200問の模試は2時間かけて解くべき?ヒロ前田の間違いだらけのTOEIC勉強法。

前回、単語集の使い方について議論をしていた前田さんたちですが、今回も別の話題で熱くなっているようです。なになに?なるほど、今回は「模試」について話しているみたいです。こっそり耳を傾けてみましょう。

今回の登場人物(色分け)

ヒロ :TOEICスコアUPトレーナーとして、学生から社会人までのTOEICスコアアップを請け負うカリスマトレーナー。47都道府県すべてを行脚(あんぎゃ)して公開テストを受験したという、TOEIC版伊能忠敬のような人。
マイ :賛成派
ケン :反対派

200問模試の使い方を考えてみましょう

(ヒロ)どうも。前田です。最近、メルマガ読者からトピックの提案がいくつか届きました。そのうち1つがこれです。

200問の模試を2時間かけて解くことは効果的な勉強になるのでしょうか。それとも、パートごとに細切れにして解く方がよいでしょうか。
模試の 取り組み 方についてです。模試は全問を一気に解く方が、細切れにするより効果的でしょうか。マイとケンに答えてもらいましょう。

2時間かけることで時間の使い方がうまくなる(賛成派)

(マイ)これは考えるまでもないわ。2時間かけて全パートを一気に解くべきよ。模試は 試験本番と同じ体験をするための教材 なんだから、細切れにする必要は全くないよ。

(ケン)いや、その考え方はおかしい。模試といっても「本」だよ。本番と同じ体験をするという意味では、「進研模試」とか「駿台模試」みたいに会場で受験する試験こそが本番を模しているといえる。

 だから、試験本番と同じように模試を使うべきだと言っているの。 2時間かけてノンストップで模試を解けば、会場で受けるのと変わらない でしょ。知り合いと一緒に会議室か何かで受験できれば理想的だけど、どうせ黙々と解くことになるから1人でやっても大差ないわ。

 よく「模試を解く場所がない」とか「途中で邪魔が入る」って声を聞かない?

 いるね、そういう人。

 2時間かけて模試を解くのは 厳しい んじゃない?

 人によってはそうでしょうね。でも、今、話しているのは効果的な模試の 取り組み 方でしょ。 厳しい かどうか に関係なく、2時間かけて全パートに 取り組む ことは効果的だと思うな。

 どんな効果があるのかな?

 例えば、 時間の使い方が上手になる はずよ。何回受験しても時間切れになる人は、英語力を伸ばすだけでなく、時間管理力も磨く必要があると思うの。そのためには、 模試を細切れに使うより、全問を一気に解くべき でしょ。

「リハーサル」から見えてくること

(ヒロ)賛成派のマイ()は、模試を「リハーサル」と位置付けているようです。試験本番のリハーサルとして模試を使うのであれば、確かに2時間かけて解答する意義は大きいと言えます。その理由は、 時間の使い方を体で学ぶことができる からです。

例えば、「パート7に55分を残すべき」という知識を持っていても、実際にリハーサルをすれば、それが簡単ではないと実感できます。実感できれば、さらに努力しようとするはずです。

リスニングセクションについても同じです。ノンストップで 取り組む ことで、例えばパート3とパート4の69問では、音声を聞いたり選択肢を読んだりするタイミングを体で覚えたり、解答用紙にマークする時間を短縮する方法を考えたりするでしょう。このように、模試を学習の「1 単位 」とみなして 取り組む ことには大きなメリットがあります。

模試は弱点補強のために使うほうがいい(反対派)

(ケン)こう考えてみるのはどうだろう?「効果」というのは、ストレートに言えば「スコアアップ」だよね。

(マイ)もちろん。

 ある人にとって、超簡単な問題を10問解いても100問解いても「スコアアップ」にはつながらないよね。

 それが本当に「超簡単」ならね。

 例えば、800点を取れる人は、少なく見ても200問のうち140問くらいは楽勝で解けるから、2時間かけて200問を解いても、 重要じゃない問題に時間を使うことになる んじゃない?

 そうかな?

