家にいながら無料で、英語やその他の外国語で、海外の人とつながり、交流ができるアプリはいろいろありますが、危なくないの?友達はできるの?と心配にもなりますよね。そこで、スマホアプリは最低限しか使わず、社交も苦手な編集部員が、「Tandem」と「SLOWLY」を選んで、使ってみました! 使い方や危険度、友達ができたかどうかなどを紹介します。
目次
選んだアプリは「Tandem」と「SLOWLY」
言語学習や言語交換、交流に使われるアプリに興味があっても、「危なくない?」「時間の無駄にならない?」と心配で、試してみることができませんでした。しかし、一念発起して、挑戦してみました!アプリを約1カ月使った体験談をお届けします。
まず取り組んだのは、「どのアプリを使うか」を決めること。最低限の条件は次の3つでした。
- 無料(の範囲で十分使える)
- 「出会い系」っぽくない
- 個人情報をあまり開示しなくていい
この3つの条件を基に、語学と交流に使える無料アプリとして有名な次の5つについて、ネットで口コミなどを調べました。
この中で、「やってもいいかな」と思えたのは「Tandem」と「SLOWLY」の2つでした。
決め手は、「出会い系目的の人が、ほかのアプリと比べると少なそう」でした。どんなアプリでも完全にゼロにするのは無理でしょうし、もちろん語学とそういう出会いをまとめて求めたい人もいると思いますが、今回は「語学力アップできる友達づくり」を重視して選びました。
Tandemの特徴:言語交換のパートナーを見つける
言語交換アプリのTandemの特徴は次のようなものです。
- 無料(有料の機能もあり)
- 恋愛の出会いを目的として使うのは不可という運営方針
- 名前、顔写真、性別、年齢の登録が必須。位置情報の登録の有無は選べる
- アカウント登録は運営側による承認制
- メッセージを送って、1人ずつとコンタクトを取る方式
- 音声通話機能もある
Tandemはこんな人に向いている!
Tandemは、特に次のような方におすすめします。
- 顔も見て、交流する相手を決めたい( ただし、写真が本物とは限らない)
- 文字のメッセージのやりとりのみなど、条件が合う相手と交流したい
- 音声通話で、相手とリスニングとスピーキングの練習もしたい
- 気が合えば、相手と直接会いたい
Tandemの登録方法
Tandemのサイトでも登録できるようですが、私はスマホのアプリ(App StoreかGoogle Play)をダウンロードして利用しました。
アプリを開いたら、「アカウント作成」をクリック。FacebookやGoogleのアカウントを利用することもできます。
プロフィール作成では実名での登録を求められますが、例えば名字をイニシャルのみにすることも可能ではあります。また、実は登録後、1回までなら変更できるようです。誕生日も必須で、年月日まで記入を求められます。性別も必須で、選択肢は男女のみです。しかしなぜか登録後、「年齢」を変更することはできてしまいました・・・。
顔写真も必須で、「はっきりと顔が写っているもの」を求められます。
しかしこれも、登録後にユーザーのアカウントを見てみると、顔がすごく小さく写っていてほとんどわからない写真や、風景の写真、イラストを使っている人もいました。登録後にそういうものに変更することはできるようです。ただし、試してみたら、アプリで画像を自動判定するようになっているらしく、「顔がはっきりわからないから、この画像は使用不可」となることもありました。
学習仲間を探すのに顔と年齢って重要なの?
ネットの口コミにも書いてあったのですが、「顔写真」「年齢」「性別(男女どちらかのみ)」の登録が必須という点で、「出会い系っぽいのでは?」と思えなくもありません。「素性をはっきりさせるため」かもしれませんが、写真は本人のものとは限りませんし、ほかの情報も虚偽のものを入力する人もいるでしょう。まあ、「一緒に勉強するにしても、顔と年齢が知りたい!」という需要もあるのかもしれませんが・・・。
私はどうしたかというと、登録時には審査があるため、ほぼ事実を入力しましたが、登録完了後には、やはりちょっと怖くて若干操作を行いました。(ただ、顔写真を載せていないなどの場合、ほかのユーザーから運営側に「通報」されることもあり得るようです・・・)
ちなみに登録後、ユーザーを見ていると、(たまたま私に表示されるメンバーがそうだったのかもしれませんが)十代後半から二十代前半(つまり学生)がほとんどという印象でした。二十代後半以上だと浮いてしまうな・・・と思い、しかしメッセージのやりとりだけでもさすがに学生の振りをするのは無理なので、若くはないが中高年でもない30過ぎ(の女性)に「設定」してみました(笑)。
言語は3種類に分けて登録
言語は、母国語、ほかに流ちょうに話せる言語、学びたい言語をそれぞれ選びます。自分が教えられる言語と、教えてほしい言語を示すわけですね。言語は、音声言語だけでなく、「アメリカ手話」「イギリス手話」などもあります。
母国語(母語)は2つまで選べます。流暢に話せる言語として英語を選んでしまうと、学びたい言語としては設定できなくなるようです(私は何も選びませんでした)。
学びたい言語については、言語レベルを初級、中級、上級の3つから選択します。
月並みな回答を入力すれば、登録審査がスムーズ?!
