カタカナ英語から脱出!英語圏で教える発音のルールを知ろう

英語の読み書きがおっくうと感じる原因の一つは、単語の発音が分からないことです。発音記号やフリガナに頼らずに英語が読めるようになる方法を、mpi松香フォニックス名誉会長の松香洋子さんに、5回連載で教えていただきます。

フォニックスって何?

皆さん、Phonics (フォニックス)をご存知ですか。発音と文字の関係を扱うルールのことで、日本語に訳すと「音声法」となります。言語の音声面だけを扱う「音声学」とは違って、 英語の文字と音声との関係を、英語圏の子どもに分かるように開発された学習法 です。

英語圏の子どもたちが、自分で聞いたり話したりできる英語を、読めるように書けるようにする実践的な学習法なのです。

英語の発音がうまくできない、文字はだいたい読めるが通じるように言えない、暗記した単語しか読めない、読めるけれど書けない――。多くの日本人が抱えるこんな悩みを解消することができる学習法がフォニックスなのです。

カタカナ英語とさようなら

英語学習の初期にフォニックスを学んでいない私たち日本人は、カタカナを振って英単語を読もうとします。しかし、それは「通じない英語」の第一歩になってしまいます。英語にカタカナを振ってはいけないと私は考えます。なぜなら、カタカナは日本語の発音を表しているからです。

例えば、日本人が海外で、「コーヒーを頼んだのにコーラが出てきた」などのトラブルを体験した人の話をよく耳にします。

コーヒーもコーラも /k / という発音で始まります。店の人は、お客さんが「コーヒーかコーラを注文するのだろうな」と推測するでしょう。しかし、 コーヒーなら /f/ の部分、 コーラなら /l/ の部分を正しく発音することが大切なのです。この /f/ /l/ の発音があいまいになると、コーヒーを頼んだはずなのにコーラが出てくる結果になるのです。

英語学習の初期にカタカナを振って英語を学習したものの、通じなかったという経験をした方、今からでも遅くはありません。英語の文字と音の関係をフォニックスのルールで学び、自信を付けてくださいね。今回は、アルファベットが持つ音を練習していきましょう。

アルファベットの26文字には音がある

pig の /p/ のような「初頭音」の発音に注目しよう!

まずは、pig の /p/ のように初頭音を発音してみましょう。英語の文字には大文字と小文字の2種類がありますが、それが表す音は同じです。アルファベットの26音のうち、日本人が特に注意しなくてはならない発音は次の7つです。

  • f ish(魚) 】唇をかんで /f/
  • l ion(ライオン)】舌を歯の裏に付けて /l/
  • m onkey(サル) 唇を閉じて /m/
  • n est(巣)】舌を歯の裏に付けて /n/
  • r aibbt (ウサギ)】 舌を上あごにつけないで /r/
  • v iolin(バイオリン)】唇をかんで /v/
  • w itch(魔女)】唇を突き出して /w/

今日のフォニックスチャレンジ

次の英文を、 f l m n r v w の部分の発音に気を付けながら、通じるように読んでみましょう。

I have a red hat.
私は赤い帽子を持っている。

I don’t like ham .
ハムは嫌いです。

I love coffee.
コーヒーが大好き。

Can I have some water?
水をいただけますか?

It’s a lot of fun.
楽しい?

フォニックスクイズ

下の例題にあるように、初めの2つと同じパターンの単語を空欄に入れましょう。すべて3文字です。単語が完成したら、上手に発音しましょう。

題 dog・・・fog・・・(nog)

クイズ

cat・・・hat・・・(   )
bed・・・red・・・(   )
big・・・pig・・・(   )
hot・・・pot・・・(   )
run・・・sun・・・(   )

単語の2つめと3つめが同じアルファベットになっていることに気が付きましたか?単語の最初の文字を考えて3文字の単語を見つけましょう。クイズの解答例はこの記事の下にあります。

日本の「しりとり」に似た、英語圏で遊ぶ「ライム勝負」

英語圏では、日本の子どもたちがよく遊ぶ「しりとり遊び」は成立しません。例えば、red → dog → golf → fish などと続けていくと、fish の次の子どもは sh から始まる単語でいくのか、h から始まる単語でいくのか分からなくなってしまうからです。

その代わりに英語圏の子どもたちは「ライム勝負」という遊びをします。「ライム勝負」とは、このクイズにあるような同じパターンをした単語を言い合い、言えなくなったら負けという遊びです。日本人にはとても難しい遊びですが、英語圏のこどもは得意です。童心に帰って、「ライム勝負」を遊んでみてはいかがでしょうか。

最後に

第1回目のフォニックスチャレンジはどうでしたか?

日本語には、ひらがな、カタカナがあって、これを学べば小さいこどもでも「いぬ」とか「コアラ」といった単語が読めます。ところが英語では、アルファベットを言えたからといって、単語が読めないのです。そんな英語圏の子どもたちの苦しみを救うのがこのフォニックス。皆さんも、ルールを知れば英語の会話や読書がますます楽しめると思います。次回は、「ひとりぼっち母音」のルールを紹介します。お楽しみに!

松香洋子さんの本

クイズの答え

  • cat・・・hat・・・(bat、mat、rat など)
  • bed・・・red・・・(Ted、Ned、wed など)
  • big・・・pig・・・(dig、 fig、wig など)
  • hot・・・pot・・・(dot、 lot、not など)
  • run・・・sun・・・(bun、fun、gun など)
松香洋子
松香洋子

株式会社mpi 松香フォニックス名誉会長。「J-SHINE小学校英語指導者認定協議会」理事。放送大学教員免許更新講習講師。

編集:増尾美恵子

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