帰国子女ではなく、留学経験もないけれど、『ニューヨークタイムズ』の記者として活躍する著者が、英語学習法を具体的に大公開!純ジャパでも英語で働けます。

翻訳者や通訳者などの“英語のプロ”をはじめ、英語力を生かした仕事に就いている人って、帰国子女か留学経験者というイメージがありませんか? もちろんそういう人もたくさんいますが、実は、日本生まれで海外経験ナシのいわゆる「純ジャパ」でも英語のプロとして活躍している人がいるんです! 今回ご紹介する本 『純ジャパニーズの迷わない英語勉強法』 の著者もそのひとり。本書では、海外経験ナシで『ニューヨークタイムズ』の記者になれた著者の英語学習法を完全公開しています。 留学しなくてもここまで英語力を上げた学習法とは? 気になる方法を少しだけお見せしちゃいます。

純ジャパニーズの迷わない英語勉強法
 

著者の上乃(うえの)久子さんってどんな人?

著者の上乃久子さんは現在、アメリカの有力紙『ニューヨークタイムズ』の東京支局の記者。ネイティブスピーカーの特派員のために通訳をしたり、取材のための英文レポートを書いたりと、高度な英語力がなければできない仕事をこなしています。

そのため、「帰国子女なんですね?」と聞かれることが多いという上乃さんですが、なんと留学どころか海外経験もほとんどない純ジャパなんです。

岡山県出身で、ごく普通の公立中学に進学。中1から英語学習をスタートし、県立高校を経て、地方の大学へ。英語学習のスタートは平均的な日本人と何ひとつかわりませんし、失礼ながら超エリートというわけでもなさそう。

しかし職歴は華やか。バイリンガル雑誌の出版社、翻訳会社、『ロサンゼルスタイムズ』東京支局、JICA(独立行政法人国際 協力 機構)と、どれも英語力が重要視される職場ばかりです。純ジャパでありながら、高度な英語力が要求されるこれらの仕事に就けたのはなぜでしょう?

上乃さんは、 「英語に対して並々ならぬ情熱を傾け、コツコツ努力してきた」 と即答しています。ぐっと胸に刺さる言葉ですね。正しい努力をすれば、帰国子女でなくても留学経験がなくても、英語を使う職業に就くことができるんですね!

超・具体的! 英語学習のすべてを網羅した構成

とはいえ、「英語力を生かして国際的に活躍している人物」による英語学習本には実用性がイマイチなものも。著者の若いころの思い出をまとめた単なるエッセイ集だったり、経歴が華麗すぎて参考にならなかったりする場合もよくあります。

その点、 本書はとにかく 具体的な 英語勉強法のオンパレード 。純ジャパの上乃さんの英語学習ノウハウをしっかりと紹介しているのです。

本文は、スキルごとに、以下の8つの章で構成されています。

  • スピーキング
  • 発音
  • リスニング
  • リーディング
  • 実践英会話
  • グラマー
  • ボキャブラリー
  • ライティング
上乃さんはよく「どの分野に重点を置いたらいいか」と聞かれるそうですが、「どれも欠かせない、英語は総合力が大事」とこたえているそうです。

だからこそ本書は、全スキルを網羅しているんですね。さらに、スキルごとに 具体的に 学習方法を提示しています。

ここでは、特に気になるスピーキングとボキャブラリーのページを見てみましょう。

英語はやっぱり話してナンボ! スピーキング編

そもそも 、私たちが英語を勉強する理由は何でしょう? やはり、「英語で話してみたいから」という人が多いのではないでしょうか。

英語を話せれば「私は英語できる!」という自信や実感が湧きますし、何よりまわりの人からも「あの人は英語ができる」という目で見てもらえますよね。では、スピーキング力を付けるにはどんな学習法が必要なのでしょうか?

花子になりきって「50の例文」に挑戦

本書で紹介されているのは、自分の1日を50の英文で表現するという勉強法。NHKの朝ドラ『花子とアン』でも取り上げられていた方法です。

具体的に は、起きてから寝るまでに自分がすることを、簡単な英文で50例書き出します。これを毎日音読することで、英語に慣れていくのです。

本書には上乃さんが用意してくれた例文が掲載されていますので、朝から順に見ていきましょう。

The alarm goes off at six o’clock.

(目覚まし時計が6時に鳴る。)

I get up immediately . 

すぐに 起床する。)

I turn on the TV.

(テレビをつける。)

I take a quick shower.