最後に3つの質問に答えます。登録時の審査に使用されるかどうかは定かではありませんが、英語で「普通」な感じの回答をしておけば、審査に通りやすいかなと思い、そうしてみました。
質問は、「1. あなたが会話したいテーマは?」「2. どんなTandemパートナーと話してみたいですか?」「3. あなたの学習目標は?」です。
実は3つ目の質問の入力途中で誤って「次へ」を押してしまい、そのまま審査に進んでしまいました・・・。でも大丈夫だったようです(登録後に修正もできました)。
審査には「最大7日間」かかると表示されましたが、登録の入力を完了してから10数分後にはもう、承認されたとのプッシュ通知が来ました。早い!おそらく自動審査なのか?と思いました。ネットの口コミには「7日を過ぎても連絡がない」というものもありましたが、顔写真を使い、英語で入力したのが功を奏したのかも?!確かなことはわかりませんが。
Tandemの始め方
Tandemでは「言語交換」する「タンデムパートナー」を探すので、対面して話したいという人は、位置情報の 取得をアプリに許可すれば、近くに住む人を探しやすいようです。逆に、直接会いたくない場合は、「居住地を表示しない」を選んでおくと安心です。
登録が許可されると、まず「Tandemのコミュニティルール」というものが表示されます。「1. 学ぶために集まろう」(出会い系アプリではありません)、「2. 多様性を認めよう」(偏見、人種差別、性差別は禁止)、「3. 奉仕の心を持って」(商品やサービスの宣伝、ほかのSNSへの誘導は禁止)、の3つです。
話し掛けられやすいトピックを書く
次に、「話したいトピックをプロフィールに表示」という画面が表示されます。メンバーの一覧表示では、ここに入力した内容が大きく表示されるので、何かしら入力することをおすすめします。何度でも変更できます。学習したい言語(例えば英語)で入力するのがいいでしょう。
アプリでは例として「基本的なイタリア語のフレーズを練習したい」などが挙げられていますが、「どんなトピックも歓迎」といった内容を入れている人もいるようです。確かにその方が気軽に話し掛けてもらえるかもしれません。
各種設定をして、メッセージを送ってみる
自分のアイコンをクリックすると各種設定ができるので、「プライバシー、通知、その他」の設定などを確認、変更しておきましょう。
また、「学習スタイル」の設定もしておくと、「パートナー」を見つける際に役立つようです。 希望のコミュニケーション手段、1週間の学習時間、学習スケジュール(平日と週末でどの時間帯がいいか)、添削してほしい度合いや頻度を入力できます。これらが合うメンバーとなら、言語交換の予定も立てやすいでしょう。
これで準備はできたので、「コミュニティ」から気になるメンバーを選んで、メッセージを送ってみましょう。メッセージのやりとりは、LINE(ライン)と似た感じです。
なお、右上にある横線3本と点3つのアイコンをクリックすると、「コミュニティ」で表示されるメンバーをフィルタリングできます。相手の言語レベルや年齢、所在地、「レビュー付き」「新規」「(自分と)同じ性別」のメンバーのみ、といったことを選べます。(メンバー同士で「レビュー」として、その人の評価を書ける機能があるのです)
Tandemは危なくないの?:必要ならブロックもできる
登録した途端、商売っ気の強い怪しい感じのメッセージがいくつか来ましたが、無視しても特に問題はありませんでした。
また、やりとりを始めてすぐに、脈絡なしに「日本のどこに住んでいるの?」と聞いてきた人(男性)については、他意はないかもしれないけど(こちらは顔を出していないし、年齢も若くしていないし)、でもわからない、と思ってしまい、「ブロック」機能を使ってみてしまいました。これは、互いが表示されなくなる機能です。
その後は、いちいち疑うのが面倒なので、同性でももちろん危険なことはあり得ますが、確率としては低くなるでしょうから、同性のメンバーのみにフィルタリングして、やりとりするようにしました。
Tandemで友達はできた?:継続的にやりとりする相手ができた!
