Part 6、7を解く力が爆上がりする!『The Essentials 英語長文 必修英文100』【TOEIC教材の森】

数ある良書の森で迷っている皆さまに、ぴたりとハマる一冊をご案内する連載「TOEIC教材の森」。「Part6、7の対策教材を使ってもスコアが伸びなかった」という声をよく耳にします。そういう方は、TOEIC対策ではなく“長文を読む地力UP”に取り組むのがお勧め。というわけで、今回はTOEIC教材ではないのに、Part6、7を解く力を鍛えることができる1冊をご紹介。では、GO ON TO THE MAIN POINTS!

関先生の『必修英文100』を3つの指標で分析!

本連載では現役エンジニアの視点を活かし、毎回以下の3つの指標(Metric)で教材を徹底分析します。

Metric 1:基本スペックの分析(定量的な問題数・解説量など)
Metric 2:適合スコアの解析(推奨する保有スコア帯)
Metric 3:ユーザビリティーの評価(定性的な強み・付加価値)

それではさっそく、今回のターゲット『関正生のThe Essentials英語長文 必修英文100』(以下『必修英文100』)の分析に入ります。

大学受験でも資格試験でも大人気の関正生先生ですが、最大の魅力は英語が苦手な人でも理解できる、とにかくわかりやすい解説だと思っています。MORI自身、元々英語が大の苦手だったので、特にそう感じるのかもしれません。

TOEICのスコアは「TOEIC力」×「英語力」ですが、この本は「英語力」の方を爆上げできる1冊です。

Metric 1 基本スペックの分析(例文数・解説量など)

収録例文数:解説重視のため、例文数はやや少なめ

本書の本来の用途は大学受験対策で、大学入試の長文問題に頻出の英文が100文収載されています。各英文は23語前後。解説に重きを置いているため、例文数はそれほど多くはありません。

しかし、TOEICでも頻出するものが多いことに加えて、英語の地力を鍛えることができる教材なので、TOEIC対策にも大いに効力を発揮します(具体的なトレーニング方法はMetric 3にてご説明します)。

解説の量:豊富かつ非常に丁寧で多角的

解説には、1つの英文に対し見開き2ページを使っており、非常に読み応えがあります。また、丁寧なだけではなく、非常に多角的です。具体的には、1つの英文に対して以下の5つの項目でアプローチしています。

解説 文法や語法、構文に関する説明
ポイント 英文を正しく読み解くための着眼点
英文和訳 正確だが自然な和訳
構文解析 主語・述語・目的語だけでなく各単語の修飾関係など、英文の構造を図示
語句 関連する重要語句のまとめ

MORIが本書を特にオススメするのは、❶が非常にわかりやすいことに加え、❹が類を見ないほど詳しいこと。これが、Metric 3で紹介する学習に最適なのです。

ページ数:適度なボリュームで“周回”向き、レイアウトも◎

個人的には、1冊の教材は1カ月以内に一通りやり終え(1周する)、3カ月で3回以上繰り返す(周回する)ことをお勧めしています。1周するのに数カ月もかけてしまうと、終える頃には最初の方を完全に忘れてしまい、ゼロからの「覚え直し」になって学習効率が極めて悪くなるからです。知識を確実に定着させるには、完全に忘れてからではなく、忘れる直前か、忘れかけのタイミングで復習を行う必要があります。

その点、本書(232ページ)は良い意味でボリュームが少なめです。忙しい方でも1カ月以内の周回を無理なく実践しやすく、記憶が新しいうちに効率良く復習を重ねるのに最適な一冊と言えます。

Metric 2 適合スコアの解析(推奨する保有スコア帯)

初級者(〜595点):長文対策よりも単語と文法による基礎固めが大切

600点未満の場合、長文に取り組むための基礎力(語彙力・文法力)が十分に培われていません。まずは単語と文法の基礎トレーニングに励みましょう。本書に取り組むのはそれからでも遅くありません。

中級者(600〜855点):興味があればサブ教材として使ってもいいかも

600点を超えれば、やや背伸びをすれば本書を使うことはできるでしょう。ただ、スコアアップという観点では効率的ではないと思います。というのは、長文の読解力を鍛えるのには時間を要するため、スコアに即反映されないからです。

600〜800点であれば、中上級向けの単語・文法をやりつつ、リスニング力を強化した方が効率的に得点は上がります。ただ、「長期的に長文力を鍛えたい」という方であれば、サブ教材として活用されるのが良いと思います。

上級者(860〜900点):土台ができているスコア帯からの着手がお勧め

860点を超えるスコア帯の方がさらに上を目指す場合、模試を多く解くなど、演習量を増やすのが一般的です。でも、MORIはそこであえて、この大学受験用テキストを使っていただきたいです。

長文に向き合える基礎体力(語彙力・文法力)を有しているハイスコア帯の方こそ、本書を有効活用できるはずです。実際、MORIが本書に初めて取り組んだのは950点を超えた後でしたが、それでも多くの学びがありました。

Metric 3:ユーザビリティーの評価(定性的な強み・付加価値)