(手早くシャワーを浴びる。)

この例文をそのまま使ってもいいですし、自分の生活に合わせてアレンジしてみてもいいでしょう。

この50の例文を何度も音読し、英語の基本構文を頭の中にたたき込みます。

一見地味ですが、実はこれがスピーキングの基礎トレーニングとしてとても大事。 「『50の例文』を繰り返し練習すれば、自分でもびっくりするくらい英語の『瞬発力』が付き、いざというときに肝心な一言が口をついて出てくるようになります」 と上乃さんも力説しています。

主語や時制を替えて、さらにトレーニング

50の例文を口にすることに慣れてきたら、主語を自分から my friend や my husband に変えてみたり、過去形や未来形、疑問文にしたりして縦横無尽に変化させると、さらによいトレーニングに。

例えば、本書では “I practice yoga.”という文を、次のようにさまざまな表現に言い換えています。

【否定文】I don’t practice yoga. 【疑問文①】Do you practice yoga? 【疑問文②】When do you practice yoga?
これ以外にも “ How ”や “ Where ”を使った疑問文も作れますね。また、過去形や未来形へと時制も変化させてみましょう。
【過去形】 I practiced yoga. 【未来形①】 I’m going to practice yoga. 【未来形②】 I will practice yoga.
いつでもどこでもスピーキング!

この自分の生活を英語で表現するトレーニングは、いつでもどこでもできます。たとえば通勤中に、混んでいる電車の様子や、電車を待つ人々が何をしているか、英語で実況中継してみるとか。また、ほっと一息ついているときに今日の行動を振り返ってみたりしてもよいでしょう。

その気になれば、いつでもどこでもスピーキングを練習できるんですね!

英語のプロも悩んでる?ボキャブラリー編

ボキャビルに王道なし!

ボキャブラリーを増やすのは、レベルを問わず英語学習者の誰もが課題としていること。しかし、「暗記もの」という地味なイメージが強く、リスニングやスピーキングに比べるとなんとなくつまらない気もしてしまいますね。上乃さん自身も勉強の仕方にずっと悩んでいて、「なにか近道はないか」「短期間で習得するには」などと考えたこともあったそうです。でも、残念ながらそんなものはありません! ある程度のボキャブラリーがなければ、英語だけでなくどんな言語も、聞くことも話すこともできないのです。

その反面、ボキャブラリーがあれば、リーディングや文法が多少苦手でも、相手の言うことを理解できる場合もあります。ボキャブラリーは、スピーキング、リーディング、リスニングの基礎となっているからです。

上乃さんおすすめの方法は、単語を 「①見て、②聞いて、③書いて、④声に出して、⑤使ってみる」 といういたってシンプルなもの。今でもこのやり方を必ず実践するようにしているそうです。

1日5語×30日を目標に

英単語については、1,000語がひとつの境界線。1,000語を超すと、話したり読んだりする幅が一気に広がるといわれています。上乃さんが提唱するのは、1日5単語覚えるのを、30日間続けること。1カ月後には、「もとの語彙力+150語」に。だいぶ増えた感じがしませんか。半年続ければ、増えた分だけで900語を突破します。

上乃さんはこう語っています。

最初はつらいかもしれませんが、これは英語を習得するためには誰もが通らなくてはならない道なのです。(中略)これを乗り越えれば新たな英語の世界が目の前に広がります。この世界に到達したときの喜びを想像しながら、ボキャブラリーを増やしていってください。
「新たな英語の世界」とは、どんな世界なのでしょう? ぜひ、その世界を見てみたくなりますね。

まとめ

本書では、「レコメンド教材」というミニコーナーで、学習に役立つサイトや教材の名前を 具体的に 紹介しているのでとても参考になります。

いろいろなサイトや教材を取り上げていることからも、上乃さん自身がコツコツ英語学習をしてきた道筋が見えるようですね。

最初から一通り読んで実践するのはもちろん、自分が磨きたいスキルから読んでもいいかも。何から始めていいかわからない初心者や、中級以上の人が英語力をブラッシュアップするのにも役立つことでしょう。本書が提唱する学習法を実践すれば、タイトル通り、英語学習に「もう迷わない!」といえるはずです。

純ジャパニーズの迷わない英語勉強法
 
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構成・文:GOTCHA!編集部
GOTCHA(ガチャ、g?t??)は、I GOT YOUから生まれた英語の日常表現。「わかっ た!」「やったぜ!」という意味です。英語や仕事、勉強など、さまざまなテー マで、あなたの毎日に「わかった!」をお届けします。

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