受験生にとっても、英語やり直し中の大人にとっても、英単語の暗記は悩みの種。さまざまな単語集やアプリが出ていますが、「どれもイマイチだったなあ・・・」という方は、この本『イラスト記憶法で脳に刷り込む英単語1880』を手に取ってみては?その名の通りイラスト満載。一見初心者向けに見えますが、さまざまな工夫が凝らされていて、上級者にも役立つ1冊です。
目次
【1】「脳のクセ」を押さえた「ずるい」記憶法
単なるイラスト付き単語集と侮るなかれ。本書の著者のひとり、吉野邦昭先生の肩書は、試験特化型記憶術インストラクター。つまり、記憶法のエキスパートなのです。
吉野先生によれば、脳が何かを記憶しやすくするには、以下3つの点がポイントだそう。
①イメージできたとき=視覚情報(絵や写真)でとらえられたとき
②『快』を感じているとき(面白い!、楽しい!、わかった!など)
③反復回数が多いとき
なんとなく思い当たるところがありませんか?
実際に本書のページを見てみましょう。
➊のイラストを見ると、赤い豚が箱に入れられ、保管されていますね。➋で英単語と意味をチェックします。「“archive” =保管する、保管所、書庫」ですね。次に➌のショートストーリーを見てみると、「赤いブタを、保管する」とあり、この英単語の読み方がわかります。これで、英単語のイメージと読み方、意味をまとめて覚えられるというわけです。
「なんだこれ?」「おもしろい!」などなど、浮かぶ感想はさまざまかもしれませんが、気が付きましたか?
この、記憶法は、上記の「脳が記憶しやすくなるポイント」をすべて満たしているのです。イラストを使っているので①は合格。さらに思わずクスッと笑ってしまうような脱力系のショートストーリーも付いているので②も達成していますね。その結果、くり返すことが負担にならないので③もクリアというわけです。
ちょっとずるい感じがするかもしれませんし、好き嫌いもあるかもしれません。でも、印象に残ることは間違いないのでは? 効果があるなら、やってみて損はありません。
【2】単語を「覚えるべき順番」で掲載
本書では3,000もの英単語を掲載していますが、全部をイラストで覚えるというわけではありません。大人がTOEICを受験するという観点から、覚えるべき順番(重要度)によって、PartA、B、Cの3つに分類しているんです。
【Part A】 ココで差がつく最重要単語1122
TOEICで500~800点を目指す上で重要な単語。さきほど紹介した“archive”はここに分類されています。
【Part B】 高得点を狙うための必須単語758
高得点を狙うための必須単語。日常生活でよく見かけるもの。
【Part C】受験するなら確認したい基本単語1120
中学レベルの基礎的な単語。
イラストを使うのはPart AとB。この2コーナーを覚えると、タイトルにもある1,880語を達成したことになります。Part Cはイラスト無し。英単語と読み方、意味のみ掲載しています。全部イラスト記憶法で覚えようとするのも非効率的。無理やりイラスト記憶法を使わなくてもよいようになっているのです。
単語集には、難易度や品詞によって単語を分類しているものが多いのですが、本書ではTOEICで役に立つ順、TOEICを受ける大人が「覚えるべきもの」から掲載しています。
試験本番まで時間がないなら、Part Aをマスターするだけでも効果があるはず。
【3】ゴロ合わせとは違う「イラスト記憶法」
英単語を覚えるとき、「ゴロ合わせ」を試したことのある人は多いはず。しかし、たいていうまいゴロ合わせが思いつかなかったり、無理やりすぎて却って覚えにくかったりと、なかなかうまくいかなかったのではないでしょうか。
本書で提案するのは「ゴロ合わせ」ではなく「イラスト記憶法」。Part Aの最重要単語1122語を見てみましょう。日常生活で使う機会は少なめですが、TOEICでは必須のワードが勢ぞろい。いくつか紹介してみましょう。
①punctual
“punctual”は「時間に正確な」という意味。先ほどの “archive” とは違って、日本で生活しているとほとんど使うことがないという意味では、覚えづらい単語といえるかもしれません。
ここでは、「いつもは時間に正確な彼が来ないのは、パンクしているから」と発想を展開してショートストーリーを作成。“punctual” を、「パンクとちゃう?」と読み、「時間に正確な」と覚えます。
②capability
思わずふふっと笑いが漏れてしまうのはこの“capability”。イラストを見るとカッパがびりびりと紙を破いていますね。このインパクトに残るイラストで単語の意味をイメージすれば、一発で覚えられてしまうこと間違いなし!
③acknowledge
“acknowledge”は綴りも意味もイメージがわきにくい単語ですが、「悪なる痔になったと認める」というストーリーと、かわいそうなおじいちゃんのイラストが。本番のTOEICテストに出てきたら、おじいちゃんのイラストがふっと浮かんできそうです。
このようにイラストと単語だけではなく、ショートストーリーを読むことで、単語のつづりや読み方、意味が覚えられるようになっています。ゴロで覚えるのではなく、イメージで覚えるのがポイントなのです。
「しょうもない・・・」と思う方もいるかもしれませんが、ともかく強烈に印象に残ったのでは?
【4】イラストをパッと見て、さらに高得点を狙う
Part Bの「高得点を狙うための必須単語」758語は、日常生活でよく見かけるものであるため、TOEICの難単語を含んだPart Aに比べると親しみやすいはず。そのぶん細かなショートストーリーはありませんが、イラストをパッと見て覚えるようになっていて、とても効率的です。あるページを見てみると・・・。
左端の“gallery”は「美術館」を意味します。日本語でもほぼそのまま使われていますね。同様に、右端の“monitor” は「監視する」という意味。日本語でも「モニター」とそのまま使うことがあります。これらはイラストを見ればパッとイメージできますね。
真ん中の “outstanding” は、out+standingで、何かの外に立っているイメージ。そのため、「際立った、突出した」という意味になるのです。
このように、日常生活の中で目にする機会があるので覚えやすく、なおかつ高得点を狙う人にとって欠かせない単語も、本書はしっかりと網羅しています。
【5】基本単語は、サラッとおさらい!
最後のPart Cは「受験するなら確認したい基本単語」となっており、簡単な単語がほとんど。大学生以上であればわざわざ覚え直す必要はありませんが、復習しておきたい単語というイメージですね。基本のき、というレベルの単語をしっかりカバー。
イラストはなく、英単語と読み方、日本語の意味だけで、サラッと復習できるようになっているため無駄がありません。
【まとめ】
パラパラめくってみると、それほど難しい単語はないように思えるかもしれません。しかし、すべて完璧に覚えているという人も少ないのでは?
英語が苦手な人や初心者は、最初から通してやってみてもいいですし、ある程度英語力がある人は苦手単語を減らすのに役立つはず。また、イラストで覚える、イメージで覚えるという単語集はほかにもありますが、脳のクセまで意識しているものは少ないかも。TOEICに的を絞っているところも魅力的で、TOEIC受験者にとってはかなり役に立つ1冊といえそうです。
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構成・文:GOTCHA!編集部
GOTCHA(ガチャ、gάtʃə)は、I GOT YOUから生まれた英語の日常表現。「わかっ た!」「やったぜ!」という意味です。英語や仕事、勉強など、さまざまなテー マで、あなたの毎日に「わかった!」をお届けします。