TOEIC指導の専門家・ヒロ前田さんが、学習者の悩みに答える連載「TOEIC学習お悩み相談室」。今回は、「リスニングのスコアは上がったのに、リーディングが伸びない」という相談を取り上げます。スコアのバランスをどう考え、リーディング力を伸ばすには何に取り組めばよいのでしょうか。
目次
今回の相談
この1年で、リスニングのスコアはかなり上がりました(285点→405点)。でも、リーディングがダメです(280点→270点)。バランスを改善するにはどうすればいいですか。
――会社員(40代・男性)/TOEICスコア 675点
まず確認したいこと
スコアのバランスを気にしすぎる必要はありません
リスニングのスコアは大きく上がったのに、リーディングは伸びない。そうなると、スコアのバランスが悪いように感じるかもしれません。
ただし、TOEICでは、リスニングのスコアがリーディングより高く出る人は少なくありません。受験者全体の傾向としても、リスニングの平均点の方がリーディングより高くなることが多いものです。
ですから、「405点と270点」というバランスそのものを、必要以上に気にする必要はありません。
大切なのは、リスニングとリーディングの点差を小さくすることではなく、リーディングのスコアをどう伸ばすかです。
バランスを整えるだけなら、リスニングのスコアを下げれば済んでしまいます。もちろん、それは望んでいることではないでしょう。目指すべきなのは、リスニングを維持しながら、リーディングを引き上げることです。
リーディングに必要な学習量を見直す
リーディングのスコアが伸びないときは、まず、英語を読む量が十分かどうかを見直す必要があります。
「リーディングが苦手」「文法が苦手」「語彙が弱い」と言う人の中には、実際には英語そのものを読む時間が少ない人がいます。
例えば、1時間勉強するとします。そのうち50分は日本語の解説を読んでいて、英語を読んでいるのは10分だけ。これでは、リーディングセクションが求める力はなかなか伸びません。
問題を解く時間、解説を読む時間、和訳を確認する時間は、もちろん必要です。ただし、それだけで終わってしまうと、英語を読む量は不足しがちです。
リーディング力を伸ばしたいなら、学習時間の中で英語を読む時間を増やすことが必要です。
まずは、自分の学習時間のうち、実際に英語を読んでいる時間がどれくらいあるのかを確認してみましょう。
リーディングのスコアを伸ばす考え方
多くの人が経験することです
リスニングのスコアがリーディングより高くなることは、多くの受験者が経験します。
リスニングは、問題形式に慣れたり、設問の先読みや消去法を身に付けたりすることで、比較的スコアが伸びやすい場合があります。一方、リーディングは、語彙・文法・読解力が総合的に問われるため、伸びるまでに時間がかかることがあります。
そのため、リスニングが先に伸び、リーディングが後から追いかける形になることは珍しくありません。
焦る必要はありません。ここから考えるべきことは、「なぜバランスが悪いのか」ではなく、「リーディングを伸ばすには、どの力を鍛えるべきか」です。
3つの力を養う
リーディングセクションのスコアを決める力は、大きく分けると次の3つです。
- 語彙力
- 文法力
- 読解力
この3つに「時間を上手に使う力」を加えることもできますが、今の段階では、まず語彙・文法・読解の土台を固めることが重要です。
語彙力については、初級者から上級者まで、すべての学習者にとって大きな課題です。単語の覚え方には個人差があるので、自分に合う方法を見つけて、継続して増やしていく必要があります。
それ以上に見直したいのが、文法です。TOEICに出題される文法は、基本的なものが中心です。だからこそ、基本文法をきちんと習得すれば、スコアアップにつながりやすくなります。
基本文法をきちんと習得すれば、英文を読んで理解するスピードも上がります。
文法が分かると、文書や設問、選択肢を速く、正確に読む力も上がります。さらに、リスニングにも良い影響があります。聞こえた英語の構造をすばやく理解しやすくなるからです。
語彙・文法・読解を別々のものとして考えるのではなく、互いにつながっている力として伸ばしていくことが大切です。
リーディング力を伸ばす学習法
「ワンテーマ学習」で弱点を絞る
文法学習で提案したいのが、ワンテーマ学習です。
TOEICに出題される文法項目は、細かく分類してもそれほど多くありません。「品詞の区別」「動詞の活用」「関係詞」「前置詞」「接続詞」など、テーマごとに整理して学ぶことができます。
どのテーマも7割程度の理解で止まっていると、常に不安を抱えた状態で受験することになります。その結果、いつもどこかでミスをしてしまいます。
ですから、1つのテーマを徹底的に攻略してから次のテーマに移ることを意識するとよいでしょう。
まずは、自分がどのテーマに弱いかを知る必要があります。
もし弱点が分からないなら、模擬試験やPart 5に特化した問題集を使って、100問ほど解いてみてください。自分で「弱点診断テスト」を行うのです。
そこで、例えば「関係詞」が弱いと分かったら、しばらくは関係詞を重点的に学びます。問題演習のときだけでなく、英文を読むときにも関係詞に注意してみます。
このように、1つのテーマを意識して学ぶと、知識が散らばりにくくなります。
英文を読む量を増やす
読解力は、語彙や文法とは別のスキルです。
語彙を知っていて、文法も理解していても、英文を読む経験が少なければ、読むスピードや正確さはなかなか上がりません。
読解力を養うには、英語で書かれた文書を読むことが必要です。
ただし、毎日30分や1時間を英文リーディングに使うのは大変かもしれません。最初から大きな目標を立てるより、実行しやすいことから始めれば十分です。
例えば、Part 6を使ってみてはいかがでしょうか。Part 6の文書は長くても100語程度で、語彙レベルもPart 7より低めです。短い文書を使って、文脈の流れや文と文のつながりを読む練習ができます。
また、リスニングセクションのスクリプトを読むのもよい方法です。Part 4のスクリプトと音声を使えば、音声のスピードに合わせて読む練習ができます。これは、速く読む訓練にもなります。
大切なのは素材ではなく、継続です。
短くてもよいので、英語を読む時間を学習の中に組み込んでいきましょう。
日本語の解説だけで終わらせない
リーディング対策で注意したいのは、日本語の解説を読むだけで満足しないことです。
解説を読むと、「分かった」という感覚を得やすいものです。しかし、その後で英文を読み直し、なぜその答えになるのかを英語の中で確認しなければ、読解力そのものは伸びにくいでしょう。
問題を解く。答え合わせをする。解説を読む。ここまでは多くの人がやります。
その後に、もう一度英文に戻り、次の点を確認します。
- どの文が正解の根拠になっているか
- 不正解の選択肢は、本文のどこから外れているか
- 知らない語句や表現は何か
- 文法的に理解しにくい文はどこか
- もう一度読んだとき、前より速く正確に読めるか
このように、英語そのものに戻ることで、解説で得た知識が読解力につながっていきます。
リスニングのスコアが上がったことは、よいことです。その成果を維持しながら、リーディングでは、英語を読む量と質を少しずつ増やしていきましょう。
リーディングのスコアを伸ばすには、日本語で英語を理解する時間だけでなく、英語そのものに向き合う時間を増やすことが必要です。
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