勤務先が外資系だったり、上司や同僚に外国人がいたり。仕事で英語を使う方なら押さえておきたいのが、自分の意図を伝える「機能表現」です。覚えておけば、仕事がぐっとスムーズに。書籍『相手と場面で使い分ける 英語表現ハンドブック』 から紹介します。
目次
ポイントは相手との距離
第1回目は「依頼する」。立場が上の人や、普段あまり接点がない人に何かをお願いするのは、日本語でもなかなか難しいですね。英語でうまく自分の願いを伝えて、相手に実行してもらうにはどうすればいいのでしょうか。
ポイントは、あなたと相手との距離感。親しい友人に対してあまり丁重に話すとかえって失礼な感じがしますし、上司や仕事の取引先にくだけた感じで依頼したら、怒らせてしまうかもしれません。
こちらの図を見てください。
自分と相手との関係がこの図の中でどこに位置するかを考えると、「どんな表現を使えばいいのか」がわかってきます。
カジュアル:相手は仲のいい友だち
図の左上、Ⅰの領域です。「社会的に近い」×「心理的に近い」という関係の場合は、
どんな表現を使うのでしょう?
あなた:Hey, Bill, can you help me move this table?
(ねえ、ビル、このテーブルを動かすの、手伝ってくれない?)
相手:Sure. Where do you want to move it?
(いいよ、どこに動かしたいの?)
この場合は、“ Can you ... ? ”(…してくれない?)という表現を使います。もう少し丁寧に言いたいときは、“ Could you... ? ” がおすすめ。どちらの表現も、「手が空いているか」「可能か」を相手に尋ねるニュアンスです。
ややカジュアル:相手は転職してきたばかりの同僚
図の左下、Ⅲは、「社会的に近い」けれど「心理的に遠い」という関係です。例としては、転職してきたばかりの同僚など。上下関係はなく社会的には近いのですが、お互いまだ相手のことをよく知らないので、心理的には遠い間柄です。この関係で「依頼」をするときは、こんな表現を使います。
あなた:If it's not too much trouble, could you answer my phone while I'm out?
(迷惑でなかったら、外出中、私宛てにかかってきた電話に出てくれないかな?)
相手:I guess so. When will you be back?
(いいけど、いつ帰ってくるの?)
“ If it's not too much trouble, could you ... ?” は、相手への遠慮を感じさせる表現。丁寧な言い回しの “ Would you mind ... ?” や “ Could you please ... ?” を使うのも一般的です。
ややフォーマル:相手は長年の付き合いで信頼する部下
図の右上、Ⅱの領域は、「社会的に遠い」のですが「心理的に近い」関係。付き合いの長い部下などがこれに当たります。長年ともに仕事をしてきて親しいけれど、友だちではなくあくまでも仕事上の関係。こんなときは、どのような表現を使えばいいのでしょうか。
あなた:This is very nice work, Mary. Would you make 10copies for tomorrow's meeting?
(メアリ、この仕事よくできてるね。明日の会議用に10部コピーしてもらえないかな?)
相手:Sure.
(分かりました。)
“ Would you ... ? ” は “ Could you ... ?” と同じくらい丁寧な表現。ただし、“ Would you ... ? ” が相手の「意向」を尋ねているのに対し、“ Could you ... ?”は、「可能かどうか」を尋ねる表現です。親しくても仕事上の関係の場合には “Would” を使うほうが一般的です。
よりフォーマル:相手は着任したばかりの上司
図の右下、Ⅳの領域。「社会的に遠い」かつ「心理的に遠い」という関係で、例えば着任したばかりの上司がこれに当たります。
ぜひとも適切な英語フレーズを使って、信頼関係を築きたいもの。さて、この関係で「依頼」をするにはどんな表現を使えばいいのでしょうか。
相手:Have you finised that report?
(報告書は終わった?)
あなた:No. Actually, It's very time-consuming, and I was wondering if it would be possible for you to give me an extenssion untill tomorrow.
相手は、まだ人となりがよくわからない上司。そこで、かなり気を使って遠慮がちにいう表現がこちらです。“ Woud it be possible ... ? ” や “ If it's not too much trouble, could you ... ?” などの表現も、立場が上の人に対してよく使われます。
まとめ
いかがでしたか? 同じ「依頼」する表現でも、相手との社会的、心理的距離によって、使う表現がかなり異なりましたね。
しっかりマスターすれば、相手の気持ちを尊重しながらも自分の依頼をしっかり伝えることができ、お互い気持ちよく仕事ができます。ぜひ使ってみてくださいね!