英語を全く使わないJTC(伝統的な日系企業)に勤める現役エンジニアが、TOEIC IPテストで435点から990点にスコアアップした軌跡を公開。多忙な社会人が「PDCAサイクル」を活用して効率的に英語学習を進める方法や、自分に合った最適なTOEIC教材を選ぶための考え方をご紹介します。本連載では、等身大の学習者視点で、忖度なしのTOEIC教材レビューをお届けします。
目次
TOEIC 435点から990点へ!英語を使わない現役エンジニアのご挨拶
皆さま、はじめまして。MORIと申します。英語を全く使わないJTC(=Japanese Traditional Company、伝統的な日系企業)にエンジニアとして勤務しています。
英語は学生時代からずっと嫌いで苦手だったのですが、30代のころ、TOEIC IPテストのスコアを435点から990点まで引き上げることに成功しました。その経験を通じて培った、自分なりの“学習哲学”を基に、X(旧Twitter)でTOEIC教材の感想や学習ノウハウを発信しています。
その活動の延長として、このたび、このEnglish Journal Onlineで教材レビューを連載することになりました。「元・英語嫌いの現職エンジニア」として、英語が苦手な人、仕事が忙しくて時間がない人の役に立つ記事をお届けしていきますので、よろしくお願いします。
連載開始にあたり、まずは自己紹介も兼ねて、私のTOEICとの出会いと学習遍歴についてお話ししたいと思います。
英語が大の苦手だった学生時代(200点台)~新社会人(390点→505点)
高校時代から英語は一番の苦手教科でした。2004年、入試(2次試験)に英語がないという理由で、国立の某工業大学に進学。入学直後にクラス分けのために強制的に受験させられたIPテストが、MORIの初めてのTOEIC受験です。スコアは200点台で、一番下のクラスに振り分けられました。
その後も400点の壁を越えられないまま大学生活を終え、2010年にメーカー系のJTCに、エンジニアとして就職。
圧倒的大多数の社員が業務で英語を使わない会社なので、これでようやく英語から解放されると思ったのですが、逃げることはできませんでした。係長クラスへの昇進要件としてTOEIC450点という基準が設定されていたからです。
内定式の時に受けたIPテストは390点。入社後に慌てて付け焼刃の対策をして、2011年にはなんとか505点を取得し、昇進要件をクリアしましたが、それ以降はまた英語から逃げ続けていました。
社会人8年目・TOEIC再挑戦、大幅スコアアップ(435点→690点)
きっかけは「長男誕生」! マイナスからの再出発
転機となったのは2017年に長男が生まれたことです。この子の将来のためにも収入の安定性を高めたい、そのために万が一に備えて転職に有利になる資格を取ろうと考えて、TOEICを思いついたのです。
手始めに社内のIPテストを受験することにしました。ただ、予期せぬ早産だったこともあり、子どものケアが最優先だったので、勉強する時間はまったくとれませんでした。2018年1月に「ノー勉」で受けた久しぶりのIPテストは435点という結果でした。
「PDCAサイクル」を活かしたTOEIC学習計画
育児が少し落ち着いた同年8月、いよいよ本格的にTOEIC学習をスタートさせました。
この時、MORIが最初にやったのは、いきなりテキストを開くことではなく、本職のエンジニア業務で身についていた「PDCAサイクル」をTOEIC学習に援用すること。
まずは綿密な計画(Plan)を立てました。とりあえずは、「翌2019年1月の社内IPテストで600点、2年後に800点」という目標スコアを設定し、そのスコアに到達するための目標学習時間を算出しました。
根拠としたのは、オックスフォード大学出版局の A Teacher’s Guide to TOEIC Listening and Reading Test に掲載されていた「目標スコアに到達するための学習時間の目安」です。
その表によれば、450点から650点になるのに必要な時間は450時間、450点から800点は975時間です。
「英語が苦手な自分は、この統計の1.5倍の時間がかかるはずだ」と見積もって、最低ラインとして毎月50時間の学習目標を設定しました。
「社内TOEIC部」結成と5カ月でのジャンプアップ
さらにこの計画を遂行するための仕組みとして、 『社会人英語部の衝撃』 [清涼院流水 著、中経出版 刊、2014年]に刺激を受けて、職場の若手たちと「社内TOEIC部」を結成しました。当時の活動は次の5つです。
- 共有エクセルに毎日の学習記録を残す。
- 週1回、昼休みに30分ほどのミーティングをする。
- 3カ月、または半年に1回はTOEIC公開テストを受験する。
- 受験後は皆で飲み屋で打ち上げをする。
- 月に1回集まって模試を解く。
仲間と切磋琢磨する環境ができたことで、想定以上に熱が入り、実際には計画の倍となる毎月100時間ペースで勉強を進めることができました。その結果、翌年1月のIPテストでは目標を大きく上回る690点を獲得できたのです。5カ月、約500時間の学習で255点アップ。おおむね統計通りの結果です。正しい方向に努力を積めば、その分だけしっかりスコアに反映される――この体験が、TOEICの面白さに目覚める最初のきっかけとなりました。