さまざまな国のメンバーがいて、日々どんどん参加メンバーが増えるので、選択肢は多いのではないかと思います。
ただ実は、写真が「キメ顔」の人が多く、やはりそっち系の「出会い」を求めている人が多いのでは・・・という気がして、メッセージを送るのをためらっていました。それでも、いかにもそれっぽい人を避けて(写真のほか、プロフィール欄で、求めるパートナー像として異性を前提に書いている人もいるので、それも参考にしました)、テキストメッセージで連絡してみました。
自分からは5人ほどに連絡しました。私は学生のときに英語を学び、今はフランス語を学習中なので、フランス語と英語でやりとりできて、日本語を学習中の人を選びました。
今も継続してやりとりしているのは2人です。もっと積極的に動けば、多くの人とやりとりすることも可能だと思います。また、気になった人は取りあえず「フォロー」しておいて、後で時間のあるときにメッセージを送ることもできます。
その2人とは、最初は毎日、次第に数日おきにやりとりするようになりました。音声通話をする勇気はまだないので、テキストメッセージのみです。一人は「コミュニティ」で新着メンバーとして表示されている中から見つけた人で、もう一人は関心のある分野のワードで検索して、一致した人の中からレビューがよかった人でした。
一人は、「いー」さん、女性、25歳(仮名、性別と年齢は自称、以下同)。母語が中国語(繁体字)でおそらく台湾出身、フランス在住でフランス語と英語を話し、学んでいる言語は日本語です。
いーさんとは、英語、フランス語、日本語で、旅行、食べ物、日本のドラマ、その他趣味などの話をしています。私が日本のドラマについて詳しくないこともあり、一問一答のような感じですが、互いに学習中の言語で質問や回答の仕方を確認できています。すごく繊細できれいな手作りのケーキかオブジェ(これから聞いて、どっちなのか確認します・笑)の写真も送ってくれました。
もう一人は、「あー」さん、女性、20歳。おそらくフランス人で、母語がフランス語でフランス在住です。話せる言語は英語、学習中の言語は日本語と韓国語です。頑張ってフランス語で書いていたのですが、話が複雑になって面倒になったので一度英語で送ったら、「どうして英語で書くの?私は日本語を勉強中だから、フランス語が難しいなら日本語で書いて」と言われ、それ以来、互いにフランス語か日本語でやりとりしています。
あーさんは、最初はちょっときつい印象で、「私のこと嫌いなのかな?」と思ったのですが、意外とやりとりが続き、積極的にいろいろな話題を出してくれて、フランス語も褒めてくれたので、誤解していたようです。日本語は本を使って学習しているらしく、そのためか丁寧な言葉遣いなので、少し冷たく感じたのかもしれません。そういう気付きがあるのも面白いところです。
話している話題は、主にアート関係。谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』をフランス語で読んで感銘を受けたと言うので、興味が湧いて私も日本語で読んでみたり、そこからフランスと日本の美の違いについての話になって、ヨーロッパの教会や聖堂の写真を送ってくれたり。 オンラインで視聴できる舞台公演について情報をシェアしたりもしています。
また、互いに学習言語について質問し合える関係なのも、心地いいです。日本語について質問されて、母語なのに答えるのが簡単ではなく、ネットで調べてみるなど、フランス語だけでなく日本語も含めた言語の勉強になります。
という感じで、楽しんでいます!