 おそらく、その人は「迷う問題」と「解けない問題」にフォーカスした方がスコアアップしやすいはずだよ。つまり、2時間を使うにしても、 弱点補強を目的に模試を使う方が大きい効果を見込める と思う。

 でも、どうやってそんなことができるの?解いてみないと、「迷う問題」を見つけることはできないでしょ。「解けない問題」だって、解いてみて初めて発見できるんだよね。

 そうだよ。だけど、2時間かけて200問に 取り組む 必要はないよ。もし、パート3とパート5が苦手なら、いきなりパート3とパート5に焦点を当てて勉強すればいいんじゃない?その方が、 その人にとってはスコアアップしやすいはず だよ。

 パート3とパート5だけなら2時間も必要ないでしょ。

 30分で終わる。だから、模試を全問解くのと同じ2時間勉強するとしたら、残りの90分を復習に使うことができる。リスニングそのものを練習したり、文法のルールを学んだりすればいい。 200問を解くためだけに2時間を使うなんてもったいない よ。

 はぁ?試験本番が2時間なんだから、2時間で200問を解くことが大事なのよ。

  そもそも 「問題を解く」というのは 知識の確認にはなるけど、それで知識が増えるわけじゃない よね。だから、解いた後の復習にこそ時間を使うべきだよ。

 じゃあ、何?本番と同じように2時間で1つのテストを解く体験をしないまま本番を迎えるべきなの?

 いや、そうは言っていない。リハーサルにはリハーサルの意味があると思う。全体の勉強時間を100だとすれば、リハーサルは10とか20に抑えて、残りは苦手分野を中心に細切れに使うのがいいと思うってことだよ。

目的に応じで使い方を変えましょう(まとめ)

(ヒロ)反対派のケン()が言う通り、問題を「解く」ことは知識の確認であり、模試を解くことは「現在地を 把握する 」ために 有効 です。そして、自分の強みと弱みを短時間で知るには、2時間で200問の模試を解くことが最もシンプルであり、正確です。

当たり前ですが、スコアを高めるには、リスニングや語彙などの力を伸ばす必要があるため、模試を単に解くだけでは決して十分ではありません。力を伸ばすトレーニングが必要です。模試を通じて強みと弱みを知った後は、特定のパートやスキルを高めるための練習に模試を部分的に使うことをお勧めします。

一方で、TOEICが2時間の試験である以上、そして、多くの人が時間切れの危機に瀕する 可能性がある 以上、リハーサルとして2時間で模試に 取り組む ことも重要です。つまり、模試は 目的に応じて使い方を変えるべき だと言えます。

「2週間集中 英語スピーキング塾」開催

お知らせ )">(T’z英語ラウンジより お知らせ

 大人のための勉強スペース「T’z英語ラウンジ」では、2週間にわたる「英語スピーキング塾」を開催します。

アルクの通信講座「1000時間ヒアリングマラソン」に7月号から新設されるコーナー「スピーキング魂」のコーチに就任する冨田三穂先生による特訓です。TOEIC教材を使って、スピーキング力を高めるハードで効果的なトレーニングが提供されます。

詳細は、T’z英語ラウンジ公式ウェブサイトの下記イベント情報をご覧ください。講師の対談音声もあります。

tz-eigolounge.jp

ヒロ前田(ひろ まえだ)

TOEIC受験力UPトレーナー。神戸大学経営学部卒。大人のための勉強スペース「T’z英語ラウンジ」経営。2003年5月に講師として全国の企業・大学で指導を開始。2005年にはTOEICを教える指導者を養成する講座をスタートし、トレーナーを務めている。2008年グランドストリーム株式会社を設立。TOEICの受験回数は100回を超え、47都道府県で公開テストを受験する「全国制覇」を2017年5月に達成。 取得 スコアは15点から990点まで幅広い。著書に『TOEICRテスト 究極の模試600問』(アルク)、『TOEICRテスト900点。それでも英語が話せない人、話せる人』(KADOKAWA)、共著に『TOEICRテスト 新形式問題やり込みドリル』(アルク)等がある。
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