文句のない使い勝手の良さ

本書のユーザビリティー(使い勝手)は非常に優れています。

まず長文の論理展開を読み解くコツを短い例文で習得できるという手軽さが良いですし、Metric 1で紹介した、5つの項目による多角的な解説、特に図解の直感的なわかりやすさは出色です。さらに、100文というキリがいい英文数も、学習リズムを作りやすく、最後までマスターしようという意欲を保てるでしょう。

『必修英文100』の効果を990倍にする学習法

今回は、この優れたユーザビリティーをさらに生かし、『必修英文100』の効果を990倍にもできる、MORIオリジナルのトレーニング法をご紹介します。この方法は本書だけでなく、他の「英文解釈本」でも有効なので、ぜひ活用してみてください。

このトレーニング法は次の3ステップで行います。
[Step 1] 例文を自分で和訳し、書籍の英文和訳と比較
[Step 2] 例文の文構造を自分で書き込み、書籍の解釈と比較
[Step 3] 例文を徹底音読

具体に見ていきましょう。

[Step 1] 書籍の和訳を見る前に自分で和訳を“書き出す”→書籍の英文和訳と比較

最初に絶対にやってほしいことは、和訳を見る前に自分で和訳を“書き出す”ことです。

実はコレが意外と難しいです。普段から見慣れている文、わかっていると思っている文も、いざ自分で和訳を書き出し、正解(=書籍に掲載されている和訳)と比較すると、自分の理解がいかに不十分かが可視化されます。

英語上級者のスコアアップのポイントは、わかったつもりで実際にはわかっていないところを炙り出し、その弱点を1つずつ潰していくことで、Step 1はそのための作業です。

ちなみにMORIはこの作業を手書きではなく、タイピングで行っています。目的はあくまで弱点の炙り出しなので、手段にこだわる必要はありません。

さらに、PCを立ち上げる手間すら省くために、テキスト入力に特化したガジェットであるキングジムの「ポメラ」を愛用しています。ノートPC風の見た目ですが、サイズはiPadよりも小さく、フタを開けると3秒でタイピングが始められるという代物です。

[Step 2] 自分で文構造を“書き込む”→正解と比較

続いてやっていただきたいのは、構文解析、すなわち、英文の構造を視覚的に整理する作業です。 具体的には、英文の主語(S)、動詞(V)、目的語(O)などの「骨組み」を見極め、関係代名詞の節や各単語がどこにかかっているかといった「修飾関係」を、記号などを使って書き込んでいくことです。

実はコレが、800点を超えている人でも、苦手な人が非常に多いのです。自分も900点前後のころから始めたのですが、長文を1つ読むと、2〜5文は文構造が取れない文、間違って取ってしまっている文がありました。こういう盲点をつぶしていくトレーニングは、長文読解力アップに極めて有効です。

このトレーニングには「構文解析の模範解答」が掲載されている教材が必要ですが、TOEIC教材ではほとんど存在しません。そこで、この『必修英文100』を使っていただきたいのです。TOEIC教材ではありませんが、実用的な英文が多いので、十分に使えます。

[Step 3] 例文をスラスラ言えるようになるまで音読

最後の仕上げが音読です。必ずStep1、2を行った後に実施してください。正しく理解できていない文を音読しても、効果が出づらいためです。

MORIは音読を3段階に分けて行っています。

第1段階では、文意は考えずに、とにかくスラスラ読めるようになるまで音読を繰り返します。このとき、発音もそこまで気にしません。

第2段階では、英文(スクリプト)を見ながら音声を聞き、その後に音読します。自分が納得できるレベルまでお手本の音声に似せることができたら終了とします(あまり完璧を求めると終わらないので、MORIは80〜90点ぐらいのレベルで合格としています)。

第3段階では、英文を見ながら・音声を聞きながら、音読します。この段階では音声のスピードに合わせて、文意を前から取りながら読み上げるようにします。最初は音声のスピードについていけないと思いますが、音声と同じ速さで意味を取れるようになるまで、繰り返し音読します。

以上の3つのステップで英文の構造がしっかりと身につきます。

結論

TOEIC教材ばかりやっていると、TOEIC慣れでスコアは伸びるものの、“英語力”が伸びずにスコアが停滞するケースがまれにあります。Metric 3で紹介したトレーニング法は、正直、かなりハードですが、確実に英語力を爆上げでき、そうした停滞をブレイクスルーする助けになります。

前述の通り、このトレーニング法には正確で丁寧な構文解析の模範解答が必要です。我流の英文解釈ではいつまで経っても、自分の知識の穴に気づくことはできません。

本書に限らず、関正生先生の書籍の多くには構文解析が掲載されており、英語力を鍛えるには最適です。書店ではぜひ、TOEIC教材のコーナーだけでなく、大学入試対策のコーナーものぞいてみてください。

MORI
MORI

純ジャパの英語学習者。英語を使わない日系企業に勤務しながら、TOEICに挑戦し、30代でIPのスコアを435点から990点まで伸ばす。九州工業大学大学院卒。自身の経験を活かし、XでTOEICに関する情報を発信中( https://x.com/mori_toeic990 )。

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