Tandemの総評としては、やりとりする相手をすぐに見つけられるアプリです。
また、アプリで友達をつくるのにも、直接の出会いと同じように、言語力だけではないコミュニケーション力(どんな話題を振るか、相手についてどんなふうに知ろうとするか、など)が必要だな、と 改めていました。当たり前過ぎですが、人と「合う・合わない」というのは、スマホでの文字だけの関わりであっても、なんとなく感じられるものですね。
SLOWLYの特徴:ペンパルとデジタルに文通する
SLOWLYはTandemなどと比べて知名度が低いかもしれません。これは、デジタルな「文通」をするアプリです。文字はもちろん手書きではなくメールのように打ちますが、スタンプ(切手)を選んで貼り、「手紙」という形で送ります。
最大の特徴は「手紙が届くまで時間がかかる」という点です。技術的には当然、瞬時に届けられるのに、あえて実際の郵便のように、届くまで時間がかかるように設定されているのです。しかも、本物の郵便と同じように、所在地によって、かかる時間が違います。そんな、あるようでなかったアプリなのです(回し者ではありません・笑)。
ということで、SLOWLYの特徴は次のようなものです。
- 無料(有料の切手を購入する機能もあり)
- 「出会い系アプリではありません」と明示
- ニックネーム、性別、位置情報(ユーザー同士で表示されるのは国名のみ)の登録が必須。年齢(誕生日)の登録は任意
- 顔写真は不要で、アバター(似顔絵)を作成する
- 文通したい相手に1人ずつ「手紙」を送る
- 「手紙」は、送る人と受け取る人の所在地の距離によって、本物の郵便のように、「数時間」「1日」「数日間」のように、時間がかかる
- 登録した言語や関心のあるカテゴリーに基づいて、送り先が自動で選ばれて「手紙」を送る機能もある(この機能で手紙を受け取らない設定も可能)
SLOWLYはこんな人に向いている!
SLOWLYは、その特性のために、紙の手紙やはがきをやりとりしていた時代の記憶がある人や、そういう体験はほとんどないけど、昔の文豪の書簡とかを読んで憧れるといった人は、興味を引かれると思います。
ということで、特にこういう人におすすめです。
- 「既読」機能などがあって「早く返事しなきゃ」と焦らされるのが嫌
- 昔の人がしていた文通に憧れる
- 文字(ライティング)での交流で十分
SLOWLYの登録方法
スマホにアプリ(App StoreかGoogle Play)をダウンロードして、スタート。「始める」から登録を開始します。
基本の登録内容は「性別」「誕生日」「ニックネーム」のみ。性別は男女に加えて「ノンバイナリー」(男女の二元では捉えない)もあります。また、誕生日は登録しなくてもOK。ニックネームは、英語っぽいものにすると、まだ使われていないものを探すのが少し大変かもしれませんが、それ以外は簡単です。
組み合わせの種類が豊富なアバターを作成
自分のアイコンとして「アバター」を作ります。これは、顔の形、髪型、眉、目、鼻、口(ひげ)、眼鏡、被り物、服などのパーツごとに細かく決められます。背景色まで選べます。計算できませんが、かなり多くの異なるパターンが可能そうです。
このアバター作りが結構楽しい!実際の自分に似せてもいいし、なりたい自分などいつもとは違うアイデンティティーを表す見た目にしてもいいでしょう。
言語や興味のあるトピックを登録
言語は複数、登録できます。言語ごとにレベルも登録します。
興味のあるトピックも選んで登録します。登録できるのは30個まで。つまり、それよりも多いトピックが用意されています。環境問題やLGBTQなども含まれていて、そういったところにアプリ制作者の「意識の高さ」が見て取れます。
位置情報を提供するのは、ユーザーの所在地によって「配達時間」が変わるというアプリの性質上、必須です。
「ハウスルール」を確認したら、登録完了!始められます。
なお、アプリの言語設定を「英語」にすると、海外と文通している雰囲気がさらに高まります。
SLOWLYの始め方
アプリのメイン画面はこんな感じ。手紙が届いたりすると、ここに表示されます。
スタンプ(切手)を入手していく楽しみも
このアプリならではの楽しい機能が「スタンプ」(切手)。登録時は、標準タイプのものと(スマホがアンドロイドなら)アンドロイド向けのもの、それに位置情報に応じて、私は日本にいるので、日本のものがいくつか使える状態になっています。
スタンプは「ストア」で購入が可能なようです。購入しなくても、世界のイベントや記念日の時期には無料でそのスタンプが獲得できます(獲得可能なことが通知されます)。
「イースター」「ラマダン」などの宗教行事の場合は、使える相手が限られそうですが、例えば「World Book Day」(世界本の日)の切手は、本好きの人に貼って送ると喜ばれそうです。
