英作文であなたの「英語筋力」をチェック!

英語健康維持に必要な筋力!英語の筋力は動詞を使いこなせる力で決まります。イングリッシュ・ドクター西澤ロイの「英語健康診断」連載4回目では、動詞を使いこなす「筋力」の鍛え方をアドバイスします。あなたの筋力はどれくらい?さっそく、英語健康診断スタート!

take を使ってどこまで表現できる?">検査:動詞 take を使ってどこまで表現できる?

今回の検査では、短い日本語の文を英語に訳していただきます。学校のテストではなく「測定」ですので、分からなくても空欄にせず、ぜひできるところまでしっかりと英語にしてみてください。

検査1

次の英作文を行ってください。 ただし 、下線部分 に関して 動詞は全て take を使うこと。

1.その子は私の手をつかんだ。

2.私は3時に休憩を取った。

3.そのファイルをダウンロードするのに2時間かかった。

4.両親は私をカナダに連れて行った。

ここで正解 かどうか を気にしてしまう人が多いのですが、それよりも大切なのは、自信を持って表現できた かどうか です。自信を持って英語にできたフレーズはいくつありましたか?

検査2

自信を持って英語で言えたフレーズはいくつ?
  1. 手をつかむ

  2. 休憩を取る

  3. 2時間かかる

  4. 私をカナダに連れて行く

(_ / 4)

日本人の弱点は、動詞を使った表現力">日本人の弱点は、動詞を使った表現力

今回は、動詞 take を使って英作文をしていただきました。

日本人の中には、「単語を知らないから英語がしゃべれない」などと考える人が少なくないのですが、それは勘違いです。英語は「基本動詞」と呼ばれる簡単な動詞(have、 takemake 、put、get など)を頻繁に使って表現する言語なのです。

そのため、基本動詞を使いこなせるようになるために、基本動詞を深く理解して使う練習が欠かせません。

それでは、解答をお伝えします。

診断:解説と 改善 策">診断:解説と 改善

  1. その子は私の手をつかんだ。⇒私の手をつかむ 

The child took my hand. ⇒ take my hand 

  1. 私は3時に休憩を取った。⇒休憩を取る

I took a break at three (o’clock). ⇒ take a break

  1. そのファイルをダウンロードするのに2時間かかった。⇒2時間かかる

It took two hours to download the file.⇒ it takes two hours

4 . 両は私をカナダに連れて行った。⇒私をカナダに連れて行く

My parents took me to Canada. ⇒  take me to Canada

筋力アップ処方1: take の基本は「手でつかむ」こと">筋力アップ処方1: take の基本は「手でつかむ」こと

※画像は『 頑張らない英会話フレーズ 』(あさ出版)より引用。

それでは、 take についての理解を深めていきましょう。 take は「取る」と訳されることが多いですが、日本語に訳すことで理解しようとしてはいけません。

英語の動詞は、「 動作 (や状態)」を表しますので、その 動作 をしっかりと思い浮かべたり、体を動かして感じることが大切 です。

take という 動作 の基本は「手でつかむ」ことです。ぜひこの 動作 を実際にやってみましょう。

1問目の「私の手をつかむ」というのは、この基本イメージです。The child took my hand. という英文をただ暗記してしまうのではなく、この文で表されている 動作 をしっかりと感じてください。主語は「その子(the child)」であり、「手でつかむ( take )」という 動作 をした対象が「私の手(my hand)」なのです。

筋力アップ処方2:重箱の隅をつつき過ぎないようご注意">筋力アップ処方2:重箱の隅をつつき過ぎないようご注意

2問目の「休憩を取る」という表現ですが、某チョコレートのCMで使われた表現 have a break を思い付いた人も多いかもしれません。解答例のように take a break と言うこともできます。

「手でつかむ」という 動作 をすると、結果として「手に持つ」、つまり have することになります。ですから、have と take の両方が使えるフレーズは少なくありません。 例えば「風呂に入る」ことは have/ take a bath と言えます。ものを「買う」ときに I’ll have/ take this, please.(これをください) と表現できるのは、買った結果として「自分のものにする」からですね。

ちなみに 、have を使った場合と、 take を使った場合とで、ニュアンスがどのように違うのかが気になる人もいることでしょう。そういう方はぜひ「休憩にする」と「休憩を取る」という日本語がどのように違うかを考えてみてください。そのぐらい微妙です(笑)。

敢えて違いを言葉で説明するならば、 take を使う場合には「手で取る」というところから「選ぶ意志」のようなものがニュアンスとして出る場合もあります。 ただし 、このような違いを気にする日本人の気質を私は「重箱コーナー病」と呼んでおります。重箱の隅をつつき過ぎないようご注意ください。

