「手っ取り早く」リスニング力を上げるポイント2つと秘密の練習法【同時通訳者・横山カズ】

同時通訳者の横山カズ先生が、英語スピーキングの大人気講師としても活躍する中で、実際に役に立った「無限のスピーキング力上達法」を教えます。3回目の今回は、手っ取り早くリスニング力を上げる、秘密の練習法についてです。

短期間でリスニング力を向上させるための2つの法則

皆さん、こんにちは。同時通訳者の横山カズです。

私が英語を独学してきた過程で最も苦しんだことは「リスニング」でした。20代半ばのころ、時間ができると すぐに 英語のニュースやインタビューの音源を聞いていました。時間を作って何時間も連続で聞いたこともありました。

英字新聞や雑誌などリーディングにも取り組んで、それなりに語彙力が付いてきていた にもかかわらず 、リスニングの能力が伸びた実感は全くありませんでした。

当時、長期留学から帰ってきた友人や帰国生たちは、英語で会話やディスカッションを楽しんでいたのですが、私は話に全くついていけず、つらい思いをしていました。聞き取る力が弱いと、話す力も使いようがありません。当時は、短期間でリスニング力を向上させるための2つの法則を知らなかったのです。

当時を振り返って、「こうすればよかった!」と思っていることをお伝えしたいと思います。

ポイント1:最もよく使われる単語はシンプルで数が限られている

英語の実際の運用においては 中学校1年生のときに学んだ簡単な単語(冠詞、前置詞、助動詞、基本動詞など)が実に約「60パーセント」 も占めています。

この統計は英語の書き言葉についてのものなので、スピーキングにおいては60パーセントどころではなく、 70~80パーセントを超えて くることは容易に想像ができます。経験的に言ってもそうです。まずは、ざっとでよいので以下の単語のリストを見てください。

日常会話で使われる英語で、the または and が使われる確率は10パーセント、of または to なら20パーセント、but または would などは50パーセントも使われているのです。

実際の英語の運用で使われる単語

会話で使われる頻度単語
10語に1語使われる単語(10パーセント)the、and
5語に1語使われる単語(20パーセント)of、 to 、I
4語に1語使われる単語(25パーセント)the、and、of、 to 、I、a、in、that、you、 for
3語に1語使われる単語(33パーセント)the、and、of、 to 、I、a、in、that、you、 for 、it、was、is、will、 as 、have、not
2語に1語使われる単語(50パーセント)上記の全ての単語の他に、以下が加わります。

be、your、at、we、 on 、he、 by 、but、my、this、his、 which 、dear、from、are、all、me、 so 、one、if、they、had、has、very、were、been、 would 、she、or、there、her、an、when、time

日常表現の60パーセントをカバーする単語さらに次の48語が加わると、日常表現の60パーセント(スピーキングではそれ以上)をすでにカバーしてしまいます。

go、some、 any 、can、what、 send 、out、them、him、more、about、 no 、please、week、night、their、 other 、up、our、good、say、could、who、 may 、letter、 make 、write、thing、think、 should 、truly、now、its、two、 take 、thank、do、after、than、sir、last、house、just、 overthenwork 、day、here

引用元:『英語通訳の勘どころ』(小林 薫著、丸善ライブラリー)の The Thousand Commonest Words Arranged in the Descending Order of Their Frequency

しかし、 よく使われるシンプルな単語ほど聞き取りは難しい という事実ががあります。シンプルな単語ほど、音の数が少なく、音の連結や脱落があって、聞き取りにくいのです。そこで、聞きもらさずに 「話の流れ」をつかみたいなら、上記の単語を冷静にキャッチすればいい のです。

ポイント2:言えたら聞ける!

意味が難しくスペリングが長い単語は、聞き取りやすいのですが、出現頻度が低いとも言えます。

例えば、 preliminary (本番前の) や particularly(細部にわたって) のように難しくスペルの長い単語は聞き取りやすいのですが、the、and、of、 to 、I、a、in、that、you、 for 、it、was、is、will、 as 、have、not などのような基礎的で常に使い回される単語の方がはるかに聞き取りが難しいのです。

しかし、これらの単語が聞き取れないと、英文の骨格がつかめないことが多く、結果的に「スペルの長い、難しい単語をつなぎ合わせ、推測に頼るしかない」という状況に陥ることになります。

「ニュースや資格試験のリスニングテストにはある程度対応できるけれど、カジュアルなトークが聞き取れない」という場合は、ほぼ100パーセントこれが 原因 と言えます。

しかし、これらの単語は 「言えたら聴ける」 のです。その事実を知った上で、次に紹介する練習に励みましょう!

「聞き取る」ための音読練習法

「聞き取るため」 という目的を最優先した発音練習法を紹介します。シンプルな語彙で成り立つ英文で実際に練習してみましょう。分量は 少ない ので、だまされたと思って音読してみてください。

大文字で強調されている箇所は強く読むところです。また、かっこは脱落しやすい音を表しています。アルファベットの大文字は「強く(高く)」発音するようにしてください。かっこで囲まれた小文字は「~ッ」のように、発音しきらずに「寸止め」するように読んでみてください。

When I LI ved in Bei JI ng, CHI na, my p RI mary mode of transpor TA tion was RI din(g) my bicycle. There were A lso TA xis, BU ses, an(d) SU (b)ways tha(t) coul(d) be U tilize(d), bu(t) the MO s(t) CO mmon way o(f) GE ttin(g) (a)roun(d) was by BI (ke).

中国の北京に住んでいたときは、私の主な交通手段は自転車に乗ることでした。利用可能なタクシーや、バスや地下鉄もあったのですが、最も一般的な移動の方法は自転車によるものでした。

国際英語発音協会 EPT(R) HP
WHA t’s w RO n(g)? You DO n’(t) SEE m like yourself. WHY don’t you TE ll me what’s HA ppenin(g)? I coul(d) KI n(d) of TE ll because of the WA y you’(ve) BEE n be HA vin(g) la(t)ely.

どうしたの?君らしくないじゃない。
どんな状況になっているか話してくれないかな?
何となく分かるんだよね、最近の君の様子から。

引用元:『ビジネス英語パワー音読トレーニング』(横山カズ著、DHC)

音読のポイント

この練習によって、「相手にとって聞き取りやすく発音する技」、そしてリスニングで英語が「よく聞こえる耳」を手に入れることができます。

リスニング力を高めるための練習ですから、かっこ部分の音は、意図的に極端に省略して読むようにしましょう。この読み方に慣れてくれば、千変万化するイントネーションや手加減なしに話される英語の音変化への柔軟な対応力を養えます。

また、聞き取りが最も難しい機能語(前置詞などのように語彙的意味をもたない語)が聞き取れるようになり、英文の構造を 把握 できないということが減ります。そして、音の変化をまねしたり、微細な音の変化に現れるニュアンスにも気付けたりするようになりますよ。いろいろな英文でここで紹介した「音読のポイント」を意識して音読練習を試してください。

最初は違和感があるかもしれませんが、この手っ取り早くリスニング力を上げる練習法で「聞こえる耳」を手に入れてください!

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