卒業後、バンクーバーへ渡り、TOEIC専門学校の講師になる。学校の運営をはじめ、企業での研修、テレビやラジオのメディア出演、番組制作、小学校から大学、さまざまな教育機関とのコラボを通じて「日本人英語のネイティブ化」を進めている。 著書に『 バンクーバー 発音の鬼が日本人のためにまとめた ネイティブ発音のコツ33 』(明日香出版社)、『 発音記号キャラ辞典 』(KADOKAWA)など。
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たったの1カ月で、どうしてスコアが急激に上がるの?
前回は「英語脳」 、 前々回は「発音」 の授業についてお伝えしましたが、実はリチャード川口さんはTOEIC対策のエキスパート。バンクーバーで7年半、TOEIC専門校の有名講師でした。
TOEICは一般的に500点→600点まで上げるために、200~300時間の学習時間が必要と言われています。しかし、冒頭でお伝えした通り、オリジナルメソッドを開発し、なんと在任中、学校の生徒のTOEIC平均スコアを1カ月で180点アップさせたという伝説を作ったそうです。もちろん、ご本人も990点(満点)を何度も 取得 しています。
一体、どんな授業を行って魔法のようなことが起きたのでしょうか。
TOEICのスコアが伸びない人には共通点がある
TOEICのスコアがなかなか伸びない人には、3つの共通点がある とリチャードさんは言います。それは、
- 間違った勉強法をしている
- 問題をこなすことや、時間をかけたことに満足している
- そもそも どこから手を付けていいのか分からない
TOEICを攻略するには、 「やったこと」が大事なのではなく、「理解し、克服すること」が大事 なのだそうです。しかし、言うは易く行うは難し、です。どのようなことを行い「克服」していくのでしょうか?
「TOEICリーディング」の授業のポイントは量より質
TOEICのリーディングの授業は、量より質を重視 して行われます。単語は丸暗記するのではなく対応力を付けることに重点を置き、一つ一つのリーディング問題にじっくりと向き合って理解度を深めていく授業です。
具体的に 、授業で押さえているポイントは2つあります。
1. モチベーションをアップし、語彙力を一気に上げる!
リーディングの授業は毎回、単語テストでスタートします。単語テストは復習も兼ねて、モチベーションにつながるように、先週勉強した単語から2つ、それ以外の単語1つの、合計3つが出題されます。
ユニークなのはその出題方法。講師の発音した1つの単語を聞いて、下記の4つを答えてもらいます。
- スペル
- 品詞
- 意味
- 言い換え単語
それぞれの単語につき、必ず言い換え単語(類義語)を答えなければなりません。そのため、この単語テストでは同じ意味の単語がたくさん覚えられる 仕組み です。
TOEICは単語の言い換え問題も多く出題される ので、同じ意味を持つ単語をたくさん知っているとスコアアップにつながるそうです。
2. 文の構造を自分で説明できるようにする!
TOEIC対策の授業は、各パートごとの攻略法(テクニック)はもちろん、根本的な英語の理解にも重点が置かれています。
1問1問、講師が答えを解説するのではなく、まずは生徒が、なぜその答えが正しいのか、文法構造の説明などを求められます。 なぜその答えになるのか答えられなければ、自分の中できちんと理解できていないことになるから です。
生徒から自分なりの解説を引き出すことで、文法のパターンが分かるようになり、同じパターンの異なる英文に出合っても対応できるようになると、リチャードさんは言います。
これらの 方針 の下、扱う問題数は少なめで、じっくりと深堀するスタイルの授業になります。
この2つのポイントを踏まえて、実際の授業は次のように行われています。
「TOEICリーディング」クラスの授業を体験してみた!
RK English Schoolの「TOEICリーディング」のクラスは毎週土曜日13:00から75分間です。遠方からSkypeでの参加も可能で、この日は、ほとんどの方が社会人でした。
この授業のあとにある「TOEICリスニング」のクラスと一緒に1日に2コマ受講する方が多かったです。皆さん、休日にもしっかり勉強されているんですね。
授業はいきなり単語テストからスタートしました。
2問目は「あぼぉいっ」。“I don't know why, but I think he is trying to avoid me.”
3問目は「さーべい」。“ According to the survey , 60% of the employees had some kind of problems with their colleagues.”
