仕事で英語を使う人なら押さえておきたいのが、自分の意図を伝える「機能表現」。今回は「ほめる」表現です。覚えておいて活用すれば、人間関係が円満になり、仕事もスムーズに。書籍『相手と場面で使い分ける 英語表現ハンドブック』 から紹介します。
目次
ざっくり言うと
服装やアクセサリーから仕事の成果まで、人をほめるシーンはたくさんあります。カジュアルからフォーマルまでの範囲が広いのも、この「ほめる」というシチュエーション。状況に応じて、さまざまな形容詞や構文が使われます。
注意したいのは、ほめたつもりがいわゆる「上から目線」になること。そこだけは気をつけましょう。
相手との距離を確認しよう
大事なのは相手との距離感です。親しい間柄の場合と、付き合いの浅い相手や上司に対する場合とではどう異なるか、こちらの図を見て考えてみましょう。
あなたと相手との、心理的、社会的距離によって、使う表現が変わってきます。相手との距離感をしっかりつかんで、状況に合った英語表現を使いたいものです。
カジュアル:相手は仲のいい友だち
図の左上Ⅰの領域。心理的にも社会的にも近い場合です。
あなた:Wow ! You look great ! That dress is really nice.
(わあー!すっごくすてき!そのドレス、とてもいいね。)
相手:Thanks. I like it, too.
(ありがとう。私も気に入ってるの。)
親しい友人どうしでは、この “ You look great. ” (すごくすてき。)という表現が圧倒的によく使われます。この表現を使うのは親しい間柄の人だけにしましょう。
ちなみに、ほめられたときは、謙遜せず “ Thanks. ”(ありがとう。)と言うのが自然です。
カジュアル:相手は近所に引っ越してきたばかりの隣人
次は図の左下、Ⅲの領域。「社会的には近いけれど、心理的には遠い」という関係です。
あなた:I love your hat. Where did you get it?
(あなたの帽子、すてきですね。どちらでお求めになったんですか。)
相手:Oh, I bought it at Macy's.
(ああ、これはメイシーズで買ったんです。)
この状況では “ I love ... ” や、“ I like ... ” という、I を主語にした言い方が典型的です。
社会的に同等な立場でそれほど利害関係もない、気楽な相手に対して使われます。
ややフォーマル:相手は長年の付き合いで信頼する部下
図の右上、Ⅱの領域。長年付き合いがあり「心理的には近い」のですが、職場での上下関係があり「社会的には遠い」という関係です。
あなた:You've done very well. I'm impressed.
(本当によくやってくれました。感心したわ。)
相手:Thanks. That's nice to hear.
(ありがとうございます。そう伺ってうれしいです。)
上司が部下をほめるといえば、仕事の出来栄えついてのケースが一般的です。
Youを主語にしているのは、心理的な近さはもちろん、ほめる対象が「相手の仕事の出来や能力」だから。
ちなみに、上司が部下の服装をほめる場合は、 “ nice ” や “ good ”のような、形容詞がよく使われ、 “ great ” や “ gorgeous ” といった、大げさな形容詞はめったに使われません。
よりフォーマル:相手は着任したばかりの上司
図の右下、Ⅳの領域。社会的にも心理的にも距離がある関係です。どんな表現を使うのでしょうか。
あなた:That's a nice suit. Is it new?
(そのスーツ、いいですね。新品ですか?)
相手:Thanks. Yes, it is.
(ありがとう。そうなんだ。)
相手が社会的に上の立場なので、多少の遠慮がありYouを主語にした表現はあまり使われません。代わりに、“ That is a +形容詞+名詞(服装)+(you’re wearing)” の構文がよく使われます。また、この状況では “ nice ” や “ good ” がよく使われ、大げさにほめることはしないようです。
ポイントは、形容詞の “ nice ” を強調すること。 “ That's nice. ”と平たんに言うと嫌味に聞こえてしまいます。
まとめ
まず覚えておきたいのは、「Youを使った表現は親しい間柄だけに使う」ということ。また、“ What a nice ... ! ” などの感嘆文もカジュアルな言い方です。
上司には、“ That' nice ... ” や “ That's good ... ”を使うようにしましょう。
ほめられれば誰でもうれしいもの。日ごろから練習して、心理的、社会的な距離に応じた表現を使えるようにしたいですね。