アデルの6年ぶりのニューアルバム『30』から先行リリースされた新曲「Easy On Me」

「今聴いてほしいアーティスト」と関連する楽曲を音楽が伝えるメッセージや社会的・音楽的文脈などと合わせて高橋芳朗さんが解説します。

今月の一曲

アデルの「Easy On Me」を紹介します。

Easy On Me
  • Columbia
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今世紀を代表する、イギリス出身の世界的歌姫アデル。2008年にアルバム『19』でデビューし、グラミー賞で最優秀新人賞を含む2部門を受賞。自らの人生・恋愛経験をつづった楽曲と表現豊かな歌唱力で世界中のファンを魅了している。10月に先行リリースした「Easy On Me」を含む6年ぶりのアルバム『30』が大ヒット中。

失恋ソングの女王アデルが歌う「30歳のときの自分」

これまでリリースした3枚のアルバムの世界累計セールスは実に6000万枚以上。グラミー賞での受賞数は15回(うち主要部門の受賞数は8回)にも及ぶ21世紀ポップミュージックきってのモンスターシンガー、アデルがシングル「Easy On Me」を持って再び動き出した。

一部で「失恋ソングの女王」と呼ばれているアデルは、自身の実際の恋愛体験を原動力にして楽曲を作ってきた歌い手だ。2008年の『19』、2011年の『21』、2015年の『25』。そのときどきの自分の実年齢をアルバムタイトルに冠してきた彼女のディスコグラフィーは、まさに自らの恋愛記録そのものといえるわけだが、この新曲「Easy On Me」を含むニューアルバムのタイトルは『30』。1988年5月生まれのアデルは現在33歳であるから、今回の彼女は少し前の「過去」について歌っているということになる。

ではから3年前、アデルが30歳のとき彼女の私生活に何があったのか―それは当時の夫、サイモン・コネッキとの破局。つまりアデルが新作『30』で題材にしているのは、今年になって彼と成立した「離婚」なのだ。

Go easy on me, baby / I was still a child / Didn’t get the chance to / Feel the world around me / I had no time to choose what I chose to do / So go easy on me

お手柔らかにお願い/私はまだ子供だった/自分を取り巻く世界を感じる機会なんてなかった/何がしたいのか、選ぶ時間すらなかったの/だからお願い、お手柔らかにして

「Easy On Me」で切々と許しを乞うアデルは、新作『30』を「これまでのどのアルバムよりもパーソナル」と説明し、さらにこう続けている。「『21』はもう私のものじゃないって常に言ってきた。みんなの思い入れが深いからね。でも、今回のアルバムは手放したくない。自分自身をみんなと共有したいけど、このアルバムは手放してもいいとは思えないの」―今度のアデルの悲恋歌は、以前にも増してディープなものになりそうだ。

イギリス出身女性シンガーの楽曲5選

今回の記事で紹介している音楽のプレイリストをご紹介します。ソウルフルに歌い上げるイギリスの歌姫の楽曲を併せて聴いてみよう!

  1. Son of a Preacher Man by Dusty Springfield
  2. To Sir with Love by Lulu
  3. Fell in Love with a Boy by Joss Stone
  4. Bleeding Love by Leona Lewis
  5. Mercy by Duffy

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「EJ’s Playlist」では、これまで『ENGLISH JOURNAL』の連載「EJ Culture Music」で取り上げてきた楽曲を音楽配信サービスで公開中です。こちらのプレイリストは、Apple Musicでもお楽しみいただけます。次のURLからご利用ください。 https://umj.lnk.to/EJplaylist

※本記事は『ENGLISH JOURNAL』2022年1月号に掲載した記事を再編集したものです。

高橋芳朗 音楽ジャーナリスト、ラジオパーソナリティ、選曲家。TBSラジオ「ジェーン・スー生活は踊る」にレギュラー出演中。著書に『ディス・イズ・アメリカ「トランプ時代」のポップミュージック』(スモール出版)、『生活が踊る歌』(駒草出版)など。

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