文章からも意味を 予測 できるよ。2問目の「あぼぉいっ」の言い換えが特に難しいかな~?どうだ?じゃあ、早速、答え合わせにいくよ!1問目「あいでんてぃふぁい」の品詞は?
この日の単語テストでは、このような単語が出そろいました。それぞれの単語の使い方やニュアンスの違いにも話は及び、かなりディープ!でした。
文の構造の理解を深めるパート6の授業!
続いて、パート6の問題を使ったトレーニングを行っていきます。
それでは、今日はパート6の問題を解いてみよう。このパートは一番、いわゆる「攻略」がしづらいところだね。空欄の前後を見て解ける問題もあるけど、単語問題で選択肢の品詞が同じだと、意味が分からないといけないよね。
単語の意味が分からないといけないということは、文の意味が分からないと解けない。結局読み直すはめになるから、パート 5のように楽しようとはせず、頭からきちんと解いていこう。そのかわり焦らずに、一度で読みながら解けるように。
出だしから内容がスッと頭に入ってくるように、どんな内容がくるかを確認してから読み始めることも忘れずにね。例えば、次の問題については “ the following press release ” と書いてあるから、この文章はプレスリリースだと分かるよね。
じゃあ、頭から読みながら解いていこう。英語の順番のまま読むためには、単語の羅列から意味を 予測 するんじゃなくて、「構造理解」よ?
ちゃんと時間内に全部の問題を解くためには、パート6は全体で10分で解きたい。というわけで、この4問を2分30秒で解いてみよう!
プリントの裏には、 復習用に表と同じ問題が印刷されています。自宅でもう一度解いてみて「できる自分」を体験できます!
Next month, the national headquarters of Zaki Ltd., Japan's top manufacturer of (139)___, will relocate to 117 Aoyagi Street, where a modern office building was recently renovated.
“Japan” から空欄の後ろまでの「,(コンマ)」は何を表してる?
ここまで1問1問にじっくり 取り組む 授業は初めてです。TOEICのパート別の試験対策に時間配分の仕方など、細かい説明もあり、本番での時間の使い方の感覚を養うヒントになりました。
「TOEICリーディング」の授業を受けた感想
1. TOEICをライブ感覚で学べる!
ただ問題を解くだけなく参加型の授業で、単語を別の類義語に言い換えたり、徹底的に文法の説明をしたり、五感をフル回転して他の生徒と切磋琢磨(せっさたくま)しながらアウトプットとインプットを繰り返すので、良い刺激になります。リーディングの授業ですが、発話する機会が多く、自学するのとはまったく違う、新しいライブ感覚の試験対策の授業です!
2. 文法を詳しく説明できるようになる!
すべての問題を理解し、品詞や文の構造まで生徒が答えていくスタイルなので、授業が終わったあとは、なぜその答えになるのか、明確に答えられるようになります。しばらく通っている生徒さんはさすが、なぜその答えになるのか、文法についても先生のように詳しく説明できていて、文法が苦手な私はうらやましく思いました。
3. 単語の類義語をたくさん覚えられる!
試験対策なのに、書いて、発話して、ちょうどいい緊張感で脳にも良い刺激を与えながら、関連の単語をたくさん覚えられます。扱う文章はすべて生徒が日本語訳をするので、TOEICに出てくるビジネスや日常のシーンの単語を知るのはもちろん、読解力も身に付くと思います。
パート別の試験対策に加え、単語を覚えるのが苦手な人、文法力をアップさせたい人、読解力を付けたい人におすすめの授業でした。
『ENGLISH JOURNAL』 2月号はリチャード川口さんの発音特集!
『ENGLISH JOURNAL』の2020年2月号は、16ページのリチャード川口さんの発音特集!ENGLISH JOURNAL読者の6人に、リチャード川口さんの個別指導内容に従い、1週間猛特訓していただいた、その効果はいかに? Before & Afterの音声付き でどのくらい上達したのか、特訓の成果や、取り組んだ人の感想も掲載しています。
英語の「発音」をネイティブに近づけたい方はぜひ、ご覧ください!
RK English School
2013年にリチャード川口が立ち上げた、講師全員がバイリンガルの英会話スクール。無料の英会話ラウンジや、「発音」「表現力」「英語脳」「TOEIC」などの技術の習得に特化しているのが特徴。留学しなくてもネイティブと対等にコミュニケーションができる「イケてる英語」が楽しく習得できる。
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