筋力アップ処方3:「it takes +時間(+ to 不定詞)」を使いこなそう">筋力アップ処方3:「it takes +時間(+ to 不定詞)」を使いこなそう

次に、3問目の「 時間がかかる 」という表現について解説します。「it takes +時間(+ to 不定詞)」という使い方を暗記している人も多いでしょう。このような表現は、パッと口から出ることが大事ですので、暗記でも全く問題ありませんし、使う練習をたくさんするとよいでしょう。

ただ、この表現にも take のイメージは共通していますから、それを感じられるに越したことはありません。 日本語でも「とる」という言葉に「盗る」という漢字が当てられるの と同様に 、英語の take は「奪う」ような意味合いになることがあります

例えば He took my bag. と言えば、「彼が私のカバンをとった(奪った)」ことになります。「2時間かかる」ことを it takes two hours ... のように言うのも、「2時間を奪っている」からだと考えてください。

なお、主語が it なのは、文法的には「形式主語」と呼ばれます。実際に take をした主語は to download the file(ファイルをダウンロードすること)です。 ただし 、英語は結論を 先に 言いたい言語ですから、もし To download the file took two hours. のように言ってしまうと、 take よりも 先に download という動詞が出てきてしまい、意味が分かりづらくなります。それを避けるために、何も意味しない it を仮の主語として置くことで、 it took ... のように言い、後から it の内容を to 不定詞で補足する方が(英語の考え方としては)スッキリ分かりやすいのです。

筋力アップ処方4:「 take +前置詞」で使える表現を増やそう">筋力アップ処方4:take +前置詞」で使える表現を増やそう

4問目の「 taketo ...」で「~を…に連れて行く」。英語では、このように「基本動詞+前置詞」を組み合わせることで表現の幅が大きく広がります。

前置詞の to は基本的に「矢印(→)」を意味します。例えば go to the park で「公園に行く」という意味になりますが、 to が「行き先」を矢印で表現しているのです。

  take me to Canada(私をカナダに連れて行く) は、まず「手でつかむ( take )」という 動作 をし、その対象は「私(me)」であり、「行き先( to )」が「カナダ(Canada)」なのです。この語順のままに、「手でつかんで移動させている」ような 動作 を感じてください。この taketo …」という表現は、目的語が「人」であれば「連れて行く」ことを表しますし、「もの」であれば「持って行く」こと になります。

筋力アップ処方5:簡単な動詞を使いこなす「筋力」を鍛えよう">筋力アップ処方5:簡単な動詞を使いこなす「筋力」を鍛えよう

先ほど、「単語を知らないから英語がしゃべれない」のではないとお伝えしました。ボキャブラリーはもちろん多いに越したことはありませんが、せっかくたくさん単語を知っていても、それが表現力につながらず、英語がしゃべれない人は少なくありません(私はそれを「知識肥満症」と呼んでおります)。

動詞を使いこなす力がまさに「筋力」に当たります。 今回解説した内容を、ぜひ学習方法のヒントにしてください。まず、基本動詞 に関して 、そのイメージをつかみ、使う練習をしましょう。基本動詞は意味が広いですから、それだけでかなりのことが表現できるようになります。

そして、そこに 前置詞を組み合わせると、英語における表現力が爆発的に広がりますただし 、これらを「暗記」しようとする人が多いのでご注意ください。このような表現はたくさんありますから、暗記すると非常に大変なことになってしまいます。

さまざまな意味に広がるのは、動詞のイメージと前置詞が持つイメージが組み合わさるからです。つまり、感覚的に学ぶのがベストであり、感覚をうまくつかめると、非常にシンプルにできていることが理解できるでしょう。

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執筆:西澤ロイ

イングリッシュ・ドクター(R)(英語のお医者さん)。
英語への「苦手意識」や「英語嫌い」を解消し、英語が上達しない 原因 である「英語病」を治療する専門家。獨協大学英語学科卒業。TOEIC満点(990点)、英検4級。アメリカのジョージア州に1年間の留学経験あり。「英語感覚」や「英語の考え方」を分かりやすく日本語で伝えるスキルには定評があり、「長年の疑問がすっきり解消した!」「そんな風に英語を捉えたことがなかった」「目からウロコ!」という多くの感動や喜びの声が寄せられている。著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、「TOEIC L&Rテスト最強の根本対策」シリーズ(実務教育出版)など、計9冊で累計15万部を突破。メディア出演多数。木8(木曜夜8時)の英語バラエティ ラジオ番組「スキ度UPイングリッシュ」の他、コミュニティFMにてレギュラー番組・コーナーを4本オンエア中。

公式HP: https://english-doctor.co.jp/

YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/user/990english

写真:山本高裕

編集:増尾美恵子

 

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