英語上級者でもっとネイティブに近い英語を身に付けたい、留学前の2、3カ月で英語力を出来るだけ上げたい、あるいは海外出張や英語のプレゼンなどを控えていて短期間で英語力をグンと上げたいと思っていませんか?この連載では、短期間で一気に効果を出せる英語学習法を、「通訳」で「英語講師」の西田大(にしだまさる)さんに、紹介いただきます。
オンライン英会話はこの3つのコツで継続できる!
本格的にサービスが開始されてから、まだ10数年のオンライン英会話ですが、すっかり英語学習の定番となりました。
今では多くの企業や学校などでも導入され、オンライン英会話スクール数も急増しています。業界最大手の「レアジョブ」では累計会員数は80万人を超え、これまでに提供してきたレッスンは4,000万回以上、在籍講師は6,000人以上ということです。( レアジョブHPより )。
オンライン英会話がこれほどまでに急速に人気を得てきた背景にはいくつかの要因が考えられますが、 「自宅で」「格安で」「レッスン直前に予約が可能」「マンツーマンレッスン」など、従来の通学型の英会話スクールにはないサービス が、多くの英語学習者の気持ちを引き付けているようです。
このように大流行ともいえるオンライン英会話ですが、「続けている割には効果が出ない」「いくつかのスクールを試してみたけど すぐに 挫折してしまう」という声もよく耳にします。今回は、最近はやりの「オンライン英会話」を継続させるコツを紹介いたします。
1. レッスン前の予習・復習をしっかり行う
楽しく充実したレッスンは大切ですし、外国人講師との会話が弾めば弾むほど満足感も高まります。しかし、大切なことは、この「楽しく満足したレッスン」で終わるのでなく、「英語力も伸ばせるレッスン」にしていく工夫です。そのためには、レッスン前の「予習・復習」をしっかり行うべきでしょう。
「オンライン英会話の予習・復習・・・?」となってしまう人もいるかもしれません。ここでは 具体的な 「オンライン英会話の予習と復習の方法」についてお話させていただきます。
まずは「予習」についてです。 レッスン内容については、「フリーカンバセーション」より何かテーマを決めたほうが良い と思います。一つのトピックについて深く会話する方が表現力は圧倒的に伸ばせます。
たいていのオンライン英会話スクールではニュース記事を用いたレッスンや旅行中などのシチュエーション別のレッスンが用意されています。それらを用いるのもいいでしょう。「予習」ではレッスン前にその日のレッスンにおける話題の流れを 予想 しておき、 事前に 使える表現を準備しておくのです。
事前に 自分で調べておいた表現が相手に伝わることは、想像以上にうれしく印象に残りやすいので、 今後の 「自分の表現」の幅が広がります。
次に「復習」についてです。復習ではその日のレッスンで「何て言えば・・・?」という感じで「自分が英語で表現できなかったこと」や「相手に伝わらなかったこと」を覚えておき、 レッスン後に「なんと表現すべきだったか」を、ネットや辞書を用いて実際に調べてみます 。
ほとんどの人が、20~30分のレッスン中に数回は「何て言えば・・・?」という状況に陥ってしまうはずです。この 「何て言えば?」をレッスン後に一つ一つ解決していくことが「英語が話せる!」につながっていく のです。また、その新しく覚えた表現は、何度も音読することによって、さらに、次から使える「自分の表現」に変化していくでしょう。
ここで紹介した、レッスン前のほんの少しの「予習・復習」の積み重ねが数週間、数カ月後に大きな差となるのだと思います。
2.「英語が話せる」を数値化してみる
手軽に始めて、手軽にできるオンライン英会話といっても、継続するにはモチベーションが必要です。その モチベーションを高めるために最も大切なものが「英語が話せるようになった!」という気持ち ではないでしょうか。
自分の英語力が伸びていることがわかれば、もっと頑張ろうと気持ちになりますし、なかなか伸びなければ、諦めたくなってしまうのは、どのような学習にもあてはまることだと思います。
しかし、ここで大切なことは、どのようにして「英語が話せるようになった」を確認するかということです。「自分で言いたいことが伝えられるようになった」「講師から褒められる回数が増えた」などという声を耳にすることがありますが、私はもっと客観的なデータで 判断 すべきだと思います。
例えば、「自分の言いたいことが言える」ことが増えてきたとしても、その「言いたいこと」の英語のレベルもあるでしょうし、「講師に褒められた」としても講師によって 判断 基準 が違うことも考えられます。
やはり、「英語が話せるようになった」は「数値化」することで正確な 基準 が得られることは間違いなさそうです。そして、その 数値化するための唯一の手段は「スピーキングテスト」の受験 となるでしょう。
スピーキングテストについてですが、非常にさまざまなものがあります。また、オンライン英会話スクール独自に開発されたものも増えてきました。
重要なことは、いろいろなテストを受験するのではなく、一つのテストを定期的に受験し(できれば3カ月に1回程度)、同じ採点 基準 でスピーキング力を「数値化」することだと思います。
そしてその 「数値(スコア)を上げたい」という気持ちがレッスンへのモチベーションにつながる はずです。
3. 自分に合ったオンライン英会話スクールを選ぶ
オンライン英会話スクールは、料金、受講方法、講師の国籍、レッスンプランなどスクールによって大きく異なります。
ほとんどのスクールが無料体験レッスンやカウンセリングを提供しているので、それらを利用してから自分に合ったスクールを選ぶべきだと思います。ここではその前段階の留意点を2点紹介させていただきます。
まずは 講師の国籍 についてです。これはオンライン英会話に何を求めるかで違ってくると思います。
例えば、 自分が英語でアウトプットする場面を増やすことが目的 であれば、それほど講師の国籍にはこだわる必要はないでしょう。
一方、自分がネイティブの音声に慣れて、 TOEICのリスニングパートのスコアアップも視野に入れている場合 などであれば、TOEICのスピーカーに採用されているイギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリアの講師のレッスンを受講できるスクールを選ぶべきでしょう。
また、海外赴任や留学などが決まっている方なら、その国の講師が在籍しているスクールを選ぶとよいでしょう。
また、最近よく目にするのは 「英検対策」「TOEIC対策」などの資格試験の対策 としてオンライン英会話を利用するケースです。これは質の面においてスクールによって大きく異なります。
一つ、大 前提 となるのが「講師が日本語に流暢(りゅうちょう)である」ということです。英検1級やTOEICで900点台の方でも、自分の間違えた問題の解説を英語で説明されてもよく理解できないはずです。
どうしてもネイティブからの指導を求められる場合は数回体験レッスンを受けてから入会を考えられるべきでしょう。
いかがでしたか、最近流行のオンライン英会話。楽しむだけでなく、英語力も伸ばして、「今年度こそは続けたい!」を実現したいですね。
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西田大(にしだまさる)
1973年生まれ。関西大学文学部英文学科卒業。TOEIC 990点(満点)、英検一級、全国通訳案内士。23年間にわたり県立高校教員として勤務した後、通訳、英語講師として独立。通訳としての技量は高く評価され、国際会議や各国の大臣クラスの通訳にもアテンド。英語講師としては、TOEIC・英検などの検定試験から実用英語まで、幅広い分野の英語学習に精通し、その学習法・対策法は注目を集めている。著書に『 「音読」で攻略TOEIC(R)L&Rテストでる文80 』(かんき出版)、『 英語力はメンタルで決まる 』(アルク)、『 TOEIC(R)テストに必要な文法・単語・熟語が同時に身につく本 』(かんき出版)など。
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