また、ユーザーが例えば「5カ国の人と文通した」際などに記念切手のようなものが獲得できる仕組みになっています。文通を続けるモチベーションにもよい効果がありそうです。
手動か自動で送り先を選び、手紙を送ってみる
手紙を受け付ける相手や手紙の受け付け方について、希望を設定できます。
手紙を送る方法は2通りあります。「Auto-match」と「Explore Manually」です。
「Explore Manually」(手動で探す)では、ユーザーの一覧から興味のある人を選び、手紙を送ります。一覧はこんな感じで、それぞれをクリックすると、詳細が表示されます。
私はまず、「英語かフランス語が使える人で、日本語に興味があるか、私と同じトピックに興味がある人」を選び、いくつかの異なる国の人たちに手紙を送りました。
「Auto-match」(自動マッチング)は、文字通り、アプリが手紙の送り先をマッチングしてくれるものです。手紙を書くと、自分が設定した相手の言語レベルなどに応じて、送り先の候補が表示されます。OKなら承諾して、手紙を送ります。送り先は、「Auto-match」の受け付けを許可している人の中から選ばれます。
「Auto-match」の利用は1日1回まで。送り先の「Language」(言語)の「Proficiency」(流暢度)を「Fluent or native」(流暢かネイティブ)か「Native only」(ネイティブのみ)に設定すると、その言語が流暢かネイティブな人にマッチングされるようです。
本物の手紙をやりとりするような仕掛けがいろいろ
手紙をお届け中ですよ、という表示はこんな感じです。「Arriving in a day」とあるように、日本からトルコまでは、手紙が届くのに1日かかります。こうした表示が、「手紙が届く」というワクワク感を演出していて、面白いのです。
アプリを使い始めると すぐに 、手紙が届き始めました。自分から送って返事をもらったものもありますし、(向こうから手紙を送ってくるのがOKという設定にしているので)誰かから「 Auto - match 」や「 Explore Manually」で送られてくるものもありました。
相手が手紙を「投函」すると、このように、どこそこからあなたに手紙が届きますよ、という通知が来ます。相手の居場所は、特定されないよう曖昧に表示されますが、国はわかります。前述のように、あとどれくらいの時間で届くかということも表示されるので、楽しみながら待つことができます。
手紙が届きました!
こんなふうに、「Pen Friends」(ペンパル)が増えていきます。
学習中の複数の言語や母語でやりとり
私が手紙で使う言語はTandemと同じで、英語、フランス語、日本語です。やはり英語が多いです。フランス語は、Tandemのようにチャットっぽい形式ならわりと気軽に書けますが、短い(100ワード以上くらい)とはいえ手紙となると、書くまでにやや腰が重くなってしまうのが、困ったところです。
もともとフランス語入力はスマホで設定して便利に使っていましたが、日本語を学んでいる中国の方から手紙が来たのを機に、あいさつくらいは相手の言語で書きたいと思い、中国語(簡体字と繁体字の両方)もスマホで言語設定しました。入力方式がいくつか選べますが、注音符号(別称「ボポモフォ」)はわからないので、?音(ピンイン)を選びました。手書き入力などもできるようです。スマホって便利!フランス語も中国語も、予測変換機能が英語より優れているように感じます(笑)。
フランス語での短いメッセージのやりとりはこれまでにもしたことがありましたが、メールなどは書いたことがなかったので、書き出しはどうするのだろうとネットで調べるきっかけになりました(結局、相手の性別に関係なく使えるカジュアルな表現、BonjourやSalutを使ってみました)。
アプリは一時的にメンテナンス中になって使えないこともありましたが、そんなに長くかかることはなく、すぐ使えるようになりました。
SLOWLYは危なくないの?:ほぼ安全、不快なユーザーには対策可能
写真も実名も登録していないので、危険を感じることはほとんどありません。
ただ、不愉快な手紙を受け取ることはあると思います。私はこれまでのところ1通だけ、怪しい意味で仲よくなりたいという意図を明白にしている、ちょっと気持ちの悪い手紙を受け取りました。
そういう場合の対策としては、返事を送らないのはもちろんのこと、「Hide User」「Remove User」「Report User」(ユーザーを隠す、削除する、報告する)という機能もあります。
また、先方から送ってくる手紙を受け付けない(こちらから送った相手からの返事だけを受け取るという設定もできるようです。
SLOWLYで友達はできた?:20人のペンパルができた!