社会人14年目、満点へのスパート(690点→990点)
“濱崎流”学習法との出会いでスコアアップが加速
大幅なスコアアップでTOEIC学習が楽しくなってきたため、2019年からは有料のセミナーにも参加するようになりました。特に、濱崎潤之輔先生のオンラインサロンに入会したことは自分にとって最良の選択でした。“濱崎流”と呼ばれる、濱崎先生のストイックな学習法と熱量は、MORIの今の学習スタイルやTOEICの向き合い方の基礎となっています。
その後も、2019年に800時間、2020年に1000時間と学習時間を積み上げ、2020年1月公開テストで805点、2021年1月公開テストで920点を獲得。順調にスコアを伸ばし、満点も射程圏内にとらえられるようになってきました。
900点台の停滞期“修羅の道”をSNSで乗り越える
900点台に突入すると、スコアを上げるのは急激に難しくなります。TOEICer(熱心なTOEIC受験者)たちには、“修羅の道”と呼ばれるスコア帯です。MORIもその例に漏れず、900点から急激に失速することになります。2021年は年間1400時間も学習したにもかかわらず、2022年1月のスコアはIPテストで930点、公開テストで915点という結果に終わりました。
この停滞を打破するために始めたのがXです。Xにはハイスコア保有者が多く、有益な情報交換が行われています。MORIも、TOEICerたちに学習相談をしたり、勉強会を開いたりと、活発に交流をするようになりました。
特に自分と同様に普通の会社員であるにもかかわらず、20代で40回以上も990点満点を取得した wadaさん には、大いに刺激を受けました(wadaさんとは後に、アルクの 『キクタンTOEIC(R) L&Rテスト 1000』 の校閲でもタッグを組ませていただきました)。
そうしたさまざまな試みの結果、壁を越え、2024年10月の公開テストで980点、12月のIPテストでついに990点を獲得することができました。

一人の学習者から発信する側へ
990点達成前後から、自分も、実際に使ってみてスコアアップにつながった教材や効果があった学習法をX(MORI_TOEIC990)で紹介し始めました。
バズった(数千件の「いいね」を集めた)投稿もいくつかあり、2024年9月時点では2000人程度だったフォロワー数が、現在では8300人ほどにまで伸びました。
Xでは「(公開テスト)満点以外はTOEICについて語るべからず」的な風潮もあるため、自分の発信する情報に需要があることには、ちょっと驚きました。しかし、一人の学習者として“修羅の道”を苦労して進んできた等身大のレビューだからこそ、多くの方に読んでもらえているのかもしれません。
本連載のスタンス:「良書とユーザーの出会い(マッチング)をお手伝いする」
発信を行う上で、MORIが常に意識している3つのルールがあります。
① 主観と客観の切り分け:自分の好みだけで「良い・悪い」を断定せず、主観には「個人的には」と添えること。
② 再現性の重視:自分のスコアが上がった本でも、友人たちにも試してもらい、結果が出て(裏取りができて)初めてお勧めすること。
③ ネガティブな発言をしない:自分に合わなかった本でも他の誰かには最適かもしれないため、むやみな批判は避けること。
このスタンスで、これまでさまざまな教材と真剣に向き合ってきて確信しているのは、今の時代、書店で平積みされているようなTOEIC教材は、基本的に“すべて良書”であるということです。一昔前は微妙な教材もあったようですが、今、人口に膾炙している本であれば、どれを使ってもスコアは上がるはずです。
スコアが伸びないとすれば「自分の実力に合っていない教材を使っていること」や「一度読んだだけですぐ違う教材に移ること」が原因だと思います。XでTOEIC学習者のポストを見ていても、「その本は本当に良い本なのに、その使い方ではもったいないッ」と思うことが頻繁にあります。
だからこそ、本連載では単に「教材を紹介する」のではなく、「教材を多角的に分析し、どのような学習者に適合するかを検討する」という視点で、読者の皆さまの教材選びのお手伝いをしていきたいと考えています。その教材が、どういうスコア帯・ライフスタイル・学習スタイルの方にマッチすると考えられるか、丁寧にレビューしていきます。と同時に、MORI自身もまだ達成できていない「公開テストでの990点獲得」に向けて、皆さまと一緒に引き続き努力していくつもりです。
次回からは、いよいよ具体的なTOEIC教材のレビューをスタートします。数ある良書の中から、皆さまにぴたりとハマる1冊を見つけるお手伝いをしていきますので、どうぞご期待ください!
SERIES連載
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「モッタイナイ」に「オモテナシ」。今、海を渡って世界で使われていると言われる日本語を、世界80カ国以上の現地在住日本人ライターやカメラマンの集団「海外書き人クラブ」が調査します。
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