単語帳選びを間違っているかも? 語彙問題を取りこぼす人に『キクフレ』が刺さる理由【TOEIC教材の森】

数ある良書の森で迷っている皆さまに、ぴたりとハマる一冊を見つけるお手伝いとして、話題のTOEIC教材を徹底分析する連載「TOEIC教材の森」。記念すべき初回は、MORIが最近読んだ本の中でも「絶対に“買い”!」といえる一冊をご紹介します。「Part5・6の語彙問題を全問正解したい」「机に座って学習する時間が確保しにくい」という方にベストマッチな教材です。それではさっそく … GO ON TO THE MAIN POINTS!

早くも話題の新顔TOEICフレーズ集を3つの指標で分析!

本連載では現役エンジニアの視点を活かし、毎回以下の3つの指標(Metric)で教材を徹底分析します。

Metric 1:基本スペックの分析(定量的な単語数・解説量など)
Metric 2:適合スコアの解析(推奨する保有スコア帯)
Metric 3:ユーザビリティーの評価(定性的な強み・付加価値)

それではさっそく、今回のターゲット『キクフレ』の分析に入りましょう。

フレッシュなレモンイエローのカバーに、超有名予備校講師/YouTuberの森田鉄也先生と、新進気鋭の若手講師、清田将吾先生の写真が目立つ単語帳。2026年4月に発売されたばかりですが、早くもTOEICer(熱心なTOEIC受験者)の間で話題になっています。

Metric 1 基本スペックの分析(単語数・解説量など)

この項目では、見出し語数・解説量・ページ数など、定量的な特徴を見ていきます。

見出し語数:1120語、「やや多い」部類

まず、見出し語数。人気のTOEIC向け英単語帳の見出し語数を比較すると、1000語前後であることが多いようです。『キクフレ』は1120語を収録しており、標準〜やや多い部類になります。

収録フレーズ数の観点では、初級者から上級者まで取り組みやすいボリュームと言えます。

解説の量と充実度:やや多く、充実度と引き換えに「見づらさ」も?

『キクフレ』の解説の分量は、標準〜やや多い部類になります。スペースが小さく、解説が詰め込まれているため、レイアウト的にやや見づらさはあります。中上級者にとっては非常に有難い一方で、初心者は少し取っ付きにくさを感じる可能性が高いです。

一方で内容は非常に充実しています。特に以下の2点は特筆すべきでしょう。

正解の鍵を握るパラフレーズ例が豊富

MORIが個人的に「コレ、めっちゃいいじゃん!」と思ったのはパラフレーズ(=言い換え)を非常に多く収録している点です。今のTOEICではリスニングでもリーディングでも言い換えが“正解の鍵”になるため、非常に大切です。本文中に登場した単語が正解選択肢で言い換え表現になっていることが多いからです。

フレーズ・例文「どっちも載せ」でいいとこ取り

フレーズと例文の両方を収録していることも注目の点です。

一般的な単語帳は、「見出し語+フレーズ+解説」、または「見出し語+例文+解説」のどちらかの構成になっていることが多いです。

「見出し語+フレーズ+解説」パターンのメリットは、あえて“覚える量を制限する”ことで、効率的に勉強できることです。特に、初中級者に向いています。

「見出し語+例文+解説」パターンのメリットは、言わずもがな、英文にたくさん触れるので、英文を読むトレーニングになることです。特に上級者にとっては、フレーズで覚えるよりも高い学習負荷と学習効果が見込めます。

そして、「見出し語+フレーズ+例文+解説」パターンの『キクフレ』は、使い方によってこの2つの“いいとこ取り”ができます。よって、中上級者が長期的に使い込める単語集に仕上がっているといえるでしょう。

ページ数:384ページと多め。”周回”には時間がかかる

本書はTOEIC向けの単語帳としては384ページと多めで、やや厚めの本になっています。それだけ学ぶことも多いのですが、ページ数が多くなると、初中級者にとっては“周回”するのが難しくなることは否めません。

周回…1つの教材を最後までやり終えた後、最初に戻って繰り返し学習すること。

個人的には、「単語帳は、単語を見て、1秒以内に意味が言えるようになるまで周回すべき」だと思っています。
実際問題、リーディングを75分で解こうと思うと、意味を考えている余裕はありませんので、単語学習のゴールの目安にしてみてください。

Metric 2:適合スコアの解析(推奨する保有スコア帯)

次は、1つ目の定量分析を踏まえて、どのスコア帯の方にお勧めなのかを診断していきましょう。

初級者(〜595点):500点未満には消化不良の危険アリ?!

書籍に記載している対象レベルは「TOEIC L&Rテスト500点〜」となっています。

MORIとしても、確かに初級者でも取り組みやすい工夫はされているものの、収録語自体のレベルと文字量、ページ数、余白の量の観点から、500点未満の方が使いこなすのは難しい本だと感じました。

話はちょっと脱線しますが、英語が苦手な人(かつてのMORIもそうでした)は、英語がびっしり書いている教材を見るだけで、心が折れたりモチベーションが下がったりします。

ベストセラーの単語集 『[増補改訂版]TOEIC®L&Rテスト 金のフレーズ』 [TEX加藤 著、朝日新聞出版社、2026年]は、例文ではなくフレーズを採用し、解説をコンパクトにすることで文字量を抑えています。さらに笑える小ネタも加えることで、僕らのような「英語を見るのもイヤだ!」という人でも取り組みやすい設計になっています。