最初はこちらから数人に手紙を送り、そのうち2人くらいからは返事がありませんでしたが、それ以外の人からは返事がありました。
また、アプリを使っているうちに、私が手紙を送っていない人からも手紙が届くようになりました。日本語や日本のカルチャーに興味があるという人が主で、ありがたいことです。
こういうアプリを使う人はやはり筆まめ(この日本語、久しぶりに使いました)なのか、すぐに返事をくれる人も多いです。今では私が返事を送れていない手紙も結構あって、少しプレッシャーを感じています(笑)。
最初は、「知らない人への手紙に書くことなんてあるのかな?」と思っていましたが、相手のプロフィール欄に書いてある国や言語、関心のあるトピック、自己紹介などを見ていると、意外と、自然に書くことが浮かんできます。やりとりをしているうちに具体的な話をするようになり、普段、周囲の友人などとは話しづらいテーマについて伝え合うことも出てきました。
特に印象深いのは、マレーシアの「しー」さんと、中国の「こー」さんです。
「しー」さんは16歳の女性で、ご両親が一人は韓国人、もう一人が日本人。マレーシア生まれ、育ちで、英語とマレー語を話します。親のルーツをもっと知りたいと思い、最近、韓国語と日本語を学び始めたそうです。主に英語で、ところどころ簡単な日本語でやりとりしています。
日本のアニメや漫画、韓国のカルチャーなどが好きで、小説家志望だそう。手紙を送ると、速攻で返事をくれます。なぜか日本語で「大好き(ハート)」と書いてきてくれるのですが、マレーシアではそういうのが普通なのか、国も言語も年齢も文化も何もかもが違い過ぎて、判断がつきません(笑)。何が「普通」なのかわからなくなっていく、そういう感覚も、言語を学んで多様な人や多文化に触れる楽しみの一つです。
中国の「こー」さんは21歳の男性で、日本語を独学中。まだ学習を始めて3年だそうですが、かなり流ちょうな日本語で手紙を書いてきてくれます。私も語学をもっと頑張らなければ、と刺激になります。
歴史などにも興味があるらしく、日本語訳で読んだ中国のベストセラー小説の話をしたところ、その本の中に表れている歴史観についての指摘を書いてきてくれて、いろいろな見方があるなあと気付かされました。
ほかにも、トルコ、アメリカ、カナダ、マカオ、タイ、ポーランド、サウジアラビア、マダガスカルといった国のペンパルができました。
トルコやアメリカの人が、K-POPが好きで韓国語を学んでいたり、ほとんど知識のない国の人と意外な共通点があったりと、さまざまな発見があり、楽しいです!
SLOWLYの総評としては、メールを書くのがおっくうでない人にとっては、見知らぬ人と気軽にペンパルになれるので、おすすめです。やりとりの中で、普段は話せない話題で盛り上がる友人もできる可能性がありそうです。自宅にいながら、世界中の人とつながり、現地で起こっていることなどをシェアし合う体験ができるでしょう。
「早く返事をしなきゃ」と焦り過ぎないようにすることが、楽しんで継続するコツです。急いでも急がなくても、「投函」してから届くまで、数時間から1日くらいかかりますから(笑)。
アイコンがアバターなので、年齢差などをあまり気にせずにやりとりを始められると思います。また、ほかの語学・言語交換や交流のアプリと比べて作りが単純なので、スマホアプリに不慣れな人でも使いやすい点も魅力です。
言語交換・交流アプリで語学力は上達する?
言語は使えば使うだけすらすら出てきやすくなるので、アプリで日常的に英語を書くのは有益です。また、学習中のフランス語については、相手がいるからこそ伝えたいという気持ちが湧いてきて、「これはなんて言うのだろう?」と積極的に調べるようになりました。どう言うのが自然なのかを相手に尋ねることもできて、勉強になります。
さらに、日本語を学習している人から、日本語や日本の社会、文化について質問されることもあり、すぐにはわからないことは調べるなどして、どういう言い方をしたらうまく伝わるだろうかと工夫しながら答えることが、新たな発見につながっています。
結論として、アプリで言語学習と交流をするのは、とてもおすすめです!
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