一方、『キクフレ』は情報量が非常に多いため、スコアが600点ぐらいあっても、取り組む心理的ハードルが少し高い可能性があります。この耐性は個人差が大きいので、購入前に書店で中身をチェックすることをお勧めします。

中級者(600〜855点):730点超えで“本の真価”を享受できる

前述の通り600点ぐらいの方でも取り組むことは可能です。ただ、使いこなすことは難しいかもしれません。

本書の真価をフルに享受できるのは、730点を超えたあたりからでしょう。730点を超えると、英文を読むことも苦ではなくなってきますし、解説を理解する余裕もでてきます。

正直、この本の解説欄は「MORI史上、TOEICでのお役立ちレベル1位」と断言できるクオリティーです。前述のパラフレーズだけでなく、本番で頻出の語法、過去に公開テストで問われた用法やコロケーションなどが本当にたくさん収録されています。

数ある単語帳の中でも、上級者にランクアップしたい中級者には真っ先に取り組んでほしい1冊です。

上級者(860〜900点):語彙問題全問正解を狙う上級者には“マスト”

実は、MORIの持論は「上級者(特に900点以上)になったら、単語帳ではなく、模試やPart5の問題集を通して単語を覚えた方が、“効率的”かつ“実践的”」というものです。

しかし、本書は例外で、900点以上も取り組んだ方がよいと思います。特に、Part5・6の語彙問題を全問正解できるようになりたい上級者には“マスト”な一冊と言えるでしょう。

というのも、高得点になってくると単語の意味そのもので選ぶ語彙問題は解けるのですが、単語同士の相性を問うコロケーション問題では、まだ取りこぼしが起きるからです。特に最近で“難問”だと話題になった問題の多くが、見慣れた単語のマイナーな意味・語法・コロケーションを問う問題でした。

『キクフレ』の後半の見出しは、この傾向を反映し、頻出語のマイナーな意味・語法・コロケーションを多く取り上げています。これは他の単語集にはあまり見られない特長です。

ですから、(大事なことなので繰り返しますが、)「Part5・6の語彙問題を全問正解したい方にベストマッチ」な一冊といえるわけです。

Metric 3:ユーザビリティーの評価(定性的な強み・付加価値)

最後に、単なる数字やデータだけでは測れない、ユーザー目線での使い勝手や、その教材ならではの魅力・付加価値を解説します。

通勤・家事・育児のお供に:「耳」を使った学習で時間をフル活用!

『キクフレ』はアルクの代表作である「キクタン」シリーズの一冊です。

「キクタン」シリーズが誇る唯一無二の強みは、なんといってもリズミカルな音に乗せてボキャブラリーを刷り込む「チャンツ」メソッドにあります。視覚情報に頼らず、「耳」をフル活用してインプットできる設計になっています。つまり、「机に座って学習する時間が確保しにくい」という方にも取り組みやすいのです。

例えば、仕事が忙しいビジネスパーソンであれば、通勤中の満員電車や駅までの徒歩移動のときにも、イヤホンとスマホさえあれば勉強ができます。家事に追われる主夫や主婦の方であれば、食器洗いや掃除をする時間も利用できます。育児をされている方であれば、寝かしつけしながら学習することもできます。

このように耳だけで完結できる学習スタイルは、忙しい人の生活スタイルと最もマッチする教材と言っても過言ではありません。

Part5・6語彙問題の対策―「腕試し問題」で本番力も磨ける!

本書がPart5・6語彙問題と相性が良いことは既に述べましたが、実はさらなる工夫があります。TOEICフレーズが定着したかをチェックするために各Chapterの最後にPart5形式の腕試し問題が収録されているのです。

これにより、記憶の定着に加えて、実際の問題でどのように出題されるかも学ぶことができるため、TOEICの本番力も磨くことができます。

継続できる仕組み ー 1日16見出し×10週間の計画的な学習 ー

単語学習において、一番重要であり、且つ、実際にやるのが難しいことが、“継続すること”です。
この本には、その“継続すること”を助ける仕組みが組み込まれています。

具体的には、ユーザの学習計画を考えた構成になっており、1日16個の見出し語を学習すれば、10週間で本を1周できる構成になっています。
1日あたりのページ数は“たった”4ページなので気軽に継続学習できます。

さらに親切なことに、Day1〜70という形で各見開きページには、スケジュールが記載されています。
そのため、自身で学習計画を立ていることが苦手な方や三日坊主になりやすい方でも、他の単語帳と比較しても、挫折しづらく、継続しやすいと言えます。

結論

今回の記事は、「あなたの単語帳選び、間違ってるかも」という煽り気味のタイトルでスタートしましたが、もちろん、今お使いの単語帳に問題がなくても、『キクフレ』がPart5・6の語彙問題を全問正解したいビジネスパーソンに「最適マッチ」するという事実に偽りはありません。

Part5・6の正答率に伸び悩みを感じている中上級者の皆さんは、ぜひ一度、書店でこの本の解説の熱量に触れてみてください。あなたのTOEIC学習の“森”で、この本が最高の道しるべになることを確信しています。

本連載では今後も「基本スペック」「適合スコア」「ユーザビリティー」の3つの切り口でさまざまなTOEIC教材を紹介していきます。次回もまた、あなたのスコアアップに直結するような珠玉の一冊を徹底解剖しますので、どうぞお楽しみに!

MORI
MORI

純ジャパの英語学習者。英語を使わない日系企業に勤務しながら、TOEICに挑戦し、30代でIPのスコアを435点から990点まで伸ばす。九州工業大学大学院卒。自身の経験を活かし、XでTOEICに関する情報を発信中( https://x.com/mori_toeic990 )。

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